スイーツ

ショートケーキ×日本酒 闘いの記録

さて、今回はショートケーキです。

見間違いじゃありませんよ。あの誰もが知っているショートケーキです。

頭がおかしくなったのかって?いえいえ、至って正気です。

きっかけはこのお酒。

玉旭のSHORTCAKEです。こんな酒があるなら、実際合わせてみたくなるじゃないですか。

しかし、合わせてみました~、予想通り全然合いませんでした~じゃクソつまらないので、この際、ショートケーキに合う酒を徹底的に探ってみようと思い立った次第。

日本酒とスイーツのペアリングは難しい

基本的に、日本酒を甘いものと合わせるのは簡単ではありません。

それはスイーツの強い甘みによって日本酒の甘みがマスキングされてしまう結果、酸が強調されてバランスが崩れてしまうから。

甘いものを食べた後にオレンジジュースを飲むとやたら酸っぱく感じますよね?あれと同じことが起こります。

それを克服する一番単純なメソッドとしては、スイーツよりもさらに甘い酒を合わせるという方法が一つ。

また、スパイスやハーブなど触媒となり得る食材を上手く使って近づける方法もあります。

いずれにしても、生クリームをふんだんに使った洋菓子のハードルがかなり高いのは間違いありません。

しかし、ここでノウハウを見つけられれば日本酒ペアリングの可能性は大きく広がるでしょう。だから頭がおかしいと言われてもやるんです。

実食&所感

今回は8種+4つの組み合わせで全12通りを試しました。

ざっと以下の通り。

  1. ネタ酒(ショートケーキ)
  2. 甘口の燗
  3. 甘口燗+コーヒー
  4. 淡麗辛口
  5. 淡麗辛口の燗+コーヒー
  6. 酸が強い酒
  7. 甘口スパークリング
  8. 甘口にごり(常温)
  9. 辛口にごり(燗)
  10. 香り系純米大吟醸
  11. スパークリング+甘口濁り
  12. スパークリング+大吟醸

では、それぞれの結果を解説していきます。

長いので、結論だけ読みたい方はこちらへジャンプしてください。

1.ネタ酒(ショートケーキ)

まずは最初に紹介した玉旭SHORTCAKEです。

生の濁りで低アル。

立ち香は乳酸っぽく華やかさはありません。そして含むとめっちゃ甘酸っぱい!

旨みは軽いですね。

なるほど、蔵としてはショートケーキに合わせるというより、ショートケーキのような味わいという意図で作ったと思われます。

五味チャートと所感

甘3.5 酸3.5 旨2 苦1

チャートの通り、合わせてみると(本物の)ショートケーキのほうが軽く、酒が主張しすぎかもしれません。

酒自体は日本酒に馴染みのない人も飲みやすい、楽しいお酒なので別のペアリングを考えたいところ。柑橘系のサラダとかね。

結論

相性:△

2.甘口の燗

長野の勢正宗、燗専用を使いました。

ここの酒は甘みが強く、酸が弱いので丸みのあるぽってりした味わいが特徴的。

米の甘旨味を感じる佳酒です。

生クリームの酸のないぽってりした味わいと同調するのでは?という予測で候補に上がりました。

五味チャートと所感

甘3 酸2 旨3 苦0.5

甘味と酸味はチャート上、ほぼ同調するんですが、旨みがすごく邪魔…米感が合わないなあ。

酒が主張しすぎて全然ダメです。

結論

相性:×

3.甘口コーヒー燗

酒は同じく勢正宗を。

ここにコーヒーを少量添加します。

コーヒー燗自体はチョコレートなどで効果を発揮しますが、ケーキでもコーヒーを合わせるじゃないですか。

その再現が狙いです。

もったりした酒にコーヒーのフレーバーと苦味が加わり、これ単体ではなかなか面白い味わいなんですが、はたしてどうか。

五味チャートと所感

甘2.8 酸2 旨3 苦1

うーん、先ほどと同じで旨みが邪魔だなあ。

コーヒーの香りと最後の苦味はケーキの甘みと良い相性なんだけど、どうにも酒の存在感が強すぎです。

結論

相性:×

4.淡麗辛口

お馴染み、八海山の普通酒を使います。

こいつに合わせられないものはない!…かどうか、試してみましょう。

相変わらず、酒単体では透明感ありすぎで存在が希薄ですが、それこそがこの酒の長所。

果たして寄り添う感じで合うのか、はたまた大ハズレとなるか。

五味チャートと所感

甘1 酸1.5 旨2 苦0.5

ケーキの甘みが突出しているので、普通に考えると合わないんですが、八海山に限っては同調を狙わないので問題ありません。

あくまで、料理側の長所を後押しする役目。

しかして合わせてみると、なかなかいい。最後の旨味と苦味が若干邪魔ですが、かなり違和感がありません。

ちなみに燗にするとやや旨みが強くなってしまいイマイチでした。

結論

相性:〇

5.淡麗辛口の燗+コーヒー

甘口酒のコーヒー燗がダメだったので、今度は八海山で試してみましょう。

五味チャートと所感

甘1 酸1.5 旨2 苦1.5

これはほぼコーヒーですね。

良くも悪くも八海山のステルス性が発揮されています。

ほぼコーヒーなので当然ケーキとは合うわけですが、だったら普通にコーヒー飲めばいいじゃんという結論に。

むしろ、何も足さない八海山単体のほうが違和感なく合わせられます。

結論

相性:△

6.酸が強い酒

イチゴが酸っぱいので、そこをターゲットに酸っぱい酒はどうなんですかと。

弥右衛門で有名な福島の大和川酒造店からのsun(さん)というお酒を使ってみます。

生酛でかなりすっぱい、そして低アル(13度)というちょっと変わり種です。

五味チャートと所感

甘2 酸3.5 旨2 苦0.5

チャートは潔いくらいに全く合ってないですね。

いかんせん酸が突出しすぎてるので、すくなくとも同調は望めません。

で、実際合わせてみると一瞬合わないかなと思うんだけど、後半から妙にいい感じにまとまるんですよ。何だこれ。

クリームのまったりが酸でチーズっぽく変化するというか、赤ワインとチーズ、もしくは柑橘と牛乳に似た感覚。

この酒の場合、ちょっと丸みと厚みを感じる酸であったのが惜しいかも。

もうちょいフルーティな酸でキリっとしてればかなり面白いことになったのではないでしょうか。

白麹とか試してみたいところ。

結論

相性:〇

7.甘口スパークリング

シャンパンとイチゴは抜群の相性で、さらにはスイーツにも合わせやすい。

この事実から、シャンパンに酷似した甘口のスパークリング日本酒が合うんじゃなかろうかと思い立った次第。

ここでは入手が容易なご存知、を使ってみます。

五味チャートと所感

甘2 酸2.5 旨2 苦0

チャート的にはイマイチっぽいですが…これが大正解でした。

炭酸でクリームのまったりが流されてすっきり。

旨みも軽く、ケーキの軽さとぴったり調和します。他の酒はここでコケてたんだよなあ。

そしてイチゴを同時に食べて酸が足されても全く問題なくマッチ。

どこかイチゴに似た香りを持った酒なので、味わいよりもアロマで上手く同調した感じ。

澪…恐ろしい子…

結論

相性:◎

8.にごり酒(常温)

クリームとにごり酒に共通するまったりしたテクスチュアに着目。

スーパーでもよく見かける白川郷を。

めちゃめちゃ濁りが濃いです。おかゆか!

五味チャートと所感

甘2.5 酸2.5 旨3 苦0.2

あー、これは残念な結果。

酒が濃すぎる。旨味も邪魔でバランスが非常に悪い。

結論

相性:×

9.辛口にごり(燗)

白川郷が濃すぎたので、もうちょっとさらっとしていて、なおかつ燗上がりする辨天娘のにごりをチョイス。

五味チャートと所感

甘1 酸2 旨3.5 苦1

白川郷よりはマシだけど、やはりミスマッチ感はぬぐえない。

口に入れた瞬間の酒感の強さがちょっときつく、さらに旨味がケーキを凌駕して中盤まではバランスが悪いんですが、不思議と後半になるとキレの良さと苦味が奏功してバランスがとれてくるんですね。

この時間軸の変化は面白い。とはいえ、わざわざ合わせるほどの価値はありません。

結論

相性:△

10.香り系純米大吟醸

フルーティでフローラルな香りを放つ酒ならば、おなじくフルーティなアロマを持ったケーキと合うのではないか。

今回は33%磨きの栄光富士を使います。米は雪女神。

驚くほど旨味が軽い酒なので、その点でも期待大。

五味チャートと所感

甘3 酸2.5 旨1.5 苦1

相当カプロン強し、そして33%とは思えないしっかりした甘味。

酸もそこそこあるが、やはり旨みが極小。

うん、悪くないですね。かなりいい線いってます。

酒の酸と苦味が少々強く、思いのほか含んだ際のインパクトがあるので、ショートケーキよりも、もっとフルーツの存在感があるムースなんかと相性がいいかもしれません。

結論

相性:〇

11.スパークリング+甘口濁り

ここからは以上の結果を踏まえてブレンドをしてみます。

イマイチだった白川郷を足して、即席で活性のうすにごりにしてみます。

比率は濁り3:スパークリング7くらい。

五味チャートと所感

甘2 酸2.5 旨2.5 苦0.2

おっ、これはかなりいいですね。

ぼってりしていた酒が随分軽くなり、なおかつ程よくとろみが残るのでテクスチュアも合います。

チャート上は旨味が邪魔しそうな気もしますが、実際合わせると炭酸が旨味の野暮ったい部分を切ってくれます。

また、それによって濁り酒にありがちな糠臭さがなくなり、もともと澪に備わっているイチゴのアロマだけが残ります。

結論

相性:◎

12.スパークリング+香り系純米大吟醸

相性がよかったもの同士をブレンドしてみます。

栄光富士の香りが加わったら最強じゃないの?という見立て。

比率は5:5で。

五味チャートと所感

甘2 酸2.5 旨2 苦0.1

あれ?悪くはないんだけど、期待したほどじゃないな。

ちょっと酒の存在感が強くて、ショートケーキに勝っちゃってる。

炭酸が弱まり、さらに大吟醸の持っているパワーが無駄に前に出てきてしまった。

澪の比率を7割まで増やしてみると相性は良くなりましたが、結局味わいはほとんど澪なので、あまり栄光富士を足す意味がないという。

結論

相性:〇

まとめ

結局、澪

最終結論としては、澪が最高の相性、ということになります。

大手の酒が栄冠を勝ち取るというのは判官びいきで小蔵を応援したい当サイトとしては悔しいんですけどね。

なお、応用として行ったブレンドも悪くありませんが、そこまでの必要性は感じませんでした。

旨みは少ないほうがいい

ショートケーキが思いのほか軽く、やはり一番のネックになったのは旨味の強さと糠臭さでした。

それらが弱い酒ほど相性がいいということは間違いありません。

酸が強いのは意外にOK

また、酸が強いと合わないかなーという予想でしたが、意外に合うことが分かりました。

ただし、クエン酸、リンゴ酸、酢酸がメインのスッキリした冷旨酸系を選ぶ必要はあります。白麹はうってつけですね。

乳酸、アミノ酸系の厚みのある酸は旨みに繋がってしまうのでイマイチになります。

甘みの強さはあまり影響しない

面白いのは、酒の甘み自体はそこまでペアリングに影響しないという事実。

冒頭に書いたように、甘いものにはそれ以上に甘い酒をというのが一つのセオリーでしたが、ここではそれ以外でも合わせられることが分かりました。

甘い酒は甘いなりにフィットしますし、ドライな酒もそれはそれとして口中をスッキリさせる効果を得られます。

スパークリング日本酒

結局のところ、重要なのは酸と炭酸の作用、そして旨みの少なさってことですね。

そう考えると、低アルコールのスパークリング日本酒が最強なんですね。

今回は澪を使いましたが、いろんな蔵から低アルスパークリングはリリースされているので、機会があれば試してみてはいかがでしょう。

最後に

過去最難関と思われたペアリングの実証でしたが、なんとかなっちゃいましたね。

日本酒の懐の深さには驚かされるばかりです。

白麹とかハチミツ燗とか、まだ試せてないパターンもあるので、そのうち第二弾やります。

え?需要がない?

いいんです!もはや実験が趣味なんですから!

それではまた!

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