コラム

小さな飲食店がウィズコロナを生き抜くために

少なくともウィズコロナの間、飲食店はできる限りのコロナ対策をすべきであり、多くの客もそれを望んでいるということを、つらつら書いてみました。

ウィズコロナの間に客足は戻るか

2020年6月現在、非常事態宣言が解除され、ひとまずの安楽ムードが街には漂っている。

確かに都内の感染者数はかなり抑えられているが、第二波はいつ来てもおかしくない。まだまだ油断はできない状況である。

本当の意味でコロナ禍が終息するのはワクチンが行き渡って集団免疫が形成された段階であり、少なくともここから先1年から2年、すなわち2021年の夏、長ければさらに1年後の2022年夏ごろまではコロナと共存しながら、騙し騙し過ごす「ウィズコロナ」の時期が続くとみている。

緊急事態宣言下の外出自粛で、飲食店への客足は極端に遠のいた。テイクアウトやデリバリーなどで凌いでいる店も多かったが、経営的には無いよりはマシといった程度だろう。

やはり店内飲食する客がどこまで戻るか、そこに存続のカギがあるわけだが、そう簡単ではないことは誰しもが理解している。

さすがに2年も過ぎれば、コロナ前と同じように消費者の意識も回復するだろうが、そもそもそこまで経営が耐えきれるかどうか。

まずは、このウィズコロナを生き抜かなければ未来はないのである。

多くの消費者は不安を抱えている

ここで、Rettyによる以下の記事を見ていただきたい。

~飲食店の皆さまへ~消費者アンケートから見る緊急事態宣言「解除後」の外食意向

~以下引用~

Q.外食を利用するにあたって、衛生面に不安はありますか

(n=1154)
衛生面に不安が「少しある・ある」と回答した人が合わせて約70%。

Q.飲食店に対して衛生面対策をどの程度求めますか

(n=1154)
「求める・かなり求める」と回答した人が合わせて約86%とほとんどの方が衛生面対策を求めている。

~引用ここまで~

もう一つ、こちらも見てみよう。

ここからも、多くの人が飲食店の利用に際して感染の不安を持っていることが読み取れる。

結局、対策はすべきなのか

モラル的な意味では当然だが、これだけ感染への不安を持つ人が多くいる以上、経営的な視点からも対策は必須と言える。

ほぼノーガードにも関わらず、それなりに集客できている店も確かにある。人によっては感染自体を楽観視している向きもあって、街場の大衆居酒屋などではそこそこ賑わっている様子も見受けられる。

では、対策はしなくてもいいと言えるのだろうか。答えはNO。そこには大きなリスクが潜んでいるからだ。

ノーガードの店に集まる客の多くは、感染予防に無頓着である可能性が高い。

そういった客層が集まる店では、飛躍的にクラスターの発生する確率が上がる。

それに加えて世間の目もある。ノーガード営業をすることで自粛警察に狙われるかもしれないし、旧態依然とした営業スタイルに対して悪い噂が立ったら、それこそ客足は鈍る。

対策をしないことで意識の高い客の足は遠のくが、対策をしたからといって意識の低い客が来なくなるわけではない。だったらしっかり対策をしたほうが、どちらの層の客も呼び込めるのだから、やるに越したことはない。

対策のデメリットとそれでもすべき理由

無論、対策には一定の金がかかる。生きるか死ぬかの窮々としている中での出費は痛い。

今は何より目先のキャッシュが大切であることは理解しているが、そこは無担保融資や対策補助金もいろいろとあるのだから、それらを活用して何とか頑張っていただきたい。

また、きっちり対策をすればするほど何かと手間がかかり、オペレーションが増えるというデメリットもある。手数が増えることでコストも増え、ギリギリ回っていた経営が成り立たなくなるかもしれない。

だからといって、俺はコロナなんて関係ない、勝手気ままにやるさ、なんてのはあまりに無責任である。

万が一にも店がクラスターを発生させれば、社会全体に多大な影響を及ぼす。たった一人の身勝手な行動が感染を拡大させることは、散々報道されているとおりだが、ノーガードでの営業はそれに加担するに等しい行為であると認識すべきだ。

そもそも飲食店が公衆衛生に気を遣うなんてのは常識以前の話で、それが守れない店は保健所から営業停止の措置を受ける。

それは食中毒の話だろって?いやいや、食中毒はダメだがコロナなら良いなんて理由があるだろうか。公衆衛生という言葉の意味をよく考えてほしい。

具体的な対策

ガイドラインは各所で示されているので、そちらを参考にしてほしいが、最低限、以下くらいはやってほしいところ。

  • 入店時の手指消毒
  • 店員のマスク
  • 私語をなるべく控えるよう要請する
  • 換気
  • 客席間の仕切りもしくはソーシャルディスタンスをとる(混んできたら入店を断る)

ソーシャルディスタンスの難しさ

ただ、ソーシャルディスタンスに関しては多くの客数を望めなくなるため、非常に難しいのはよくわかる。

そうなれば客単価を上げるかソーシャルディスタンスをやめるか、いずれかを選ぶしかない。

店自体を高級化して高単価の方向性へ舵を切ることも考えられなくないが、大衆居酒屋の雰囲気のまま銀座の高級店のような中身に作り替えることは実質不可能だろう。

つまり、薄利多売でやっていく以上は、どうしたって多くの客を呼び込む必要があるわけだ。しかし密も避けたい。このジレンマに対する解決策は一つ。客席間に仕切り(パーテーション)をつけることだ。

これは客側としてはぜひお願いしたい施策だが、コストや手間が増え、雰囲気を削がれることもあってか、今のところ実施している店はほとんどない。(※)

まあ、1人ずつでなくとも、1団体ずつで分けていけば問題ないだろう。狭くて小さな店ほど必要な措置なため、是非検討していただきたい。

※2020年12月追記:現在の東京では2~3割くらいがパーテーションを設置している印象。チェーン店のほうが設置率は高く、個人店は少なめか。あくまで印象値ですが。

対策をアピールする

何らかの対策をしたなら、次はそれを積極的にアピールする必要がある。

平時からこういった宣伝やアピールが下手な店が非常に多いが、客としてはアピールしてくれないとわからない。

店頭に「当店は入店時の消毒等、万全のコロナ対策を実施していますので安心してお越しください」などと書いた張り紙をすることくらい簡単にできるだろう。

同様のことをSNSで発信してもいい。

これだけ不安を抱えている客が多いのだから、それをすることで少なからず集客にプラスの作用をもたらすことは間違いない。

しかし現実的には、こういったアピールをしている店はまだまだ少ない。逆に言えば、今ならアピールすることで他店と差をつけられてアドバンテージにもなるので、ぜひやっていただきたい。

東京都をはじめ、いくつかの自治体では、ガイドラインを遵守し対策を講じている店には店頭にポスターを貼ってもらうことも検討している。もし実現となれば逆にノーガード、もしくはノーアピールの店にとって逆風になることは承知しておくべきだろう。

まとめ

厳しいことを書くようだが、これだけ苦しい状況になっても旧来のスタイルを変えない、または変えられない店が多いことに驚く。

もはや世の中がコロナ前に戻ることはない。いま人々が何を考えているのかを理解し、新たな生活様式を取り入れた運営を考えていかねば、店は早晩立ち行かなくなる。

もしも、次に来る波が大きなものであった場合でも、大多数の店は経営的な理由から自粛をせずに乗り切ろうとするだろう。しかし、それとは裏腹に人々の意識はより一層飲食店から遠のく。そうなったときに生き残る術はあるのか。

不安は尽きないとは思う。しかし、やはりできる対策を精一杯やるしかないだろう。それで必ず乗り切れるかはわからない。しかし、きっと地域やお客さんの信頼を得ることには繋がる。そして、その信頼はいつか店を救ってくれるはずだ。