日本酒ペアリング実践

ポークビンダルーと日本酒

ポークびんだるー

西所沢の人気店「negombo33」が監修したレトルトのポークビンダルーに生熟成の変態系日本酒を合わせてみました。度数の強い日本酒の刺激とスパイスの刺激を重ねます。

ポークビンダルーとは

まず、ポークビンダルーについて簡単に説明。

一言でいうと豚のブロック肉を使った酸っぱ辛いカレーです。もともとはポルトガル発祥で、それが当時ポルトガル領であったインドのゴアに渡って発展した歴史があります。

最近のスパイスカレーの人気に伴って、日本でも徐々に知名度を伸ばしているようですね。

何といっても一番の特徴はその酸味。レシピとしては豚肉をスパイスと共にワインビネガーや酢などに漬けて一晩寝かせる。あとはスパイスカレーと同じ作り方。

negombo33のレトルト、ヤバい

今回は作るのが面倒なので成城石井で売ってたこちらのレトルトを使います。

レトルトだからといって見くびってはいけません。このポークビンダルー、はっきり言って絶品です。レトルトの域を完全に超えてる。店で出てきても普通に絶賛するレベル。

豚肉も2ピースですがごろっと入っています。何よりスパイスがかなり効いてて刺激的。自作だとこのバランス感はなかなか出せないかと。スパイスの系統は唐辛子系のホットな辛さというより、胡椒系で痺れる感じ。中華で言うところの「麻(マー)」ですね。ホールのペッパーがいい仕事してます(生のグリーンペッパーかな?)。

量的には若干少なめで、値段は600~700円くらい(販売店によって違う)。正直ちょっとお高いですが、味は完全にお店レベルなので、そう考えたらまあ許容範囲かな。

ポークビンダルーに合わせる日本酒を考える

実のところ、ポークビンダルーをネタにしようと思ったのは、先日「酒坊主」綿屋の生熟とのペアリングにすっかりやられてしまったからで、今回は生熟とスパイスカレーとの相性を探る目的もあります。

ポークビンダルーの五味チャート

とりあえず、ポークビンダルーの五味チャートを作ってみましょう。

ポークビンダルーの五味チャート

塩3、甘2、酸3.5、旨3.5、苦1.5くらいでしょうか。

ここに表れてはいませんが、油分が多く、またスパイスが強いのでチャートの見た目以上に重さと強度があります。

酸が特徴的ではあるものの、煮込まれていることもあってそこまで尖った印象ではありません。

恐らくヨーグルトを使っているからだと思いますが、乳酸系の旨味を伴うどっしりした酸味なんですね。それがスパイスとうまく融合しており、酸だけが浮く感じは皆無です。

では、これに合う日本酒を考えていきます。

乳酸の強さ

この酸の雰囲気、生酛・山廃系で乳酸が強いタイプの日本酒でもよくあるんですよ。ここを利用しない手はありません。そんなわけで、まずは第一条件として乳酸の強さが大事になってきます。無理に生酛・山廃に限定する必要はありませんが、乳酸を重視するなら、やはりそっちを探したほうが手っ取り早いですね。

生熟成

次に、生熟であること。

前述したように、酒坊主でのペアリングを参考にしていますが、このときはパクチーがスパイスと酒の繋ぎになって相乗効果を発揮していました。

ただ、恐らくはパクチー自体が無くても、同じような草っぽい風味を持つ生熟の酒であれば、パクチーの代わりにスパイスとの橋渡しになるんじゃないかと。

油とスパイスに対抗できる強度

そして最後は強度。油とスパイスが織りなすパワーに対抗できるゴツい酒でないといけません。繊細で淡麗な酒では明らかに力負けしてしまいますので。

梅津の生酛 生原酒 24BY

これらの条件から選んだ酒が「梅津の生酛 生原酒 24BY」です。7年の生熟。精米歩合は80%、アルコール分は19.7度というド変態酒。

この酒を醸す梅津酒造「冨玲」などでも知られていますが、豪胆な男らしい酒が多い鳥取の中でも、トップレベルのアクの強さ。ガッツリ完全発酵させて、ゴツゴツにゴツい燗酒を作ります。

生酛や純米燗酒をこよなく愛する私でさえ、普段はちょっとクセが強すぎて敬遠するくらいですから推して測るべし。

しかし、この強烈なポークビンダルーに対抗できるのは、梅津さんの個性的な酒くらいしかないだろうと、今回登板の運びとなったわけです。

梅津の生酛の五味チャート

五味としては甘2、酸4、旨4、苦1.5でほぼ同調する数値。チャートを重ねても相性の良さはよくわかるでしょう。

酸と旨味がかなり前に出てきますが、ポークビンダルーと同様に尖った感じはありません。

酸のタイプが完全に乳酸優位の温旨酸系だからですね。

それに加えて、熟成酒特有のスパイシーな風味とアルコール度数がほぼ20度というパンチの強さを兼ね備えています。

これはいけるんじゃないか?

実食

梅津の生酛はぬる燗に。酸がまろやかになって、全体が調和します。

食べる前から様々なスパイスの香りが脳髄を直撃。スプーンですくった豚肉に食いつくと、じわーっと酸味を帯びた肉汁が溢れます。ここでホールの胡椒を一緒に噛み砕く。うおぉ…じんじんと痺れる辛みが絡んできて最高に刺激的。酸とスパイスってなぜこんなに相性がいいんだろう。

そして梅津の生酛が登場。単体だとクセがすごくて完全に玄人向けなので、この手の日本酒に慣れない人は拒絶しかねない味わいですが、カレーと合わせることで一気に融和して、クセも全く気にならなくなります。

面白いのが刺激の同調ともいえる効果が確認できたこと。アルコール度数が20度と焼酎並みに強いので、飲むとそれなりに口中がヒリヒリするわけですが、胡椒のヒリヒリとちょうど調和してしまうんです。言ってみれば痛覚で繋がるペアリング。これは新しい発見でした。ウォッカとかでも同じことはできそう。

五味の部分では予想通り酸が完全に同調。香りでも生熟感とスパイスっぽい含み香がカレーと酒をつなぎます。いやー、これは素晴らしい。あっと言う間に平らげてしまいましたよ。

まとめ

今回も見事にペアリング成功。

このサイト的にはスパイスと言えば濁り酒がテッパンで、基本的には刺激を和らげる方向性にフォーカスしていたわけですが、今回アルコール度数の強い酒で刺激を合わせるという新たな方法論を見つけてしまいました。

さらには生熟の香りおよび酸の強さ(温旨酸)も香味が強いスパイスと合わせる際のポイントになりそうです。このへんは、あえて生老ねが進んだ酒、ないしは酸が目立つ酒の二種類でそれぞれ検証していきたいところ。

それではまた!

(↓BY違いですが、参考まで)

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