日本酒ペアリング実践

搾りの違いはペアリングに影響するのか

隆eye

日本酒は上槽(搾り)のタイミングや方法によって味が変わる。ご存知の方も多いですよね。

今回、完全同一スペックで「荒走り」「中取り」「袋吊り」「責め」の4種類を利き比べる機会に恵まれましたので、これらがペアリングにどう影響するかを検証していきます。

上槽とは

上槽とは搾りとも言いますが、日本酒の最終段階で米と麹を発酵させた醪(もろみ)を酒と酒粕に分離する作業のことです。

で、搾った結果、序盤に出てくる酒を「荒走り」、中盤あたりで取れるものを「中取り(中汲み)」終盤を「責め」と呼ぶのです。

詳しく知りたい人は各自ググってね。

それぞれの味わいの特徴

一般的に「荒走り」はその名の通り荒々しくフレッシュさがあり、香りが強く比較的甘みもあるとされます。

「中取り」はバランスがよく雑味が少なく、そのタンクの中では最も品質が安定した良いものとされます。

「責め」は味が濃いめで雑味も多く、アルコール度数も高めなので辛くてパンチがある酒質になります。

これらの表記が特にない酒の多くは、それぞれを巧いことブレンドして味を調整していたり、そもそも分けて絞ってなかったりします。

隆 藤ラベル 無濾過生原酒 備前雄町五拾

いつもお世話になっている和光市のまきしま酒店さんで、丹沢山で有名な神奈川県の銘醸、川西屋酒蔵店の「隆 藤ラベル」搾り違いを扱ってたので、即買いしました。

備前雄町の50%精米です。

一番手前ににごりが映ってますが、これは未購入です。「荒走り」「ノーマル」「袋吊り」「責めの中の責め(←最後の最後ってことですね)」の4種類をそれぞれ300ml瓶でいただきました。

こちらのお店、なんと量り売りしてくれるんですよ~。最高でしょ?味比べするときに非常に助かってます。

袋吊りについて

ちなみに「袋吊り」とは上槽のタイミングではなく、方法の違いです。

これもいくつか方法がありますが、余計なストレスをかけず袋に入れてその重力だけで絞るため、雑味がなくきれいな酒質になると言われます。

このため、鑑評会出品酒や高級酒で使われることの多い手法なのです。

ざっと味見

ノーマル

まずはノーマルを。これは中取りではなく袋吊り以外のブレンドになります。

若い感じの爽やかな立ち香。甘さはほどほど、酸は表立っては主張せず底から支えるタイプ。

雄町らしい広がりのある旨味から、新酒独特の苦味をマイルドに感じつつキレていきます。鼻から抜けるアルコール感が若さとフレッシュさに繋がっている印象。

なるほどねー、当然だけど若々しい酒だよね。

袋吊り

次に袋吊り

立ち香はやや弱いか。酸が少し存在感アリ。

その分、旨味が軽く苦味も弱くなり上品な印象。全体的にノーマルよりもシャープさを感じます。

荒走り

続いて荒走りを。

苦味と雑味が口に含んでからの早い段階で感じられます。酸と旨味のニュアンスは袋吊りに近いのかな。

終盤で苦味と軽い酸味がぶり返すのが面白いですね。

責めの中の責め

ラスト、責めの中の責め

こ、これは…荒走りとかなり印象が似ています。正直、ブラインドで利きわけろと言われたら困難。

あえて荒走りとの差を挙げるなら、若干雑味は抑えめながら、終盤の苦味の存在感はこっちのほうが強いのかな。

合わせる料理

全種類通して共通するポイントはやはり苦味ですね。

苦味と言えばピーマン。というわけで、ピーマン史上、最も簡単に作れる料理を合わせました。

ピーマンのナムルです!

細切りにしたピーマンを40~50秒レンジでチンして、塩、旨味調味料(鶏ガラスープの素でも可)、ごま油でさっと和えて、最後に煎りゴマをパラパラっと。

所要時間2分。

基本的に苦味のあるつまみは日本酒に合いますので、非常に重宝します。

これ、塩昆布で和えても旨味が増していい感じになりますよ。

実食!

とりあえずは、ピーマンのナムルを。

あれ?思ったよりも苦味が少ないな。

ピーマンって火を通すと甘みが増して、苦味は減退するんだよね。ちょっとレンジアップの時間が長かったか。半生くらいのほうが良かったかも。

でもこれはこれで美味しい。口中にふんわり残る苦味に対して、各種の酒を当てていきましょう。

まずは荒走り

うーん、悪くはないが、ちょっと酒の苦味のほうが強いか。

責めに関しても同様の印象。

平均的なノーマルでは、もう少し相性が近づくものの、なんだかんだ一番合ったのは袋吊りでした。

苦味にフォーカスしてペアリングを考えたにも関わらず、最も苦味が弱くて雑味のない酒の相性が最高だったという結果。

荒・責めはちょっと雑味部分が若干うるさいというか、味の要素が増えすぎてごちゃごちゃしちゃうんですよね。

ふきのとうとか、ゴーヤとかもっと苦味のインパクトが強いものだったら、荒・責めあたりがぴったり適用したかもしれません。

まとめ

搾り云々というより、苦味に対してどう合わせるべきかが見えた検証でした。

苦い料理には、同じく苦味のある酒が合う、ただし雑味が多いとペアリングの邪魔になるということが分かりました。

荒走り・責めに関してはどうしても雑味が多くなり、単純に苦味にフォーカスすればいいってもんじゃない、ということは言えます。

同じように味わいが複雑なカレーとかタイ料理みたいなエスニック系のほうが合わせやすいのかな。

このあたりはもうちょっと研究が必要ですね。

それではまた!

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