日本酒ペアリング講座

日本酒に合う洋食

洋食

日本酒と洋食を合わせること自体、日本酒好きの方々からすると大して珍しいことでもありませんが、やはり一般レベルでは驚かれます。場合によってはあからさまに拒絶されることも。

拒絶する人に無理やり薦めることはしませんが、興味を持っていただいた方のために、まずは初歩的なところからご案内していければと。

とりあえず、具体的な実践報告は下記を参照いただくとして、ここでは概論およびそれぞれの条件に合う料理名を述べていきます。

日本酒を分類する

一言で日本酒といっても、ご存知の通り千差万別。全ての日本酒に共通して合う食べ物なんてものは和食であっても存在しません。

というわけで、まずは日本酒を分類していくことにしましょう。

分類にはいくつかのアプローチがありますが、あまり複雑に考えても肝心のペアリングが難しくなるだけ。ですから、ここではできるだけ分かりやすくするため、香りにだけフォーカスして「華やかでフルーティな香りの酒」か「落ち着いた酒」かの二種類に分けます。とりあえずはこれで充分です。

前者は華やかな香りがあり冷酒向け。薫酒と言われることもありますね。後者は穏やかでお燗向け。

合わせやすい洋食

では、それぞれのタイプに合う洋食をご紹介していきます。

華やかでフルーティな香りの酒の場合

華やかな香りの日本酒は、和食とは相性が悪いのですが、洋食の場合はちょっとしたコツが分かれば、逆に合わせやすくなります。

酸味がある料理

このタイプの酒はジューシーで酸がポイントになることが多いです。したがって、その酸に同調させる方向でペアリングを考えるとうまくいく可能性が高まります。

料理はあまり重くないほうが合わせやすくなりますが、肉料理であっても爽やかなソースをかけることで上手く調和させることが可能です。

例:アクアパッツァ、ラタトゥイユ、ビスクサラダ全般鴨のオレンジソースなど。

ハーブを使った料理

ハーブの強い香味と華やかな日本酒の香りが好相性。これも重すぎないほうが無難です。

例:カプレーゼ、ジェノベーゼ、チキンのローズマリーグリル、白身魚のカルパッチョ(ディル・バジル・ハーブソルトなどを添加)、チキンと野菜のハーブ蒸しクレソンのサラダなど。

フルーツを使った料理

料理上級者向けですが、料理にフルーツを使えば当然のようにフルーティな酒と合います。サラダやマリネ等の冷製料理にグレープフルーツなどの柑橘類を加えたりとかなら簡単にできますよね。

重さに関しては、これまた軽めのほうが合わせやすくはなりますが、フルーツの香味が思った以上に助けてくれますので、そこまで神経質にならなくとも大丈夫です。

例:タコとグレープフルーツのマリネ、 洋ナシとブルーチーズのアミューズ 、イチジクと生ハムのパスタ、牛肉のソテー ブルーベリーソースなど。

落ち着いた酒

華やかでフルーティな酒に比べるとかなりハードルは下がります。香りが穏やかなので合わせる幅も広がるんですね。

ただ、ちょっとネックになるのは日本酒独特の麹の風味。ぬか臭さと言ってもいいかもしれません。米の味わいが強い酒ほどこの風味を感じるようになりますが、これが洋食の風味とは今一つ相性が良くない。

繊細な料理だとそこが悪目立ちしてしまうので、ある程度ガツっと味の濃い料理のほうが合わせやすくはなります。

肉料理

落ち着いた日本酒は旨味としてのアミノ酸がしっかりあるので、そこが肉の持つアミノ酸と同調します。

例:ローストビーフ牛肉の赤ワイン煮生ハムカスレ豚のリエットレバーパテトリッパのトマト煮など。

魚介料理

魚介と日本酒の相性が良いのは言わずもがな。日本酒と鉄板の相性と思われている刺身よりも、実は火を通した魚のほうがペアリングは簡単です。

例:イワシのトマト煮込み、サーモンのムニエル、ブイヤベースパエリアムール貝の白ワイン蒸しなど。

野菜料理(加熱系)

やや軽い料理が多くなるので、お酒も重すぎないものを選びましょう。野菜の旨味に酒のほのかな甘みを補完することで、バランスの良い味わいになります。

例:ポトフ、エビとアボカドのマヨ和え、キノコのソテー、カポナータ、夏野菜のグリルなど

料理と酒の強度を合わせる

華やか系でも穏やか系でも、「料理と酒の味の強度を合わせること」は基本になります。強度って何?という方は下記をご参照いただきたいのですが、簡単に言ってしまえば味の濃さや味の密度を総合したインパクトのこと。

例えば味の薄い料理に濃醇な日本酒はまず合いませんし、逆も然り。そこをあえてずらす手法もありますが、基本は強度を合わせて同調させること。それによって両者の美味しさが引き立てあうことになるのです。

とはいえ、このあたりは大体の感覚で大丈夫です。最終的には自分が合うと思ったものが正義ですから。

まとめ

今回は「とりあえず難しい事は抜きで、日本酒に洋食を合わせてみたい!」という方向けに書いてみました。

深く考える前に、まずはやってみてください。例に挙がっている料理、もしくはそれとニュアンスが似ている料理で試していただき、調味料や香辛料などで適宜微調整しながら両者を近づけていくと良いんじゃないでしょうか。

実例は下記にありますので参考にしてください。

また、さらに突っ込んでペアリングの方法論を深く知りたい方はこちらを読んでみてください。

それではまた!