スパイス/エスニック

モンゴル料理と日本酒の相性

モンゴル料理って食べたことありますか?インドやタイ、ベトナムなんかに比べるとまだまだマイナーな存在ですが、ざっと調べる限りだと都内では専門店が10店舗強くらいはあるみたいですね。

で、そのモンゴル料理と日本酒を合わせるという『第2回世界一旨い日本酒の会「モンゴルの羊料理と日本酒の罪な相性」』が2019年7月21日に行われましたので、そのレポートを。

世界一旨い日本酒の会

ある日facebookでふと目にした「モンゴル料理と日本酒」の文字。

和食以外と日本酒のペアリングを探求する私が見逃がすわけもなく。しかも主催がこの世界では著名なあの古川修(ふるかわよしみ)氏っていうんだから行くしかない。

実はこれまで、まともにモンゴル料理なるものを食べた経験がなかったこともあり、期待に胸を弾ませながら幡ヶ谷へGO。会場はモンゴル料理店「青空」さん。

エスニックな香りに導かれて店のドアを開けると、今日のためにカウンターにずらっと並べられた日本酒の一升瓶。否が応にもテンションが上がります。

すでに参加者の方々はほとんどいらしており、どこに座ってよいものか挙動不審に… なんとか空きを見つけて着席。ほどなく古川さんのご挨拶が始まり、いよいよ会のスタートです。

素晴らしきモンゴル料理の数々

今回振舞われた料理は全部で11種類!

  1. チャンスマハー(茹で羊肉)
  2. ボーズ(小籠包)
  3. パクチーサラダ
  4. 木耳サラダ
  5. 千切り豆腐のサラダ
  6. ピータン豆腐
  7. ホルモン煮込み
  8. チャーハン
  9. トマト卵炒め
  10. チヂミ
  11. 羊肉クミン炒め

いかにもモンゴルな羊肉料理から、ほぼ中華料理だなーと思わせるものも。

こちらのお店は内モンゴルの家庭料理が売りとのことですが、内モンゴルってのは中国との国境に面しているので、中華っぽいニュアンスがそこかしこに見られたのは納得。

本来、伝統的なモンゴル料理に香辛料はほとんど使わないそうですが、こちらのお店では結構多用してたように思います。

中華の影響ってのと、日本人の口に合うよう羊の臭み消しとして使ってるのか。お店の方にそのあたりのことをもっと詳しく聞くべきだったなあ…

羊肉のクミン炒め

いずれも非常に美味しかったんですが、個人的な優勝は11の羊肉のクミン炒めですね。未だにスパイスの余韻が脳に残っていて、非常に癖になる味わい。もしかしたら伝統的なモンゴル料理ではないのかもしれないのですが、それはそれとしてまた食べたい。

次点はやはり伝統的な茹で羊肉、チャンスマハー。肉そのものの味が濃くてボリュームもあって最高。マトンなのに全然臭みが感じられなかったのは、八角が少し入っていたからかな。

熟成させた無濾過生原酒

で、大事なことを忘れちゃいけない、日本酒とのペアリングです。今回用意された日本酒はどれも熟成した無濾過生原酒という変態…いや、通好みのチョイス。これらを全て燗つけしての提供。

  1. 悦凱陣 山廃 讃州雄町 2017BY
  2. 竹鶴 雄町 2015BY
  3. 十旭日 生酛 改良雄町 2015BY
  4. 妙の華 山廃 備前雄町 2017BY
  5. 玉川 山廃 山田錦 2017BY(常温熟成)
  6. 奥播磨 山廃 山田錦 2018BY
  7. 秋鹿 生酛 山田錦 2016BY
  8. 秋鹿 生酛 山田錦 2010BY(常温斗瓶自家熟成)

そもそも古川氏はこの生熟成をずっと提唱してきている方なので、当然といえば当然なんですが。ちなみに、1~7までが笹塚の本間商店で買い付けたもので、残り1本は古川さんの自家熟成とのこと。

そして、この自家熟成の秋鹿が滅法うまい。焦げ感もないし、生老ねにありがちなイソバレルアルデヒドもほとんどない。丸みがあって腰のある酸が躍動する素晴らしい味わい。生酒を8年以上も常温で自家熟成してこれってのは正直驚愕です。

自分も生酒の常温自家熟成を何本も試してますが、まずもって上手くいかない。古川さんに伺うと、確かに大半はヘタったり老ねたりするねと仰ってました。

コツとかあるんですか?と聞くと、香り系ではない完全発酵してる銘柄を選ぶことが大事、とのこと。中途半端に糖や香りの成分(イソバレルアルデヒドの前駆物質)が残ってるとそれが変質してダメになるということのようですが、詳しくはわかりません。

羊肉との相性

ピンボケのチャンスマハー(茹で羊肉)

基本的にはどのお酒も強度があって主張が強いものばかり。必然的に肉やスパイスとも合いやすくなります。

以前から羊肉と日本酒が合うことは知っていたんですが、今回確信に変わりました。特にこういった燗上がりする酒で、なおかつ生熟成という少々癖のある風味が羊のクセと相まって得も言われぬハーモニーを奏でます。

これまではラム(子羊)をチョイスしてきましたが、むしろマトン(成羊)のほうが日本酒と合うような気が。なんだろう。風味なんですかね。まだよくわからないので、もうちょっと研究してみたいと思います。

まとめ

そんなわけで、あっという間の三時間。初めてお会いする方々ともすぐに打ち解けて大変楽しい会でした。楽しすぎて勉強のために来てることも忘れ、写真はピンボケのブレブレ、メモもいい加減。すっかり飲んだくれただけになってしまいましたが、これが私の平常運転。

機会があったら、もっとハードコアな臭みのある茹で羊肉を香辛料なしで食ってみたいですね。あと馬乳酒も。

いずれにしろ、羊肉と日本酒の相性は今後もうちょっと掘り下げて行きます。それではまた!