中華・エスニックをベースにした料理と燗酒でスパイス呑み(スパイス飲み?)が楽しめる、阿佐ヶ谷の「Sugar Sake&Coffee」に行ってきました。
光栄菊スノウ・クレッセント
20年ぶりに再建され、菊鷹で有名な山本克明杜氏が移籍したことでも話題の光栄菊のスノウ・クレッセントから。
ほどよく甘くてジューシー、柑橘のニュアンスが最高。これは非常に美味かったです。
酉与右衛門 超辛口無濾過純米 29BY
お次は酉与右衛門の超辛口無濾過純米。光栄菊のキャッチーさから急転直下のいかにも日本酒な味わい。ドライでシャープ。熟成感はないなあ。
付き出しの浸し豆とよく合います。
青森 大鰐温泉もやしの出汁浸し
さて、ここから料理。いきなり一品目からやられました。
上に乗ってるのは根っこなんですが、これが端的に表すなら土の味。クセが半端なく強烈。
美味しいとか不味いというより「面白い」というのが正直な感想。
十旭日 純米吟醸酒
この独特なもやしに合わせるはSUGARオリジナルラベル仕様の十旭日 純米吟醸を冷酒で。これも二年ほど寝てるっぽいですね。
ほどよい熟成感でまろやか。
もやしを飲みこんだ後、ふんわり残る土風味にリンクさせると良く合います。
十旭日 生酛純米 28BY
お任せで同時に出てきたのが同じく十旭日 生酛純米を燗で。どっちも五百万石だし飲み比べできて楽しい!
このあたり、なかなか気が利いてらっしゃる。
ペアリング的には、先の純米吟醸よりこちらのほうが複雑で強度があるので、よりもやしにマッチします。
もやし自体の味はあっさりしていているのですが、とにかく香りのパワーがすごいので強度という意味では、このゴツい燗酒と同等になるんですね。
あらためて学びを得ることができました。
菜の花と腊肉(ラーロウ)の炒め
腊肉ってのは初めて食べましたが、中華風干し肉だそうです。
八角っぽさ(五香粉かな?)と発酵のふんわりとした風味がクセになる。美味いっす。
どちらの十旭日とも非常によい相性。
羊肉水餃子 麻辣だれ
地酒や もっとでもよく食べるメニューですが、こちらはタレがより濃厚で甘みがありますね。
後に残るラムの風味をどんな日本酒で処理するか。楽しみ。
山陰東郷 生酛純米 原酒 29BY
で、ここで登場したのが山陰東郷 生酛純米 原酒を燗で。
やっぱラムにはこのくらいゴツい酒が合うね。後口でラムの臭みを消し去るほどじゃなかったけど、それはそれで楽しめました。
イカ墨フィッシュマラバール
マラバールってのはインドの一地方の名前のようですが、とりあえずフィッシュカレーです。
中にはイカの他、いろいろ魚入ってるようですがルーに溶けてる上、真っ黒なので何がなんだかわかりません!
しかしこれがまた美味い。スパイスはやや控えめで魚由来のコクが効いている。これ絶対日本酒との相性意識してチューニングしてるやつだわ。
日置桜 八割搗き玉栄純米 29BY
カレーと合わせる酒といえば、定番の日置桜。玉栄80%精米で29BYのゴツいやつです。当然これも燗。
山陰東郷とも充分合うし、どっちに転んでも間違いないカレーだな。
発酵白菜とラム肉の卵とじ
次は発酵白菜を使ったスープ。酸辣湯麺的な味わい。
発酵白菜ってのは、塩もみした白菜を放置して乳酸発酵させた漬物みたいなものだが、火を通して使っても美味しいのね。
ラムのクセが発酵っぽさとちょうど良い相性です。
花巴 山廃純米 火入れ熟成酒 28BY
山廃だけに、やや酸があってちょうど発酵白菜の酸味と合う。そりゃそうだよね、どっちも乳酸由来の酸味だもの。
しかし、この酒はこれで終わらない。本当はこのあとの麻婆豆腐のために用意された酒なのです!
麻婆豆腐
ラスト、麻婆豆腐。控えめに言って絶品です。
この店の名物と称されるだけあって、めちゃめちゃ美味い。
花椒が効いていて、ビリビリした麻(マー)の辛さと肉の旨味が混然一体となって押し寄せる。
ここに花巴を一口。酒の甘さと酸が足されて複雑な味わいに。あー、これも面白いなあ。
もちろん、山陰系のゴツいのでも充分合うと思うけど、痺れる辛みに乳酸を足すという発想はひとつ勉強になりました。
まとめ
とにかく料理が個性的で美味しい!
そこにペアリングさせるのは山陰系の燗上がりする熟成酒が中心で、スパイス呑みの定石を守っていますね。
その点において想定を大幅に超える意外性はありませんでしたが、ペアリングのレベルとしては非常に高いです。
ちなみにこの日のお会計はお通し+料理6種+酒7種(一杯150cc)で12,500円ほど。2人で行ったので、1人当たり6000円ちょっと。
価格設定もリーズナブルだし、料理は楽しいし、酒も最高で言うことなしの名店でした。
それではまた!