コラム

塩辛が日本酒ペアリング理論を崩壊させる

塩辛

以下の記事で日本酒ペアリング基礎理論における味覚のボリュームについて書きました。
五味のうち明らかに突出したものがあるとバランスが崩れてペアリングが成立しない、というお話。

ペアリング基礎理論の矛盾点

勘のいい方はもしかしたら気づいたかもしれません。あれ?塩辛とかからすみとか、日本で昔から親しまれている酒肴ってめっちゃ塩辛いけど日本酒に合うじゃん!おかしくね?と。

そう、確かに塩辛は塩味が突出しているので、私の理論に従えばすべてがそれに支配されてしまうはずです。

酒肴と日本酒の相性

しかし、言うまでもなく塩辛くて旨味が強いつまみは日本酒のアテとして最適です。対比効果によって塩味が酒の甘味を引き立たせてくれますし、この手の珍味系って臭みのあるものが多いのですが、酒がそれをマスキングすることで旨味も際立たせてくれますしね。

さらに、淡麗だろうが濃醇だろうが、だいたいどんな日本酒を合わせてもマッチしてしまうんです。恐ろしや塩辛。このままではせっかく打ち立てたペアリング理論が崩壊する…!

ペアリングの定義

ここでペアリングの定義についてもう一度考えてみましょう。
そもそも、このサイトで言うところの「ペアリング」とは「料理も酒も、あわせて二つで一つの食事として考えたときに互いを引き立てあう相性の良い組み合わせ」のことなのです。長いですね。ポイントはこの太字部分!あくまで酒も食事の一部であることが前提なんですよ。
→参考:日本酒ペアリングの歴史的背景。食中酒は新しい考え方?

酒と料理、どっちが主役か

塩辛などのいわゆる酒肴ってのは完全に酒を引き立てるための食材です。つまり、酒ありきの食べ物なんです。酒を主役に考えてしまうと、本サイトでのペアリング理論は矛盾だらけになってきます。そうじゃないんです「食事」の枠の中で、まずは料理があって、それを引き立たせる、もしくは料理も酒も両方で引き立てあって美味しくなる相乗効果を狙っていくのが、私の提唱したい「ペアリング」なのです。ですから、食事という舞台において、酒と料理はダブル主演なんです。

もちろん、酒を主役に置いた組み合わせもペアリングの一つには違いないですが、塩辛に代表される塩気の強い酒肴は、その効果というか酒に及ぼす変化が限定的で単調なんです。いうなれば「塩辛は日本酒に合う!以上!」で話が終わってしまうんですよ。そんなもん誰でも知ってるし、ここで扱う意味もないですよね。

なんだか言い訳がましくなってしまいましたが、そういうことなのでよろしくお願いします。ではまた。