日本酒ペアリング実践

クミンには日本酒が合う!

cumin

前回スパイスカレーをやっているので、読んでいただいた方はスパイスと日本酒の意外な相性の良さを分かっていただけたかと思います。

今回はさらに突っ込んで、単品のスパイスと日本酒の相性を探っていきます。

クミンとは

クミンといえば、おっさんのワキの香りがするということで一部のマニアに人気ですが、とりあえずカレーには欠かせないスパイスですね。これだけで料理が一気にエスニックな雰囲気になります。

クミンは、エジプト原産のセリ科の一年草で、食すのはその種。大昔はミイラの防腐剤としても用いられたとか。胃腸薬としての効能もあるようです。

なんといっても最大の特徴はその深みのある香り。単体だと強烈ですが、合わせる食材や調理法によって非常にバランスの取れた風味に変わります。

通常これだけを食べるわけではないのですが、味としては軽い清涼感を伴う痺れるような刺激と苦味を持っています。日本酒と合わせる際にこの苦味は結構ポイントになりますね。

クミンキャベツ

そんなクミンを使った最も簡単な料理の一つがクミンキャベツ

材料はニンニク(一片)、ホールクミン(大さじ1)、塩コショウ、キャベツ(1/4)。これで大体2~3人前。私はひとりで平らげますが。

1)ニンニクはみじん切り、キャベツは食べやすい大きさにザクザク切ります。

2)フライパンに油を適当に入れて弱火にかけます

3)刻んだニンニクとクミンをフライパンに投入。

4)じっくりクミンから香りを引き出します。焦げやすいので注意。

5)キャベツを投入、火を強めて炒めます。

6)ほどよくしんなりしたら塩コショウで味付けして完成。ここまで所要時間5分。

お手軽だからと侮るなかれ。これが酒のつまみに最高なんです。ほとんどの人はビールをチョイスすると思いますが、ここではもちろん日本酒

一応五味も解析しましょう。

塩2.5 甘1 酸0 旨2.5 苦2くらいかな。

味の強さだけ見るとまるで刺身かと思うくらいあっさりですね。ただ、ご承知の通りこの料理にはクミンが入っています。

すなわち五味だけでは表現できない香りと風味がポイントになるということで。

合わせる日本酒を考える

五味だけを見て考えると淡麗系も候補に挙がりそうですが、クミンが入っている分、料理自体の強度は上がります。そのため、それなりにパンチのある酒でないと釣り合いが取れず日本酒が負けることに。

香りに着目すると、必然的に熟成酒がファーストチョイスになります。半年~数年寝かせた日本酒、つまり熟成酒にはクミンと共通したニュアンスがあるのです。ここを生かさない道理はありませんから。

熟成酒というと、どうしてもゴツくて太い純米系になりがちですが、クミンキャベツの五味バランスは淡白なので酒が勝ってしまいます。そこで、ほどほどのボディで熟成感のある酒を選びたいと思います。

大倉 山廃特別純米 無濾過火入れ原酒 25BY

というわけで、今回はスパイスカレーでも次点の相性を見せた大倉をチョイス。

実のところ、これでなければならない理由はありません。ほどほどのボディの熟成酒なんて腐るほどありますし、ぶっちゃけどんな銘柄でもほぼ合いますので、好きな酒を選べばOKです。

五味チャートから予想

とりあえず酒と料理の五味チャートを重ねてみましょう。

おっと、これは面白い。完全に補完の関係性ですね。

二つが合わさると五味のうち突出したところがあまりなく、各味の値が平均的なチャートになります。

こういった場合、味がごちゃつくことが多いのですが、果たしてどうでしょうか。

実食!

人によってはその強い臭いが敬遠されがちなクミンですが、慣れると本当に癖になります。ふわりと鼻を刺激するエスニックな香りから始まり、キャベツの甘味と塩気とニンニクのコクを感じ、最後にクミンの苦みの余韻が残ります。

そこですかさず常温の大倉を含むと口内で見事に融和。そこまで強くはない酒の甘味が苦味の余韻と馴染みます。そして料理にはない軽い酸がペアリングに彩りを与えてくれます。この時点でキャベツ(というかニンニク)の旨味は薄れていますが、酒の旨味によって再度揺り戻しがくるのが面白い。

そして終始感じるクミンの風味と麹の風味が見事なハーモニーを奏でるのでした。

五味がどれも同じくらいの値なので、確かに雑然とした感じも若干あります。しかし、クミンの香りが全体を強力に支配するので、そのおかげもあってこのゴチャつきはほとんど気になりません。

これ、 狙ったわけじゃないですが、先ほども書いたように同調じゃなくてギャップで合わせる補完系の高度な方向性ですね。

料理の苦み×酒の甘味の相互作用、酸の加味で新たな味わいを生み、クミンの香りが全体を統率する。うーむ、これはすごい。比較的淡白な食材の場合、香りを生かす合わせ方に可能性があることがよくわかりました。

まとめ

今回は山廃の熟成酒をチョイスしましたが、実は非熟成の速醸(=そこらにある一般的な日本酒)でもそれほど悪くないんです。

わかりやすく共通する香りがあるわけじゃないんですけどね。どういうわけか日本酒独特の麹の風味とクミンは相性が良いみたい。

この事実はもっと発信していきたいところです。

それではまた!

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