今回の主役はピータン。あのグロくてクセの強い中華食材です。
最もポピュラーな食べ方はピータン豆腐になるのかな。
ただ、今回は素のピータンとの相性を試したいのでそのままいただきます。
ピータンとは
作り方は、あひるの卵に石灰や木炭を混ぜた粘土を塗りつけて、その上に籾殻をまぶしたものを土中に埋めるか、もしくは甕で2~3ヶ月程貯蔵するだけ。
わあ、簡単!こんなもん自作できるか!
しかし不思議な食べ物ですよね。なんでこんな色になっちゃうんだろ。
実はこれ、発酵させてるわけではないらしいんですね。
石灰などのアルカリ成分の作用で硫化水素が生じるんですが、これが卵黄の鉄分と反応して硫化鉄になります。これによってあんな黒い色になるんだそうです。
とりあえず、中華食材を扱っている店や、デパート、カルディ、業務スーパー、成城石井などで扱いがあります。
日持ちするし、そんなに高くないので見かけたら買っておきましょう。
ピータンの味
基本的には卵を濃厚に凝縮したような味。
そこに硫黄系の臭いが乗っかってくる感じですね。
食べたことがある人は分かると思いますが、このアンモニア感はネギやニンニク、ニラなどと共通するもので、いわゆる「還元臭」と言われるものです。
モノによってはアンモニア臭がキツく、殻を剥いてすぐは結構厳しい場合も。
その際は水にさらすか、カットして1時間ほど放置すると和らぐそうです。
なお、今回実証に使ったのはカルディのものですが、これはかなりクセがなくて食べやすいんですよ。
合わせる日本酒を考える
ピータンの五味はほぼ旨味だけなので、チャートにするのは省略します。
強烈に味が濃いわけではないのですが、臭いやクセの強さを勘案するとそれなりの強度になります。
したがって、酒もそれに負けないボディが必要となります。
香りに関しては、あまり華やかだと還元臭とケンカするので、大吟醸などとはアンマッチ。
火入れで落ち着いたデイリーユースできるような純米酒や本醸造酒がちょうどいいんじゃないかな。
それ以外の条件、例えば五味のうち甘味や酸味に関しては、あってもなくてもあまり問題にはならないと思います。
というのも、ピータンには酢とごま油と醤油、場合によっては砂糖を混ぜたタレが合いますよね。
甘味や酸味があればそのタレの代用になりますし、逆にそこが弱ければ旨味にピンポイントで同調させるペアリングができるはずですので。
通潤 純米酒
今回はたまたま家にあった「通潤 純米酒」を合わせます。
熊本のお酒なんですが、全国的にはマイナーですね。
私も飲んだことがなく、先日酒屋で初めて見かけたので買ってみたんです。
それほど期待してなかったのですが、飲んでみると安定感があって柔らか、味筋は非常にバランスが良くまとまりがある。
派手さはないものの、思いのほかいい酒でした。
甘味から旨味への流れがスムーズでついつい杯が進むタイプ。
酸は弱めでボディは濃すぎず細すぎず。冷酒ではやや爽やかな印象ですが、燗でまろやかさが増して、さらに好みの味になります。
こういう家飲みに最適な酒、大好きです。
実食!
カットしたピータンを一口。案外臭いは気にならない。
トロリとした黄身が崩れてコクのある旨味が口に広がる。
ここでぬる燗にした酒を含むと、予想通りスムーズに旨味にフォーカスして違和感なく同調。
ピータンの味わいを後押しするかのよう。
うん、これ、めちゃめちゃ合いますね。
なお、試しに甘酸っぱい系の山廃純米酒とも合わせてみましたが、最初に甘さと酸が躍動したあとにすぐ旨味で同調する、言うなればダイナミックなペアリングになりました。
これはこれで楽しいんだけど、酸が弱くて落ち着いた純米酒のほうが、よりマッチング度は高いですね。
まとめ
今回は素のままいただきましたが、ピータン豆腐にして、刻みザーサイ、白髪ねぎなどのトッピングと共にタレをかけていただくのもいいですね。
この場合でも変わらず、同じタイプの日本酒でばっちり合わせられます。
タレにはだいたい酢が入りますので、より酸の目立つ酒でも良い相性ですよ。
ちなみに、TOKIOの国分太一氏考案のサラダ「カドタン」が非常に素晴らしくて何度も作ってます。
アボカドとパクチーとピータンを、生姜とナンプラーを加えたタレで和えるんですが、これがまた旨みの強い日本酒と合いまくるんですわ!
「男子ごはん カドタン レシピ」でググってみてください。
まあ個人的にはパクチーを小松菜や生食用ホウレンソウ、ルッコラなどに置き換えたほうが好きですが。(写真は生食用ホウレンソウとカイワレを使用)
それではまた!