今回のテーマは焼き芋です。
最近スーパーでもよく売られるようになってて、特にシルクスイートとか紅はるか(紅天使)という品種を使ったやつはトロトロでめっちゃ美味いんですよね。
究極の焼き芋
実は縁あって宮城でかなりこだわった焼き芋屋さんをやっている末永克さんという方から渾身の焼き芋をいただくことができました。
そしてぜひ合う日本酒を探してはくれまいかと。
そらもう二つ返事でOKですよ。
なんとこれ、2週間熟成させるという荒業でさらに美味しくなるという代物。
さてさて、一体どんなお味なのやら非常に楽しみです。
焼き芋の味わい
焼き方を変えたものを合計3本いただいたので、1本は即日、1本は1週間熟成、1本は2週間熟成ということで食べてみました。
どれも食感はとろっとろでスーパーのに比べても明らかに深みと品格があるんですよね。甘さ自体は想像していたほど激甘ではなく、むしろ上品さや繊細さを感じるものでした。
正直なところ、1週間熟成と2週間熟成の間にそこまで大きな差は感じられませんでしたが、熟成させると、とろとろ具合と味わいの深みが増しますね。
甘さ自体も多少強くなった気もしますが、それよりは熟成によって味にまとまりがでて落ち着くイメージかな。
合う日本酒を考える
結構な量の蜜が滴ってくるんですが、これがメープルシロップのような、ややメイラードな焦げ感のある甘さなんです。
そこで頭に浮かんだのは、同じくメープルシロップそのもののような貴醸酒の古酒。
チョイスしたのはこちら。華鳩 六段仕込。
ガツンと甘く、その名の通り超濃厚。
やはり甘味には甘味を合わせる。これが甘いものに対する日本酒ペアリングのセオリーなんですよ。
酒に甘みが足りないと、甘味と合わせた際、妙にスカスカした印象になってしまうのです。
ですので、こういった甘さとボディのしっかりした酒を選びましょう。
実食&分析
とけ落ちそうな芋をスプーンですくい、一口。上品でなおかつ奥行きのある甘味と芋のフルーティな香りが鼻から抜ける。
ここで華鳩を含むと、まず焦げた風味が同調、さらに甘味が重なり互いを高めあってくれる。ここに旨みが付加され重層的なレイヤーが形成される。
最後は軽い酸が芋の風味と合わさることで爽やかさを伴ってフィニッシュ。
ただ、難を言うなら、華鳩のほうがパワーが強いので芋がやや押し負ける感があるんですね。
そこで、テクニックを一つ。
こういうときは、クセのない淡麗な酒で割って薄めるのです。八海山なんかはその用途に最適です。
割り水という手もありますが、これだと味気なくなってしまうことがしばしば。淡麗系の爽酒で割るほうが上手くいくことが多いです。
ちなみにこれ、飲むのではなく焼き芋にかけて食べるのもアリですね。まさにシロップ!
その他試したお酒
実はこの他にも10種類以上試してます。
せっかくなので、少しだけご紹介しましょう。
濃醇辛口系純米酒
まず、ゴツイ山陰系の濃醇辛口の酒。個人的に最も好きなタイプですが、今回はダメでした。
いかんせん酒が強すぎてバランスが取れない。
芋がかなり濃いイメージだったので、それなりにボディの強い酒で合わせようとしたんですが、目算が外れました。
また、この手のは完全発酵してるので日本酒度が高いんです。
つまり、甘味がかなり弱い。そこも合わない要因でした。
活性にごり/スパークリング
シュワシュワ&とろとろの活性にごり。テクスチャーの同調を狙ったんですが、これは結構よかったです。
酒の甘味が弱くなるんですが、濁りでもったりと重たいおかげで、むしろ爽やかさが増してサワーっぽさが出てくるんですね。
これはこれでアリです。
ちなみに、スーパーやコンビニで買える「澪」も同系統ですが、甘さが強い分より同調性が高くなりました。
ハチミツ燗
剣菱の燗にハチミツを少々溶かしてみました。
これは大当たり。華鳩の貴醸酒以上に合います。
もうちょっとボディの軽いものでもやってみましたが、それもかなりいい感じ。
やはりポイントは甘味なんだな~。
まとめ
焼き芋には甘みの強い酒を。もしくはハチミツ燗で甘味を芋に近づけましょう。
酸に関しては弱いほうが同調性が高まります。
でも、あったらあったで爽やかさが足されるので、無理に避けるほどの事ではないです。面白味はあります。
また、今回は究極ともいえる焼き芋で検証しましたが、スーパーのものでも基本線は変わりません。
ぜひお試しを!
ちなみに、焼き芋を送っていただいた末永さん、コロナ前は焼き芋カーで全国行脚するという活動をしていたそうです。すげえ。
そのうちコロナが下火になったら再開してくれるのかな。
日本全国どこでも行くと豪語してるのでぜひ期待しましょう!
このこだわりの焼き芋、通販もしているようなので気になった方はぜひ!
それではまた!