中華

酢豚に合わせる日本酒

subuta

今回のお題目は酢豚。中華料理の定番ですが、時折パイナップルを入れるべきか否かで論争にもなるあの料理です。果たして日本酒と合うんでしょうか。

酢豚とは

日本人で酢豚を食ったことがないって人はほとんどいないと思いますので、くどくど概要を説明するつもりはありませんが一応簡単に。

酢豚とは、 衣をつけて揚げた豚肉と炒めた野菜に甘酢あんを絡ませた料理ですが、実はこれ日本だけの呼び名で、本場中国では糖醋肉塊とか咕咾肉というのが正式名称だそうです。読めません。

とりあえず、五味のチャートを作っちゃいましょうかね。

五味チャート

塩2、甘4、酸4、旨3.5、苦2ってところでしょうか。

一番のポイントとなるのは、甘酢あんによる甘味と酸味

砂糖、酢、しょうゆ、ケチャップで組成されるこの甘酸っぱいソースが日本酒を合わせる際の軸になります。

ちなみに苦味はピーマンによるものです。

合わせるべき日本酒を考える

まずはこの強めの酸に負けないくらいの酸味が必要。酸の系統は酢に合わせて冷旨酸系がベターですが、料理自体は温かいので温旨酸系でもOK。

→冷旨酸と温旨酸についてはこちらから

揚げた豚肉の強度もあるので酒にもそこそこパンチが欲しいですね。あまりお上品だと負けちゃいます。

香りに関しては、花系は合わないと思いますが、それこそパイナップルを入れるくらいですから、柑橘や酢酸っぽい方向でのフルーティさであれば問題なし。もちろん、無臭のほうが難易度は低くなりますが。

甘さは強めでもいいんですが、そこにはやはり酸が必須となります。ただ甘いだけの酒は料理にさらに砂糖を足すような感じになって、締まりがなくなるのでNG。

中華と合わせる際には必ず選択肢にあがる古酒も、紹興酒のイメージで面白いと思います。ただあまり酸が効いたものは多くないので、今回は選択肢から外します。

これらの条件から選んだのが、羽水 UI 生酛純米です。

羽水 UI 生酛純米

人気の銘柄、仙禽の蔵の別ブランド。

山田錦80%精米の無濾過原酒なので、なかなかのパワー。生酛特有の奥行きと立体感も魅力ですが、なんといっても酸の強さが決め手となりました。

系統としては中間系になるのかな。冷旨酸系であるクエン酸とリンゴ酸、そして温旨酸系の乳酸がブレンドされている感じ。

酢豚と合わせるとこんなチャートになります。

チャート上はそこまで良いバランスに見えませんが、酸の同調具合は素晴らしいものがあります。

五味バランス的にはそこの一点突破でも充分好相性となりえるんですね。

実食!

まず鼻をつくのは酢を温めることで発生するむせかえるような香り。あー、これこれ。めっちゃ食欲をそそられる。

早速メインであるところのゴロっとした豚肉を頬張ります。揚げているのでそれなりに油っぽいんですが、甘酢あんのおかげでそれを感じさせません。

ほんのり豚の旨みとあんの酸味が残る状態で常温のUIを一口。予想通り酸が完全にシンクロ。何の違和感もなく舌の上で融合します。で、同調しつつも甘さが弱くてキレがいいので、変に余韻を長引かせることなく脂っぽさを断ち切ってくれる。これは合いますねえ。自然と次の一口を誘います。うまいわ。

まとめ

というわけで、今回も問題なくペアリングできちゃいました。もはや、中華は和食と同等かそれ以上に日本酒と合わせやすいと言っても過言じゃないですね。

ちなみに、甘酢に合わせてもう少し甘みが強い酒であっても全然アリだと思います。白麹系の甘酸っぱいやつとか。ピーマンとはそのほうがマリアージュしたかもね。そこはもう好みなのでいろいろ試してみてください。

それではまた!