日本酒の中でも特殊な立ち位置にいるどぶろく。
最近の甘酒ブームの流れに乗ってなのか、地味に人気が上がっているという噂も。
そんなどぶろくにはどんな料理を合わせるべきなのでしょうか。
どぶろくとは
税法上の定義
清酒は上槽と言って醪(もろみ)を酒粕と原酒にわける作業があります。
醪は酒になる一歩手前の状態。それを濾すことではじめて清酒を名乗れるんですね。あくまで税法上の定義ですが。
逆に言うと、この濾す過程を経てないものが「どぶろく」なんです。
じゃあ、濁り酒って何?と思いますよね。
一般的に売られている濁り酒は、言ってみれば粗濾しです。目が粗いので醪の成分が多く入って濁ってるわけです。
要するに、どぶろくってのは濁り酒のさらに濃いやつという認識でよいかと。
※どぶろくを含めて白濁した酒は全て濁り酒であるとする考え方もあります。
さまざまな種類
どぶろくと一口で言っても、結構な種類が出ています。
恐らく、20種以上はリリースされてるはず。
非常に大雑把ではありますが、これらは生と火入れに大別できます。
生は酵母が生きているのでシュワシュワの炭酸とフレッシュな風味が特徴。
対する火入れは、発泡はしておらず、とろりとして落ち着きのある風味。米の旨味を存分に楽しめます。
基本的な味わいとしては甘めな傾向が強いですが、それでも酸味が強めのものもあれば、甘さは控えめで意外にすっきりしたものもあって、様々です。
ですので、ここでは味ではなく別の観点から、合わせる料理を導いていこうと思います。
どぶろくに合う料理を考える
テクスチャーに着目
どぶろく最大の特徴、それはあのテクスチャー、つまり、食感・質感ですね。
どろっとしたトロみは言わずもがなですが、それに加えて、生の場合は酵母が瓶内で活性しているのでピチピチ、シュワシュワとした炭酸の刺激も得られます。
この二つのテクスチャーに着目して、同様の質感を持った料理をペアリングさせるのです。
どろっとして、刺激的なもの… どろっとして、刺激的なもの…
そう、カレーです!
カレー
カレー。まさにどぶろくのためにあるような料理。
スープカレーは別として、一般的なカレーであれば家庭的なものから流行のスパイスカレーまで、かなり広い範囲でペアリングできます。
濃度が同じくらいだと、親和性が一気に上がるのです。
そして、スパイスの刺激が炭酸の刺激と重なることで見事に同調するんですね。
通常は辛いものと日本酒の相性は良くないんですが、どぶろくや濁りは話が別。
辛さを始めとした刺激感をマイルドな濁り成分が包み込んで緩和してくれる作用もあります。
そして、同じ理屈からもう一つの料理が浮かび上がります。
ほら、中華でトロっとして辛い…
そう、麻婆豆腐です!
麻婆豆腐
カレーとは全然違う料理でありながら、餡のとろみやスパイシーな辛さという点では共通しています。
ですから、これもどぶろくと好相性であることはお分かりいただけますよね。
欲を言うなら、木綿豆腐よりも絹ごしのほうが、より滑らかなのでテクスチャーを合わせやすくなります。
クリームコロッケ
三つめは少し目先を変えて、洋食であるクリームコロッケなんかも面白いんです。
これもテクスチャーの同調がポイントですが、クリームのとろみはわかる。でも、スパイスなんか使うっけ?
実は、この場合はスパイスじゃなくて衣のサクサク感がポイントなんです。
辛さによるピリピリも、揚げ物のサクサクも、餃子の羽根やクラストピザのパリパリも、どぶろくのピチピチ、シュワシュワと同調するのです。
これはどぶろくに限らず、発泡系のお酒全てに共通するセオリーですので、覚えておいて損はないですよ。
クリームコロッケとのペアリングについて、詳しいレポートは以下を参照してください。
まとめ
火入れでも問題なし
主に生のどぶろくと相性のいい料理を紹介してきましたが、火入れでも全然いけます。
カレーや麻婆豆腐の場合は、発泡がなくなる代わりに、先にも書いたように刺激を包み込んで全体をマイルドにしてくれるので、これはこれで違った美味しさになります。
甘さが気になる?
また、甘味が強めなものが多いので、そこの相性が気になる方も多いでしょう。
確かに、モノによってはバランスがイマイチなのもあるかもしれませんが、少なくともカレーなら大丈夫!ラッシーだと思えばバッチリ!
その他のおつまみ
あとは、火入れならクリームシチューや白菜のクリーム煮なんかもいいですね。
そうそう、忘れてた!
料理ではないですが、カマンベールチーズ、もしくはクリームチーズ。これは生でも火入れでも完璧に合いますので是非お試しを。
カマンベールはチンして溶かしたらこれまた絶品。
そんなわけで、いろいろなどぶろくで、多彩なドロドロ系ペアリングをお楽しみください。
それではまた!