日本酒ペアリング実践

ラスクに合う日本酒は意外にいろいろある

rusk

サクサクで香ばしく甘いラスク、たまに無性に食べたくなる時があります。今回は、このラスクに日本酒を合わせてみます。おつまみ用の塩味やガーリック味の甘くないラスクもありますが、そんなのチートだ!やるのは当然甘いほうですよ。

ラスクの作り方

シンプルで馴染みのあるお菓子ながら、案外作り方を知らない人も多いんじゃないでしょうか。

もともとは堅くなったパンを無駄にしないために生まれた始末のお菓子。特に気取ったものではないんですね。

だから作るのもとっても簡単。適当な大きさにカットしたフランスパンにバターを塗って、グラニュー糖を振りかけて焼くだけ。お好みでシナモンをかけても。

合わせる日本酒を考える

合わせる日本酒を考えるにあたって、もう一度ラスクを食べておさらい。

ふむ、若干焦げた香ばしい風味。ザクザクとした食感、バターの風味、軽い甘み。今回は比較的砂糖が少ないラスクでしたが、それでもこの甘さというのは日本酒とのペアリングにおいてネックになります。

日本酒と甘いものの相性について

あんまりべったり甘いものと日本酒を合わせると、日本酒の甘味がマスキングされてしまって、素っ気ない味わいに感じられてしまうんですね。特に、線の細いタイプの酒だと酸ばかり目立ってしまってバランスが崩れます。

なので、まず考えるべきはこの甘さをどうあしらうか。今までの経験上、燗向けのどっしりしたエキス分の多い純米酒は結構いけるんですよ。

この手の酒はもともと甘みに期待する部分が小さいこともあって、マスキングされてもバランスが崩れにくいんです。

食感に着目

さて、それではいくつかのポイントに着目しながら合わせるべき日本酒を考えていきましょう。

最初にポイントとなるのは、何と言っても特徴的なザクザクの食感。

テクスチャーという言葉を使いますが、トロっとしたものには粘性の高めなお酒を、揚げ物に代表されるようなサクサク、パリパリ、カリカリとしたものに対しては同じように刺激のあるスパークリングを合わせるのが定石です。

もちろん、味わいの部分を無視しては考えられないのですが、ひとつの取っ掛かりとして。

香ばしい風味に着目

次に、軽く焦げた香ばしい風味もポイントの一つ。ハード系のパンではよくやる手法ですが、同じく焦げ風味のある古酒や熟成酒の風味を同調させるのもアリ。

ただし、古酒や熟成酒はゴツっとして強度が高いものが多いので、プレーンなパンだと負けてしまいます。酒のパワーに負けない何かしらトッピングがあるものが望ましいですね。

ラスクも一応バターと砂糖が足されてはいますが、古酒が相手だとちょっと分が悪いかも。まあ、物は試しです。

相性のいいものから着想する

最後に日本酒と合わせることは一旦忘れて、純粋にこの食べ物に添加する、もしくは一緒に食べたり飲んだりしたら美味しくなるものって何だろう、と考えてみます。

真っ先に思いつくのはコーヒー。これは説明不要だと思いますが、まあ大体お菓子と一緒に飲むものっていったらコーヒーですよね。

次に思い浮かんだのがブランデー。飲むというより、製菓的な発想でラスクにブランデーで軽く風味づけしたら高級感が出て間違いなく美味しいだろうと。

あとは、これらのコーヒーやブランデーに近い日本酒を選べばいいわけです。

コーヒーやブランデーっぽい日本酒??なかなか想像しにくいと思いますが、大丈夫です。なんとかなります。詳細は後ほど。

ここまでのまとめ

(1)食感で合わせる⇒スパークリング

(2)香りで合わせる⇒古酒

(3)相性のいい飲み物に似たフレーバーを持つ酒を合わせる⇒a.コーヒー /b.ブランデー

というわけで、今回は以上4種の酒でラスクに合わせていきます。

選んだ酒とそれぞれの結果

(1)スパークリング

伊勢の白酒(しろき)古式二段仕込

まずは最近流行のスパークリング清酒。

天遊琳で有名な三重のタカハシ酒造から「伊勢の白酒(しろき)」をチョイス。ほどほどの甘みがあってなるべくガスが元気そうなもの、ということでこれにしましたが、スパークリングであれば別にこれじゃなくてもOK。

実食!

ここでは食感を合わせたいので、ラスクをすべて咀嚼しきる前に白酒をぐびっと。ガリガリと同時にシュワシュワが口の中を刺激してきます。非常に楽しい。テクスチャー重視のため、味わいの面はそれほど意識してなかったのですが、偶然にも両者がちょうどいい強度で見事に調和しました。90点!

なお、別のドライ系のスパークリングでも合わせてみたんですが、そちらはあまり相性が良くなかったです。ある程度は甘さが必要ってことか。

(2)古酒

龍力 熟成古酒 vintage1999

古酒はアップルパイでも使った龍力の20年古酒を。

実食!

ラスクを齧ると鼻から抜ける香ばしさ。ここに常温の古酒を含みます。予想通り、焦げっぽい香味が同調するのでこれも悪くないですね。ただ、若干日本酒らしい糠っぽいクセが洋風の菓子と不釣り合いな印象。そして、やはりエキス感が強すぎてバランスが悪い。65点。

(3-a)コーヒー燗

チョコレートと合わせる際にやった手法ですが、日本酒にコーヒーを少量滴下して匂い付けします。

丹澤山 麗峰 純米原酒

チョイスする酒は同じくコーヒーっぽいニュアンスを持った酒がベストですが、香りが穏やかで濃い目の純米酒であればほとんど大丈夫。今回はコーヒーとの相性には定評のある丹澤山 麗峰の純米原酒を。

冷酒や常温だともう一つ雰囲気が出ないんですが、これは恐らく冷めたコーヒーを連想するからではないかと。というわけで、燗推奨です。

実食!

こちらも古酒と同じく香りを合わせるやり方ですが、同種の香りというより若干種類は違うが相性のいい香りを互いに沿わせていく方向性。

ガリガリとラスクをほおばって、コーヒー燗を一口。

!!

これはヤバいやつ引き当てちゃったかも。コーヒーの香りが何の違和感もなくラスクと調和。まさにコーヒーとラスクの組み合わせそのもの。自分でやっときながらアレですが、なんかずるいわ。85点。

(3-b)ブランデーのフレーバーを持つ酒

一般的にはなかなか入手しづらいのですが、生酒を数年熟成させると、かすかながらブランデーやラムなどの洋酒と共通する樽香に近いフレーバーを得られることがあります。どの成分がどう変化してそうなるかは謎ですが、経験上、日本酒度が高い、いわゆる辛口のどっしりしたタイプが多いような気がします。

日置桜 中垂れ純米生 22BY

こちらは鳥取の銘醸。どっしり系の純米燗酒界隈では知らぬものはいない銘柄です。燗酒メインなので火入れが多いイメージですが、生もちょいちょいあるんですよ。それが生のくせに、みんな熟成耐性があるもんだからマニアにはたまらないんですよね。

今回は8年間酒屋の冷蔵庫で眠っていた生熟成を使用します。

実食!

おー、なかなかですね。ラスクの軽いバター感と生熟成の香味が良いハーモニー。洋風の雰囲気に違和感なくフィット。ただ、中盤の強いエキス感がちょっとラスクを抑え込んじゃってるのが惜しいところかな。75点。

ただ、思いのほか香りの相性は良かったので焼き菓子系なら他もかなりいけるんじゃないか。カスタードも良さそう。

まとめ

優勝は僅差でスパークリングの「伊勢の白酒」でした。コーヒー燗もかなりいい感じでしたが、ちょっと特殊な飛び道具だった分、純粋な酒単体での伊勢の白酒に軍配を上げたいと思います。

しかし食感を合わせることが、相性にここまで強く影響するってのは学びでしたね。

今回は比較的甘さ控えめのラスクでしたが、砂糖がべったりついたシュガーラスクの場合、もう少し難しくなるかも。まあそれでも炭酸が流してくれると思いますが。

それから、プレーンではなく、シナモンやキャラメルのフレーバーがあったら、また違った組み合わせになったのかなと。どちらも古酒との相性をぐっと引き寄せますからね。

ちなみに今回の記事と全く関係ないんですが、広尾にあるブルディガラって店のキャラメルラスクは最高に美味です。機会があったら是非。飴のように分厚いキャラメルでコーティングされてるので老人はまず食えませんが。

それではまた!

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