スパイス/エスニック

どぶろくにグリーンカレーを合わせてみよう

変わり種の日本酒を見つけたので、いろいろ試したらグリーンカレーが面白かったというお話。

天穏 雑穀入り発泡どぶろくKODANE

ちょっと奥さん!すごく面白い酒を見つけたんですよ。

天穏の雑穀入り発泡どぶろくKODANEって言うんですけどね。

なんか、情報多すぎて大変なんですが、一つ一つ見ていきましょうか。

天穏

まず銘柄である天穏

醸すは島根の板倉酒造という蔵。派手さはありませんが、ものすごく質の高いお酒で以前より大ファンなのです。

何というか、今はやりの華やかに香るフルーティなタイプではなく、かと言ってクラシックなどっしり系でもない。カジュアルさと、どこか凛とした昔ながらの酒らしい格調を併せ持つ見事なお酒です。

水もと

そんな天穏がどぶろくですと?しかも水もと!?

水もとってのは奈良時代からある、日本酒造りのルーツともいえる製法で醸したお酒です。「菩提もと」とも言います。

味わいの傾向としては、ある種の野性味と比較的強い酸を持つことが多いですね。ヨーグルト的な乳酸味も感じるものも多いです。

個人的にこの味わいが好みでして、実は私が日本酒にハマるきっかけとなったお酒も菩提もとでした。

雑穀麹

さらに、これが雑穀入りとな。さすがに初めて飲みます。

見てよ、この黒いやつ。黒米かな?

種類としてはこれだけたくさん入ってるそうで。すげえな。

しかもこれら雑穀はただ醪に混ぜただけでなく、ちゃんと麹にしてあるんですよ。

そのほかにも意欲的な試みがたくさんあって、とても書ききれないので、コンセプト含めて興味ある方はこちらからご覧ください。めちゃくちゃいろんな事考えてらっしゃいます。

酒はKODANE(こだね) 雑穀入り発泡どぶろく – 板倉酒造

味わい

御託はいいから肝心の味はどうなのよって?

これがですね、すこぶる美味いんですよ。

当然ながらどろどろで、活性しているためシュワシュワです。

味は甘酸系で、雑穀や水もとのイメージに引っ張られて野性的な味かな?と思いきや、意外にも洗練されていますね。

そんな中でも(いい意味での)雑味が親しみやすさに繋がっている気がします。

合わせる料理を考える

こちらでも書いてますが、どぶろくの場合、まず着目すべきは発泡感どろどろの両テクスチャー。

そこに甘酸っぱい味わいが重なるわけですが、ここで思いついたのがアジア料理。

中でもタイ・ベトナム系ですね。

タイ・ベトナム料理と日本酒

そもそも、タイ・ベトナム系の料理って日本酒と非常に相性が良くてですね。

淡白な味付け傾向と、ナンプラーやニョクマムといった発酵系調味料、さらにはパクチーやレモングラスなどの爽やかな香草が日本酒にとっても馴染むんです。

あっちの料理ってなぜか酸っぱ辛いの多くありません?その感じと、このどぶろくの甘酸っぱさが合うと思うんですよ。

グリーンカレー

そんなアジア料理の中から今回登場するのはグリーンカレー。

ココナッツミルクとコブミカンの葉の独特の香りが特徴で、青唐辛子が爽やかな辛さを演出。爽やかつっても相当辛いんですが。

普通ならこんな辛いものと日本酒は絶対合わないんですが、濁りだけは話が別。

どろっとしたテクスチャーのおかげで辛みをマイルドにしてくれるはず。

で、作るのは面倒なのでカルディのレトルトを使用。

今回はライスはなしでスープとしていただきます。

実食!&分析

これはですね、めちゃくちゃ面白いです。

美味しいとか不味いとかじゃないくて「面白い」。いや、美味しいんだけどね。

五味チャートにしてみると、明らかに合っていないのはお分かりいただけるでしょう。

旨味だけはほぼ同期していますが、それ以外はほぼバラバラ。

そう、これは完全に補完ギャップの関係性。

ただ、足りない部分を補って一つの完成形に近づくというよりは、たくさんの要素がごちゃごちゃして(いい意味で)カオスな感じ。

普通はそんなの「まとまりがない」と一蹴するところですが、今回はグリーンカレーの独特の匂いが、混乱の中に不思議な一体感をもたらし、全く経験したことのない味わいに。

よくある同調して一体化するペアリングとは違い、まさにアジアの雑踏のように猥雑で複雑、ちょっとクセがあるが一度ハマると抜け出せない。そんな魅力を持っています。

まとめ

このどぶろくは、背景や製法なども考えると特別感がありますが、ドライにペアリングだけを考えるなら、他のどぶろくでも同じ体験ができると思います。

がんばっていろいろ表現してみましたが、こればっかりは食ってもらわないと伝わりません。

ぜひお試しください!