日本酒ペアリング実践

エビチリと日本酒のペアリングなんて超簡単

エビチリ

これまで洋食中心に展開してきた日本酒異種格闘技戦ですが、その世界を広げてついに中国に到達いたしました。本日はエビチリでございます。

エビチリ

中華料理と言っても、私たちが口にしているものの多くは、和風中華のレジェンド陳建民が日本人の口に合わせてアレンジしたものなんです。このエビチリもその一つ。本場のエビチリは豆板醤をふんだんに使用してるので相当辛いんですが、陳建民アレンジではケチャップや卵黄を使って辛みをマイルドにしているのが特徴です。

詳しい作り方はレシピサイトなどを見ていただくとして、ここでは材料と調味料の分析をしておきましょう。

一般的に使用するのは、エビ、にんにく、しょうが、ねぎ、ケチャップ、豆板醤、鶏ガラスープの素、酒(紹興酒)、砂糖等。だいたいこんなところでしょうか。ポイントはケチャップの量で、これが多すぎると変に酸っぱくて安っぽい感じになるので注意が必要です。

それから、衣をつけて油で揚げることで全体にボリューム感と味わいの柔らかさを与えています。エビを揚げずにボイルするだけのレシピもありますが、ちょっと全体の印象が固くなってしまうので個人的には好みじゃないですね。

五味の分析

いつものように五味を数値化していきます。

レシピにもよりますが、だいたい塩2 甘2 酸2.5 旨3.5 苦0ってところでしょうか。

どれかが突出していることはなく、苦味以外は均衡がとれています。

なお、旨味は、炒めた薬味とソースの鶏ガラ、ケチャップ・豆板醤、そして揚げ衣の油分に由来する複雑なものとなります。

エビチリとはいえ、五味におけるエビの存在感は薄いんですよね。五味だけの観点で言えば、パンにエビチリのソースをつけて食べても同じものとして扱うことができます。(ハード系のパンにエビチリのソース付けて食うと美味いんですよ、実は)。

合わせるべき日本酒を考える

ぶっちゃけ、穏やかなタイプでそこそこ旨みの強い燗酒系なら何でも合っちゃうんですよ。分析とかややこしいことをするまでもなく。

ただ、それだとペアリングの考え方をお伝えするこのサイトの意義が薄れるので少し頑張ります。

香り

まず香り。料理と同じく酸臭のする日本酒はありますが、芳香ともちょっと違うのでそこを同調させる意味はあまりありません。

逆にカプロンやイソアミル系のフルーティなものは明らかにエビチリとバッティングするため除外します。

熟成香については、紹興酒を使用することもあるくらいなので相性は良いです。基本的に中華の場合はこの紹興酒をキーにして合うか合わないかを考えると簡単になる場合が多いんです。

紹興酒や日本酒の熟成酒がもつソトロンの香り(たくあんやカラメルなどに例えられる)が、なぜ中華と合うのか、詳しい理屈はわかりませんが、ここは経験からくる勘も積極的に生かしていきましょう。

というわけで、香りの条件は「穏やか、もしくは熟成香がある」ということになります。

味わい

味のボリュームは中程度~やや強め。中華の一般的なイメージに引っ張られるとガツっとボディの太い酒を合わせがちですが、エビチリにそこまでの太さは求めません

五味バランスとしては、すでに甘旨酸がきれいにバランスを保っていますので、ここに突出した味覚を足すのは愚策。となると、同様に甘旨酸が均等に配分されている酒を選ぶしかないですね。

温度

エビチリは当然温かい上、それなりの辛さもありますので、やはりここは燗でいきたいところ。料理と酒の温度が近いほど同調レベルは上がりますから。

導き出した酒

そんなこんなで導き出したのが「諏訪泉 純米」。そこそこの熟成香、太すぎずバランスのいいボディ、燗上がりするしっかりした酒質などから間違いないと判断してのこと。

意外にも上品さを感じる抜けの良い甘みと蔵内熟成(3年くらい?)によるまとまり、熟成香が魅力。酸がやや弱めでパンに合うという酒屋情報もある鳥取産の質実剛健な日本酒です。

数値化すると甘3酸2.5旨4苦0.1くらい。エビチリとほぼグラフが重なりますね。そこからも相性の良さは予想できると思います。

実食!

まず鼻を刺激するのがエビ独特の匂い。ニンニクとケチャップの酸が混じったような複雑な香りもします。

一尾のエビをつまみ上げて口に放り込むと甘味を感じる前に塩の輪郭に象られた旨味が。甘み自体は案外弱い。エビのプリッとした食感を楽しんだ後の口中には油分と旨味が残ってややまったり。ビールだったらこのまったり感を一旦流してしまうところですが、ここでは同調のための材料になるので大切にしたいところ。

高めの55℃に燗付けした諏訪泉を含むと、甘みが塩味との対比効果でやや強められる印象。ただ、その甘さが油分と手を取り合ってむしろいい感じ。適度な熟成香も違和感なく融合。高めの燗つけによって酸が少し前に出てきましたが、これがちょうどソースの酸味と響きあいます。

何より酒と料理のボリューム感がちょうどいい。酒が通過した後にエビチリの余韻が口内で揺り戻すんですが、この塩梅が重要なんですよ。

まとめ

今回はほんと簡単でしたね。上でも書いてますが、ご紹介した諏訪泉以外でも、いわゆる純米燗酒系で重すぎないものであれば大体合います。

これまで洋食系を中心に試行錯誤してきた身からすると、中華なんて和食と同じくらい日本酒に合わせやすいと思えてしまいます。まあ、麻婆豆腐とか辛さが強い四川系は難しいと思いますが。いずれにしろ、次は別の中華にも挑戦していきたいと思います。

ではまた!

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