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チョコレートと日本酒

choco

チョコレートと日本酒を合わせるなんて暴挙だとお思いの方も多いでしょう。しかし、知っている人は知っている。古酒とならチョコレートもバッチリ合わせられるということを。

チョコはビターなものを

今回はチョコレートを日本酒と合わせます。ここまで来ると別に無理やり日本酒合わせなくたっていいじゃん、とも思えてきますが、いやいやそこはほら、日本酒の可能性を広げるためと思って。

いつもだったら食材の説明から入るんですが、チョコレートはチョコレートですから詳しい解説は不要ですよね。

で、今回題材にしたのはカカオ70%の比較的ビターな板チョコ。スペインではトップシェアを誇る 「Delaviuda」(デラビューダ) というメーカーのものになります。

高級スーパーや輸入食材の店なんかに置いてありますが、しっかりとカカオの味がして美味しいのでチョイスしました。特にこのメーカーならではの特徴があるわけではないので、これ以外のものでも全く問題ないとは思います。

しかし、コンビニで売ってる国産のチョコだと、どうにも味がペラっとして単純にイマイチなので、どうせなら良いものを食べましょう。

で、五味を数値化すると甘3酸2旨4苦3ってところでしょうか。

ちなみに、ここで甘みの強いもの、例えばミルクチョコレートなんかをチョイスしてしまうと日本酒とのペアリングにおいては、かなり難易度が上がります。日本酒の甘みがチョコによって消されてしまい、完全に負けてしまうんですね。

ですから、ここは注意が必要。

合わせる日本酒を考える

熟成によるカカオ感を生かす

日本酒は熟成して古酒になるとナッツやカカオのような焦げた風味をまといはじめます。もちろん、日本酒の原料にカカオなんて使ってるわけがないんですけど、不思議なものですね。

当然、チョコと合わせるならこれを生かさない手はありません。

酒の強度に注意

このカカオ感に加えて、酒の強度も大切なポイントになります。つまり、ふんわりした繊細な酒ではチョコの力強さに負けてしまうのです。

ちなみに強度って何?という方はこちらをご覧ください。

チョコレートなんてのは食材の中でも最強クラスの強度を誇ります。味が強く、密度もぎゅっと詰まっている。ですから、それと同じくらい強烈なパワーをもった酒を合わせる必要があります。

ぶっちゃけ、その観点から言っても最適な酒はウイスキーかブランデーです。まあそれを言ったらおしまいなので見なかったことにしてほしいんですが。

ただ、日本酒でもそれに近い強度を持った古酒ってのは案外たくさん存在するのです。

じゃあ、古酒ならなんでもいいかというと、これもまた難しいところなんですよね。

基本的には熟成年数に応じてカカオ感も増していきますが、モノによってはたった3年ほどでまるで10年寝かしたような味わいになる酒もあります。常温で熟成させたのか、低温で熟成させたのか、また磨きがどの程度か、酵母は何を使っているかなど、様々な要素が複雑に絡み合って熟成が進むので、単純にスペックだけで味を測ることはできません。こればっかりは飲んでみないとね。

酸の強さは控えめで

そしてもう一つ大切なポイントになるのは酸。日本酒の酸が強すぎるとチョコとの親和性が低くなります。

そんなわけで、まとめると、チョコに合う日本酒とはそれなりに熟成した古酒で、強度が強く、酸が弱い酒ということになります。

というわけで今回選んだのはコイツ。分福の本醸造原酒です。

分福 本醸造原酒

分福酒造は群馬県館林市で1825年から酒造りを営む老舗。ここの酒は旨み系で熟成によって本領を発揮するタイプが多いですね。

肩貼りには蔵内12年貯蔵とありますが製造はH17年です。ということは出荷してからさらに1年半くらい寝かせてるので、だいたい13年~14年熟成ってことになります。

まあ、ここまで来ると12年も14年もあんまり変わらないとは思います。人間で言ったら75歳も77歳ももはや大差ないでしょ?それと同じ。

アルコール度数は19度とかなり強め。軽くなりがちな本醸造ながら、しっかり強度もあるし、古酒ならではの複雑で深い香りと味わいを備えています。加えて、後口でふわっとした柔らかさもあり、この辺りがアルコール添加の効果なのかなと感じます。つまり非常に意味のあるアル添と言えるのです。

五味と合わせ方のコツ

五味を分析すると甘3酸2旨4苦2くらいで、苦味以外はほぼほぼチョコレートと同じバランス。これで合わないわけがないってくらいの数値ですね。

ただ、強度に関しては日本酒の中でも最強クラスながら、やはりチョコレートと比べるとどうしても負けてしまう。そこでポイントになるのは食べ方(合わせ方)です。

チョコレートが口にたっぷり残ってる時点で酒を含んではいけません。あくまでチョコを嚥下した後、口の中に余韻が残るくらいのところで酒を飲むのです。それによって、強度のバランスがとれるようになります。

そして、もう一つ大事なのは温度。チョコレートは油脂の塊。それゆえ、高い温度で溶解します。すなわち、酒を燗にすることでより親和性が増すのです。

実食!

それでは実食です。

デラビューダをひとかけ割って齧ります。舌の上で溶けていく濃厚な味わい。それと同時に鼻からカカオの風味が抜けていきます。うーん、やはりこれは良いチョコレートですね。とりあえずはこいつを喉の奥に追いやりますが、それでも余韻というにはあまりに存在感のある苦味と甘みが口内に残ります。

ここで、分福の燗を一口。ああ、間違いないですね。口中の苦味と旨みが見事に調和する。今回ばかりはペアリングじゃなく、マリアージュと言わせてください。それくらいぴったり寄り添って流れていく。完璧。

チョコと酒の甘みのレベルも同じくらいで、何より熟成による焦げたフレーバーが完全に同調します。

上述したように、チョコがたっぷり口に残っている段階で酒を含んでしまうとチョコが勝ってしまいますので、ここだけは注意しましょう。まあ、この辺の調整は食べながら何となく自分の感覚で行ってくださいな。

まとめ

日本酒の古酒をよくご存じの方であれば特に驚くこともなかったかもしれません。ただ、一般的にこのあたりのペアリングは知られていないのが現状です。

日本酒はこんなにも幅があるんだということを分かってもらえたら非常にうれしいですね。

なお、チョコレートと日本酒に関しては古酒以外にもう一つ面白いペアリング手法があるんです。それは、なんと日本酒にコーヒーをブレンドするという禁断の荒業。その記事はまた別途アップしますのでお楽しみに。

それではまた!

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