見ての通り、バナナにブルーチーズのソースをかけたものです。
ええ、皆さんご存知のあのバナナですよ。
バナナは日本酒のアテになる
コイツ頭がおかしいのかとお思いでしょうが、これはもうね、実際合わせてみればわかります。
まずバナナ単体でも日本酒のアテになるんですよ。
日本酒って酢酸イソアミルって芳香成分を含んでいるんですが、それがバナナの香りと似てまして。なので、そこでがっちり手をつないでくれるんです。
以前もバナナごま味噌なんてもんを作ってみましたが、そのときよりバナナの原型が残っている分、さらに攻めてますね。
ブルーチーズ
そしてブルーチーズ。
同じ発酵食品ということもあって、これもものすごく日本酒と相性がいいんですね。
塩辛感覚でブルーチーズだけをちびちびつまみながら飲むのもオススメです。
そんな両者が組み合わさっているんだから合わないわけはないんですよ。マジで。
ソースの作り方
なお、今回のブルーチーズソースですが、作り方はとっても簡単。
ブルーチーズ2に対して牛乳を1くらい、とろみを出すためにクリームチーズをほんの少し足してレンチンで溶かせばOK。お好みで胡椒をかけても。
ちなみに、今回はこちらのレシピ本に載っていたものを参考にしました。
こちらでは、牛乳とクリチの代わりに生クリームを使用していますが、少量の生クリームをわざわざ買うのって嫌じゃないですか?無駄に余るし。
なので、牛乳でアレンジしてます。
合う日本酒を考える
そんな攻めたアテに合う酒は何か。
先にも書いた通り、日本酒には酢酸イソアミルという香りがあって、これがバナナとの間を取り持ってくれます。
なので、そのへんがよく出たフルーティ系がいいですね。
同じ観点から、火入れよりも生、しかもある程度バナナの甘さとブルーチーズのクセに対抗しなきゃいけないので濃いほうが望ましい。
ということで、無濾過生原酒がファーストチョイス。
もう一つは濁りですね。とろっとした食感の部分で同調させていく考え方。これもアリ。
玉櫻 とろとろにごり純米 生ver.
今回選んだのは、無濾過生のフルーティさと濁りのとろみ、双方を兼ね備えたお酒。
島根の質実剛健な蔵、玉櫻酒造のにごりです。
この酒、めちゃめちゃクリーミーで粒子が細かいんですよ。通年商品としては火入れなんですが、1~3月だけ限定で生をリリースしています。
ただ、この生、活性なんですね。つまり、シュワシュワの炭酸が弾ける仕様。
そうなるとちょっと意図からずれてくるので、あえてシェイク&2日ほど放置で炭酸抜きました。
実食!&分析
それでは実食です。
ブルーチーズ、いい感じに臭いですねえ。口に入れる前の時点ではバナナの香りはマスキングされています。
一欠け口に入れると、まず最初にチーズの塩気、臭み、そこから追ってバナナの芳香の含み香と甘みがやってきます。面白いバランス。
ここで、にごりを一口。
あー、酒もバナナもチーズも全てが混然一体となってとろけていく感覚。うまー。
分析
五味チャートを見てみると、かなりイイ感じでそれぞれの値が同調しているのがわかります。
甘みの差をどう考えるか
酒のほうの甘さが若干強いんですが、実は全く問題ないんです。それには二つ理由が。
一つは、ブルーチーズの強めの塩気によってバナナの甘さが実際よりも増強されるんですね。ですから、酒もそこそこ甘くていい。
もう一つは、甘いものと日本酒を合わせる時の掟。「食べ物よりも甘い日本酒を合わせるべし」、これがあるからなんです。
甘いものと合わせるとどうしても酒の甘さがマスキングされてしまって、必要以上にスッキリしてしまう。
それはそれでOKとする向きもありますが、やはり日本酒の醍醐味はその甘さだと(個人的には)思っているので、そこを生かしたいじゃないですか。
だから食べ物がそこそこ甘かったら、それ以上の甘さを重ねて負けないようにする。これが大事。
濃度
濃度が近いと両者はより混ざりやすくなるという物理的法則、今回はまさにそれを体現したかのようなペアリング。
実は濁りじゃない濃い目の無濾過生原酒でも試しましたが、かなりイイ線いったものの、この濁りの一体感を前にするとどうしても霞んでしまうんですね。
なお、こういったテクスチャーを生かしたペアリングはなかなか深くて、今回のような分かりやすい物理的な合わせ方もあれば、味のイメージに沿ったやり方、例えば酒がキリっとしてる(=硬い感じ)、だから食感が硬い食べ物にしてみようか、なんてのもアリなんです。
まあ、このあたりはわりと感覚的なところもあるので、理論化するのはちょっと難しいかもしれません。
まとめ
ごちゃごちゃ理屈をこねましたが、とにかくやってみないと納得いただけない案件かと思います。
もし、ブルーチーズが入手しづらければ、とりあえずバナナとフルーティ系の日本酒の組み合わせだけでも一度試していただきたい。
それによって、日本酒には刺身か塩辛、みたいな凝り固まったペアリングの概念が取り払われること請け合いです。
しつこいですがもう一度書きます。
バナナ、日本酒と合いますから!
それではまた!