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大吟醸は一般的に食中酒には適さず、食前もしくは食後に単体で飲むのが妥当とされています。
しかし、ちょっとのコツさえ掴めば大吟醸であっても、合わせられる料理やつまみは無限に広がります。
大吟醸とは
ざっくりと説明すると酒税法上で定められた基準で、精米歩合が50%以下の日本酒のことです。
醸造アルコールが無添加であれば純米大吟醸、添加してあれば大吟醸となります。
このあたり詳しく知りたい方は適当にググってみてください。いくらでも解説してるサイトはありますので。
ここではあくまで、合わせるつまみにフォーカスしていきます。
大吟醸の味わい
あくまで一般的な傾向として述べるなら、華やかな香りを持ち、甘めでフルーティ、比較的ライトな味わいの酒ということになります。
当然例外はいくらでもありますが、少なくとも「大吟醸 おつまみ」で検索される方はそんな例外は求めてないと思いますので、ここでは思い切って無視します。
大吟醸に合わせるつまみ
ようやく本題。
大吟醸=華やかで、甘くてフルーティかつ軽めの日本酒ということで話を進めますが、確かにこのタイプは食事と合わせづらいんですね。
やはり、華やかな香りが最大のネックで料理とケンカしてしまうのです。
しかし諦めることなかれ。大吟醸と料理をリンクさせる触媒があるのです。
この触媒を「ちょい足し」することで一気に大吟醸との相性が良くなります。
ベースの食材は軽いものを
触媒の話をする前に、ベースとなる食材について理解しておきましょう。
もちろん重厚な大吟醸もあるんですが、大半は精米歩合に伴って軽い味わいになります。
ですから、食材もそれに合わせて味が淡白で軽めのものを選ぶと間違いありません。
例:
- 野菜類全般
- 魚(白身)
- 豆腐
- カマボコ、竹輪等の練り物
- 鶏ささみ
- クリームチーズ
これらの食材と、この後紹介する「触媒」をうまく合わせることで大吟醸に合うつまみが簡単にできます。
触媒1:香りをちょい足し
洋食で言えばハーブ、和食では薬味。清涼感のあるものを選ぶのがポイントです。
これらは大吟醸酒のもつフルーティだったりフローラル(花)な香りと相性がいいため、食材との間を取り持つ役割を果たすのです。
洋:
- オレガノ
- ディル
- パクチー
- パセリ
- バジル
- ミント
和:
- 青じそ
- ミョウガ
- ネギ
- ワサビ
- カイワレ大根
- 柚子の皮
- 柚子胡椒
ローズマリーなんかもアリですが、ちょっと香りが強いので慣れないと難しいかもしれません。
使う場合は少量から試してみましょう。
触媒2:酸をちょい足し
大吟醸はやや甘めのものが多くなります。
甘味に加えると引き立つのは酸味です。しかも、酸味には全体の味わいを軽くする作用もあります。
- レモン、柚子、すだちなど柑橘の果汁
- 三杯酢
- ワインビネガー
- バルサミコ酢
- 梅干し
- トマト
トマトに関しては、イタリアンで使うようなソースにしてしまうと、ちょっと重くなるので、そこは注意が必要です。
実例
ここからは実例を挙げて解説していきますね。
香りを足す
カマボコ+ワサビ
ド定番の板わさです。
この考え方の基本中の基本。軽い食材に爽やかな香りを足すことで大吟醸とリンクさせています。
冷奴+薬味
はい、これもド定番。
薬味といっても幅広いですが、青じそは必須です(写真はネギと生姜ですが)。なければ青じそドレッシングをかけるという手も。
あとはお好みでミョウガやら生姜やらをご自由に。柚子の皮もいいですね。
アボカド+ワサビマヨ
意外に思われるかもしれませんが、アボカドは日本酒と合わせやすい食材の一つです。
脂肪分は多いものの味は淡泊なので、大吟醸にもぴったり。
ここに、ワサビとマヨネーズ、醤油を適当に混ぜたソースをかけてごらんなさい。びっくりするくらい美味しいですから。
白菜の浅漬け+柚子の皮
柚子白菜です。
くどくど言うまでもなく感覚的に合わないわけがないってわかりますよね(説明放棄)。
酸を足す
白身魚の刺身+レモン醤油
定番と思われている刺身ですが、フルーティな香りと生臭さの相性が悪く、実はイマイチ。
そこで、醤油にレモンを適量(半々くらいでもOK)混ぜることでぐっとマッチするようになります。
レモンが生臭さを抑え、酸によって日本酒の甘みが引き立つようになります。
山芋+練り梅
軽い山芋の短冊に、練り梅の酸味を加えれば最高の酒肴に。
梅の酸が強い分、大吟醸がより甘く感じられるはず。
クリームチーズ+練り梅
クリームチーズもアボカドと同じように脂肪分があるのでやや重くはなりますが、味わい自体は淡白で爽やかさもあるので大吟醸とよく合います。
ここに練り梅で酸のアクセントを加えてあげることで、さらにさっぱりといただけます。
青シソやキュウリ、鰹節、海苔などを自由に加えても。
サラダ+ドレッシング
生野菜の青臭さは大吟醸の香りに合います。
そこに酸味のあるドレッシングをかけることで、酒の甘さが引き立ち、さらに相性が近づきます。
きゅうり+三杯酢
きゅうりの酢のものですね。
これもサラダと考え方は全く同じ。きゅうりが持つウリ科独特のメロンっぽい香りは吟醸香そのものといってもいいでしょう。
ワカメや、シラス、タコなどと和えるのも定番です。
複合技
刺身+オリーブオイル+レモン汁+ハーブ
カルパッチョです。
オリーブオイルのほんのりした青臭さは大吟醸のフルーティな香りと合います。
さらにレモンで酸味と柑橘の香りをプラス。
畳みかけるようにハーブ(ディル、パセリなど)を加えれば、生臭みも抑えるし、酒と香りも合うしで非の打ち所がないペアリングが可能となります。
パクチーを乗せてエスニック風にしても面白いですね。
トマト+モッツァレラチーズ+バジル
カプレーゼってやつですね。
軽いモッツァレラにトマトの爽やかさ、さらにバジルの香りを足すことで大吟醸とマッチさせます。
下記記事では大吟醸ではなく生熟成の酒を使って、さらに高度なペアリングを実践しています。
塩辛+柚子の皮・果汁
塩辛自体はパンチが強い食材ですが、柚子の皮と果汁を少々足すことで爽やかになり、大吟醸でもばっちりペアリングできるように。
レモングラスを加えるとタイっぽくなって楽しいですよ。
まとめ
こんな感じで、ベースになる食材に香りと酸を足すことで大吟醸の世界がもっと広がります。
ここでは定番の酒肴を中心に紹介しましたが、それぞれの要素を自由に組み合わせて新しいつまみを作り出すのも楽しいんじゃないでしょうか。
なお、大吟醸に限らず、フルーティな日本酒全般と料理の合わせ方について、やや理論的な解説をした記事もありますので参考まで。