5月はワインに浮気気味だったのと、定番銘柄の再飲が多かったので、ここでご紹介できるのはちょっと少なめ。
※ハズレは紹介しません。特に美味かったものには★がついています。
萩の鶴 R20
“世代の味覚に合わせた味わいを1本のタンクで表現する”というのがRシリーズのテーマだそうで、このR20はしぼりたての生酒、若々しい20代新入生タイプとのこと。
立ち香は軽くて甘みもドライ、そして微発泡。このへんは萩の鶴の典型的な味わい。旨みはそこそこあるがバランスが良い。酸は強すぎず弱すぎず、ただちゃんと存在感はある。
ちなみにR30は瓶燗火入れで、もう少し落ち着きと味乗りが見られる30代タイプ、R40は、熱酒瓶詰でさらに落ち着きを増した40代タイプだそうな。まあ、自分は40代になってもこれっぽっちも落ち着きませんが。
十旭日 改良雄町60 生 26BY★
約5年弱熟成した生酒。精米歩合60%、日本酒度+9.5、酸度2.2、島根K-1酵母。
立ち香から若干のイソバレルアルデヒド。しかしそこに5年の歳月は全く感じさせない。甘みはごく軽いが凝縮感のある酸がぎゅーっとやってくる。そのまま軽いイソバレ香と苦味を引き連れた重層的旨みへ移行。最後は軽い苦みでフィニッシュ。なかなかクセが強くて暴れん坊な酒。アルコール度数も18-19度と高めなので非常にインパクトとパワーがある。10~15%ほど加水すると飲みやすい。加水してもまったく味のバランスが崩れないのはすごい。
全くもって分かりやすさはないが、この複雑でパンチの強い暴れ馬を乗りこなせたらペアリングでも面白い使い方ができそう。
モヒカン生娘 29BY
青森の豊盃の蔵が、東京中野の「味のマチダヤ」だけに卸している娘シリーズ。
奇をてらうのは別にいいんだけど、 これまで何種類か飲んだ限りでは、どれも味が伴っていない印象だった。今回の生は初めて。しかも1年熟成ということで、興味深々。
立ち香でバニラ、甘みは強めだが柔らかい。酸もそこそこある。熟成香はないが含みに生熟のイソバレっぽさが少し。好きなバランス。印象変わりました。
鍋島 Summer Moon 22BY
アル添吟醸。8年寝てたわりに熟成香はほぼなく、むしろフルーティー。これは脅威だな…。
酸はそこそこあってバランス良い。添加したアルコールの嫌味もまるで感じないが、後半の軽いニュアンスが良い意味でのアル添らしさ。
超王祿の飲み比べ
王祿は飲み屋で幾度となく飲んでいるが、4合瓶を買って家でしっかり向き合うのは初めて。
超王祿 無濾過直汲み★
弱めのカプロン、甘みはそこそこでドライ感強め。微発泡、ミネラル、前には出てこないが骨格を感じさせる酸、旨みもスムーズで非常に流れが美しい。中程度の苦味があるが、逆にここにフィネスを感じる。
超王祿 無濾過中取り★
上品でカプロン系のフルーティさと微かに甘やかな立ち香。微発泡、ドライでありながら品のある甘み、そしてジューシーな酸。ボディは太すぎず、旨味が前に出過ぎないタイプ。ミネラル感と微かな苦味。 温度は低いほうがいい。
直汲みも良かったが、こっちはさらに素晴らしい。含み香で最初に感じた甘さの主が判明。イソバレルアルデヒドだ。これが目立つと草っぽくなって好きじゃないんだが、このくらい僅かであればむしろ彩りとなる。
しかしこの雑味の無さは中取りならではだな。雑味はないが薄っぺらいわけではなく、しっかりと骨格を保っているところはさすが。
以前はこの酒の良さが分からなかったんだけど、ただ濃いとか薄いとかじゃなく、味の細部の複雑さに魅力があることがようやく理解できた。
松尾 特別純米 生一本 生貯蔵 山恵錦
イソアミル系がわりと華やか。上品でアタックの弱い甘みから、バランスの良い旨みへ。酸もちょうどいい塩梅。丸くて上品でボディは軽め。
山城屋 DRY★
軽いイソアミル。甘みは弱く、その名の通りかなりドライ。酸はそれほど感じず、スリムな旨みに繋がる。どこか軽い甘さを内包したような、質のいい旨み。最後のほんのりした苦味がミネラルを感じさせる。
香りも弱く、味が少ないので料理に合わせやすいのは間違いないんだが、なぜか濃い目の料理(まあ限度はあるが)とも寄り添ってしまう。最初は水みたいなんだけど旨みの部分で急に主張を始めるんだよね。酒単体だとおとなしいのに。これは不思議。