洋食と日本酒のペアリングについて、これまでの実践報告をまとめます。
なぜ洋食と日本酒なのか
西洋料理(洋食)は比較的提供される機会が多い割に日本酒と合わせようとする人はほとんどいません。当然ですよね。
ワインやビールにしておけば特に頭をひねるまでもなく簡単に合わせられるんですから。
わざわざここで日本酒を持ってくる人ってのは、日本酒の可能性を広げようとしているか、意外性のあるペアリングで誰かを驚かせたいか、日本酒マニアか、頭がおかしいかの4択です。
ちなみに私は全部当てはまります。
冗談はさておき、私が事あるごとに書いているのは、日本酒もやり方次第で洋食に合うという事実が一般的になれば、日本酒の消費増に繋がるはずという、やや壮大なビジョン。
そして、たくさんの飲食店がそのペアリングをお客様へ提供することで、少しでもその認知が広がっていけばいいなあと。
そんなわけで、これまでのペアリング実践報告を洋食系に絞って以下でご紹介します。
実践報告まとめ
炙りベーコン
いきなりですが、炙りベーコンって洋食なんですかね…。まあいいや、とりあえずベーコンの脂と燻製香にフォーカスした手法を紹介していますので参考にはなるでしょう。
「五橋 穏 山廃純米酒28BY」を合わせています。
砂肝のアヒージョ
オリーブオイルをウォッシュの手法で流す、典型的なやり口です。リンゴ酸が豊かな「阿櫻 特別純米 無濾過生原酒 初しぼり」と。
鴨のテリーヌ
アヒージョと同じく脂の処理が課題ですが、今度は燗で。酒は「貴 濃醇辛口純米酒80」です。
チーズリゾット
チーズリゾットといえばもったりしたテクスチャー。濁り酒である「生酛のどぶ」をわかりやすく合わせていますが、実は最初に失敗しています。そこも含めて参考になるかと。
燻製牡蠣のオイル漬け
市販品を使ったペアリング。五味の補完という観点で考えます。酒は「丹澤山 凛峰 山廃純米酒 備前雄町」。
カプレーゼ
やや変化球。苦手な人も多い生熟成独特の香りをバジルと合わせることで相乗効果を狙います。酒は「初雪盃 純米吟醸 無濾過生原酒 槽搾り(3年熟成)」です。
ブーダンノワール
こちらも市販品ですが、高級です。そこに大衆的な「剣菱」を合わせる意外性。ヒントはブーダンノワールにジャムをつけて食べると美味いという、嘘のような本当の情報から。
カンパーニュ
恐らく、洋食×日本酒の中でももっとも難易度が高いのがパン。しかし、これは驚きの好相性でした。最近「楽器正宗」が大人気の蔵から「自然郷SEVEN 純米吟醸」を。
豚のグリル
日本酒をソースに見立てる手法をご紹介。変化球ではありますが、よく知られた赤米のお酒「伊根満開」とペアリング。
クリームコロッケ(クロケット)
甘酸っぱい「篠峯のどぶろく」にクリームコロッケを合わせていますが、クリームコロッケが導き出されるまでのプロセスが参考になると思いますよ。
エビグラタン
こってりのグラタン?どうせまた濁り酒でしょ、と思われるのが悔しいので、あえてややフルーティでコシの強い純米大吟醸「松の司 AZOLLA50」を合わせています。これが不思議と合うんですよ。その理由は記事の中に。
ブイヤベース
海鮮系にはミネラルを軸にするのが確実。「長珍」を二種類用意して比較検討しています。
海老のビスク
定番の濁りを合わせます。「生酛のどぶ」の汎用性の高さはすごい。
レバーパテ
ブーダンノワールでも使った「剣菱」が再び登場。やはり臓物系との相性は間違いないです。
ハンバーグ(デミグラス)
「日置桜 純米吟醸 伝承強力」に赤ワインを少量ブレンドするという荒技を披露。
アップルパイ
洋食というかスイーツですが、リンゴの酸味が日本酒とすこぶる相性が良いのです。龍力の20年古酒を合わせました。
クロワッサン
この辺まで来るとネタ感が強くなってきますが、いいんです。きっといつか誰かの役に立ちます。「仙介 白麹」でレモンバターのような味わいを狙います。
とりあえず以上です。
今後も新たな記事ができたらここに追加していきますね。
なお、日本酒に合う洋食について概論的な記事もありますので参考まで。