今をときめく人気店である阿佐ヶ谷「SUGAR Sake&Coffee」、代々木公園「酒坊主」、三鷹「ひねもす」、この3店の共通点をご存知ですか?
実はいずれのご主人も吉祥寺「にほん酒や」の出身なんです。
そんなわけで、ルーツを知る意味でもここは一度行かねばと常々考えていたのでした。
入店~お通し
店に入ると、まだ15時にも関わらず満席!
噂通りの人気店だ。予約必須です。
着席しメニューを見るも目移りして決められない。初めての訪問だし、ここはアラカルトよりも店のお任せにしましょう。
というわけで、おすすめ5品のコースをオーダー。
お酒はそれぞれに合わせたものを出していただくようお願いしました。
まずはお通し。
なんてことない大根の醤油漬ですが、ほどよい甘みがありじわっと美味い。早くもこの時点で期待は高まります。
お造り
1品目はお造りの盛り合わせ。
しめ鯖、鯛、カジキ、あとなんだったけ…
いずれも、もちもちとした食感で丁寧に下ごしらえしてあるのが分かります。
ここに合わせるは酉与右衛門(よえもん)純米吟醸 備前雄町 50%精米 30BYを冷酒で。さりげなく1年熟成。
この店は熟成酒が多いんですが、その中では比較的ライトな部類に入る一本。
当然のごとく白身系の刺身と好相性。
在来野菜の沢煮椀
二品目は在来野菜の沢煮椀。
沢煮ってのは具だくさんの煮物って意味みたいです。
優しい味わいで野菜の旨味がじんわり染みだした汁は絶品。滋味深いとはまさにこのことか。
ここに京の春 特別純米酒がぬる燗で登場。
やったー!京の春大好き!
あー、めっちゃいい。激しく地味なんだけど、ほどよい甘みと太すぎないボディが、沢煮の出汁と絡み合って至福。
ていうか、出汁ずるいわ。どんな日本酒とだって相性がいいんだもん。
村越シャモロックの治部煮
お次は村越シャモロックの治部煮。
プリプリの肉質がたまらん。
結構甘みがあるので、ここには甘みと熟成感が強めな神亀 真穂人を燗で。
そこそこ甘いものに日本酒を合わせると酒の甘味がマスキングされるので、うまくやらないと難しいんですが、むしろ今回はそれが良い方向に転びました。
良い意味で酒をさっぱりと感じられて味の変化を楽しめるという。なるほど、これはこれでアリだな。
ちなみに、地味にいいなと思ったのは付け合わせの人参ね。
あえて皮を剥いてないんですよ。これによって野菜らしいほんのりした苦味と旨味を強く感じるんです。
白子のフライ
4品目には白子のフライ。
とろっとろのクリーミーな白子には当然あれでしょ!
そう、にごり!
鯉川 純米吟醸 鉄人うすにごりを燗でいただきます。
おつまみ5品盛り
最後に見目麗しい盛り付けのおつまみ5品盛り。
右奥から時計回りで、水菜と椎茸のお浸し、生牡蠣の握り、 浦里(大根の梅肉和え)、干し無花果とマスカルポーネ、真ん中が蟹の身ほぐし。
言うまでもなく全部美味い。
いろいろあるのでオールマイティに合う酒を、ということで出てきたのが十旭日 生酛改良雄町70の27BY。もちろん燗です。
特に干し無花果とマスカルポーネとは最高の相性でした。
少し飲み足りなかったので、最後は自分でリクエスト。
酉与右衛門 山廃純米 無濾過原酒 亀の尾 28BY。酉与右衛門ではじまり酉与右衛門で〆る。
ミディアムボディで、そこそこ酸があるのでラストにはさっぱりしてちょうどいい。
以上、5品と言いつつ結果的には10品も食べられて大満足でした。
まとめ
ペアリングに関して正直に言ってしまえば、俺だったらこうするのになあ、と思うところもありました。
ただね、店の方とも話しましたが、ピンポイントでビシっと合わせるよりも、もっとふわっとゆったり合わせて「日本酒ってだいたいなんでも合うよねー」と思ってもらえることが重要だと考えているようで、そこは大いに賛同するところです。
なにより、これら料理のクオリティとスタッフのホスピタリティの高さを前にして、細かいことをグチグチ言うのは無粋ってもんですよ。
大人気なのも深く納得の、噂に違わぬ名店でした!また行きます!