今回はお店で見つけた、ちょっと珍しいスペックのにごり酒を取り上げます。
華鳩 貴醸酒 生にごり酒
貴醸酒ってご存知ですか?水の代わりに一度上槽された酒を使って仕込む贅沢なお酒で、深みがあってとても甘いのが特徴。
こちらの華鳩を醸す榎酒造は貴醸酒を最初に造り始めた蔵で、貴醸酒はこちらの代名詞になっています。
ただ、今回のこれは「にごり」の貴醸酒なんですよね。非常にレアです。私の知る限り、他には松嶺の富士と旭興くらいしかないと思います。
ただでさえ甘いイメージのにごり、それが貴醸酒だってんだからどれだけ激甘な酒なんだと警戒していましたが、飲んでみると驚くくらい爽やかでめちゃくちゃクオリティが高い。
いや、もちろん甘いのは甘いんですが、上質な飲むヨーグルトのような滑らかさと軽い酸味で1mmもクドさがないんです。すげえ。日本酒ファンならこれは一度飲むべき。
合うつまみを考える
これは一も二もなくスイーツだろう。
基本的に、日本酒にはスイーツの甘味は強すぎて日本酒の甘味がスポイルされてしまうんですが、ここまで粘度があって甘ければ確実にいけるはず。
ちなみに他の日本酒ブログでも取り上げられてて、月餅が合うとか書かれていたんですね。なるほど、確かに合いそう。
というわけで、まずは月餅、そしてテクスチャーが近いレアチーズケーキで試してみました。
月餅とレアチーズケーキを実食
結論から言うと、どちらも悪くない。特に月餅はゴマとくるみの香ばしい風味がアクセントになってなかなか面白いです。
ただ、どちらにしてもやっぱり酒のほうが甘味が負けちゃうんですよ。もう一息ではあるんですが。
ということは、もう少し甘さ控えめのつまみが良いってことですね。
マシュマロオムレツ
そこで思いついたのが、マシュマロオムレツ。
これまで何度も登場しているこの本で紹介されていたものです。
オムレツにマシュマロを挟んだという、一見なんじゃこりゃな代物。
でもよく考えたら、マシュマロって卵白から出来てるんですよ。だから卵焼きと合わせることには何の不自然さもない!はず!
分量は卵2個に対してマシュマロ4個。卵液にはほんの少し塩と砂糖を入れて半熟になるまで焼いたら、半分に折って真ん中にマシュマロをイン!熱で溶けるので、インしたらすぐに火から下ろしましょう。この写真のは溶け過ぎました…
全体的にふんわりした甘味で優しい感じなので、これは合うと確信してます。
実食!
まずはオムレツを一口。予想通り見た目ほどには甘くない。優しい甘みがふわーっと広がります。食事のような、お菓子のような、不思議な感覚。
ここで華鳩をちびり。
香りはほのかで濁りらしい白玉粉っぽさを感じます。
微発泡が口の中を軽く刺激して、マシュマロの甘みと同調。うん、やっぱり甘みの強さはぴたりと合う。
思いのほかキレもいい。かと言って酸が強いってこともなく。なんともバランスが良いことこの上ない。
五味チャート
ではチャートにして分析してみましょう。
甘みのレベルは見事に合致。
そして、マシュマロの甘さの質として余韻が短く、後残りしないというのが最大のポイントかもしれません。
他のスイーツがもう一歩足りなかったのはここで、ちょっと甘さが強めに残っちゃうんですね。それによって華鳩が少し負けるという。
なお、うま味は若干酒のほうが強いか。ただ、ほぼ同じレベル。
ここに軽めの酸が補完されてアクセントを加える構図ですね。
オムレツ自体に癖がないので、この酒が加わって初めて料理として完成すると言ってもいいと思います。
まとめ
返す返すも素晴らしい酒でした。
他にもあっさりした甘味のもの、例えば柿とか洋ナシとかも面白いかも。
また、今回はスイーツ系を相手にしましたが、いずれ食事系でも合わせる方向を探ってみたいですね。
それではまた!