中華

麻婆豆腐には雄町が合う

誰もが一度は口にしたことがあるであろう麻婆豆腐。

ここまで家庭に浸透している以上、日本酒が合わないとしたら問題だと思うのです。

実は以前も店で合わせたときのレポートは上げていますが、今回はもっと簡単にお試しいただけるよう、より深く掘り下げてみようと思い立った次第。

麻婆豆腐

今さらではありますが一応。

メインの材料は豆腐と挽肉(豚が一般的)。

香味野菜としてネギ、ニンニク、生姜。

調味料は豆板醤が最大のポイントで、さらに鶏ガラスープ、塩コショウ、味の調整のためにハチミツや豆鼓(とうち)などを使うこともあります。

最近の流行はシビ辛、つまり痺れるような辛さのある味付けですが、中華ではこの痺れる辛みを「麻(マー)」、唐辛子系のホットな辛みを「辣(ラー)」と言って区別しています。

花椒(ホアジャオ)を使用することでビリビリくるを表現できます。

合わせる日本酒を考える

セオリー

辣のホットな辛みは日本酒と相性が悪いんですよ。多くの日本酒は繊細なので、あの派手な辛さにどうしても負けてしまう。

ただし、濁り酒であれば辛みをマイルドにしてくれますし、山陰系をはじめとするパワフルな純米酒であれば、強度があるのである程度は渡り合うことが可能です。

はい、ここまでがセオリー。

まだ数少ないですが、いくつかある麻婆豆腐を出す日本酒専門店でも、とりあえずはこのセオリーを踏襲していると思われます。

しかし、本当に濁り、またはパワフルな酒しか合わないのか。もっとチョイスの幅を広げられないのでしょうか。

そこで、片っ端からいろんなタイプの酒を試したところ、一つの発見に至ります。

雄町

それは「雄町」。

雄町を使った酒は、旨みがぼわっと横に広がるんですね。その旨みと麻婆豆腐のあんの旨みがリンクして非常に合うようになります。

辛みに関しても、普通のレベルであれば問題なく、なんというか旨みのリンクによって酒が麻婆豆腐の一部のように感じられるので違和感がないんですよね。

綿屋 純米吟醸 雄町

いろいろ試した中でも、特にこの綿屋は驚きでした。

ここの酒は淡麗系の綺麗な酒質が特徴なのですが、どう考えても麻婆豆腐にくらべて軽すぎる。しかし、合わせてみると不思議とハマってしまう。

全体的には軽いんですが、旨味の部分で存在感を主張するので、ここがペアリングのポイントになっています。

五味チャート

綿屋は甘2酸2.5旨3苦0.5。アタックは軽いものの旨みの部分はやはりボリュームを感じます。

対して麻婆豆腐。 塩2.5 甘1.5 酸0.2 旨3.5 苦0.2。基本、あんが濃くパワフルではあるんですが、豆腐が淡白なのでうまい具合に中和してくれます。

おー、こうしてみると意外とバランスとれてますね。

一見、酒の酸が浮きそうですが、意外と調和するんですよ。

ペアリングのタイプ

ペアリングのタイプとしては、もっとも基本的な料理と酒が一体化する「同調」ではなく、かといって足りない味を補完する「ギャップ」とも違う。もちろん、ビールで油物を流すような「ウォッシュ」でもない。

ある一要素だけが手をつなぎ、それによって全体を押し上げるタイプ。

あえて言うなら八海山普通酒が得意とする「寄り添い系」に近いかもしれません。

まあ、ごちゃごちゃ御託を並べてても仕方ない。とにかく試してみてください。

代わりの酒

綿屋が入手できない場合でも、雄町使用であれば大抵合うので大丈夫です。

ただ、生酒はイマイチなので火入れのものをお勧めします。

可能であれば、数年熟成してるとベターですね。この天穏の純米吟醸2年熟成なんかはかなり相性よかったです。

とりあえずは、このへんのゴツい純米燗酒系が無難に合わせやすいですが、雄町の面白みを感じたいのであれば、綿屋のようにあえて軽めの銘柄をチョイスしてみてはいかがでしょうか。

また、厳密には雄町じゃなくても、横に旨みが広がるタイプであれば、恐らく問題ありません。

とはいえ、それを探すのも大変だと思うので、ひとまずは雄町使用の酒ということでお求めになるのが良いと思います。

まとめ

今回の軽い酒×パワフルな料理の組み合わせは、麻婆豆腐以外でもあるはずなんですが、あまり見つけられていません。

もうちょっと理論化できれば、応用できる幅も広がりそうなもんですが、今のところは感覚に頼っているため(組み合わせを見つける)効率が悪いですね。

綿屋は不思議とペアリングの幅が広い銘柄なので、この酒を軸にまたいろいろ探っていこうと思います。

それではまた!

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