コラム

飲食店が日本酒ペアリングを採り入れるべき理由

restaurant2

毎回、ペアリングだマリアージュだと馬鹿の一つ覚えのように繰り返していますが、なぜそこまで日本酒と和食以外のペアリングにこだわるのか。

それは飲食店が集客するための武器になり、そして日本酒の発展につながっていくと信じているから。今回はそんなお話をしようと思います。

飲食店を応援したい

そもそもの話なんですが、このサイトをやっているのも、ペアリングを探求しているのもすべて「日本酒の美味しさをもっと世に広めたい」という想いが根底にあります。

日本酒を楽しむ方法はいくらでもあります。例えばホームパーティで手料理をふるまい、各々持ち寄った日本酒を合わせてみる。これ楽しいですよね。自由に飲めるし。

ただ、もう少し専門的に突っ込んで、日本酒のもつポテンシャルを限界まで引き出せるかという観点では、個人ではどうしても難しくなります。

料理に合わせてそれほど多種類の酒を用意することはできないし、料理自体のクオリティも酒との組み合わせの妙も、場数を踏んだプロには到底かないませんから。

その意味では飲食店こそが日本酒の美味さを真に伝えられる場であると信じています。そして、そんな飲食店を応援することが、日本酒の拡充にもつながるはずです。

より多くの人に知ってもらうには

そんなに日本酒の素晴らしさを知ってもらいたいなら自分で店やれば?とお思いの方もいるでしょう。

実は以前、自分で日本酒BARをやろうと、いろいろ準備を進めたことがあります。しかし、諸事情あって開業には至りませんでした。

飲食店や酒屋の経営を通して地道に継続して啓蒙していくことができるなら、本当はそうしたいです。しかし自分にそれができない以上は別の道を探らなければいけない。

そうして悩んだ結果、行きついたのがペアリングを軸として飲食店を支援するという方向性でした。いわば、現場に立つのではなく、それを支援するための研究者ですね。食が好きで酒も料理も美味しいものを貪欲に求める自分にはぴったりだと、そう考えたのです。

ペアリングを方法論として確立して全国の飲食店で活用してもらえれば、間接的にでも日本酒の素晴らしさを多くの人に伝えられますし、それも一つの手段かなと。ある意味、自分の夢を飲食店をやっている皆さんに託している、とも言えますね。

ペアリングは飲食店の武器になる

素晴らしいペアリングはお店にとって強力な武器になりますが、まだそこに気づかれていないお店はたくさんあります。

チョイスはすべてお客さんに任せて、なんとなく料理と酒を組み合わせて、うん、それなりに美味しいね、で終わってしまうお店が大多数を占めるのではないでしょうか。

お客様がペアリング(というか、単に美味い料理と酒の組み合わせ)に興味があって、この料理にあったお酒をくださいと店にお願いしても、正直首をかしげてしまう酒が出てくることも少なくありません。

逆に言うと、この状況はチャンスです。まだ日本酒ペアリングの方法論がそこまで浸透していない今だからこそ、他店にない素晴らしい組み合わせを提供できれば確実にインパクトを残せるんですから。

和食と日本酒が合うのは当たり前

インパクトという意味では、このサイトでもメインテーマとしているのが「和食”以外”と日本酒のペアリング」です。

なぜ和食をわざわざ避けているのか。これはもう単純な話です。和食と日本酒が合うのなんて皆が知っていることだからです。言い換えれば、お客様に驚きを与えるのが難しいのです。もちろん、和食×日本酒であってもそれなりにハイレベルな内容であれば、インパクトを残すことは可能ですが、やり尽されているジャンルだけに、どうしてもハードルは高くなります。

その点で言えば、難しいと思われがちな洋食×日本酒こそ、むしろ手を出しやすいのではないでしょうか。だって、100点はともかくコツさえ知れば簡単に70点、80点のペアリングができるんですから。

誤解しないでいただきたいのですが、奇をてらうことで手抜きができますよ、と言っているわけではありません。子供騙しのギミックはすぐに飽きられますし、それに頼らない実力を磨く必要はあります。だからといって、直球勝負だけでは限界があります。現実問題として味の面だけで100点を取ることはほぼ不可能ですよね。

お客様は料理(ペアリング)の味だけではなく、雰囲気、価格、サービスなど、これら全てを総合してその店を評価します。ここに、洋食×日本酒という分かりやすい驚きの要素を加えることで総合点に加算できるのです。

お客様がリピーターにならない理由

店にお客様が再訪しない一番の理由ってご存知ですか?何か失礼があったとか、料理が不味かったとか、そういったこともありえるんですが、最も多いのは「なんとなく」なんです。仮に美味しかったとしても、雰囲気が良かったとしても、なんとなく行かない。

裏を返すと、「特別にその店に行く理由」がないと、そうそう再訪はしてもらえないということ。

つまり、初回で強烈なインパクトを残し、どうしてもまた来たい!と思わせない限りは次につながらないのです。ああ、飲食店経営とはなんと厳しい世界なのか。(ポイントカードや再来店割引などは本質からずれるので別の話です。)

そこで和食以外との日本酒ペアリングですよ。

お客様が思いもよらなかった組み合わせを提示することで、店の印象も強くなりますし、店の特徴や強み(アピールポイント)にもつながることは間違いありません。

「わかりやすさ」と「インパクト」そして「クオリティ」を併存させる

何度も言いますが、奇をてらうだけではダメです。まあ日本酒もそれなりに合うし面白いけど、やっぱりワインのほうがいいよね、となったらその時点でもう負け。

いかに日本酒でしか為し得ない、確度の高いペアリングを提供できるか。ワインもいいけど、この組み合わせはこの日本酒しかありえないと思ってもらえたら、その店はきっと繁盛します。先ほども書いたように、現状そこまでやれる店って滅多にないじゃないですか。他にないなら、そこに行くしかないでしょう。

とにかく大切なのは「わかりやすさ」と「インパクト」そして「クオリティ」を併存させること。これが店を繁盛させる秘訣なのです。

和食以外と日本酒のペアリングは、そのための一つの手段です。選ぶか選ばないかはお店次第ですが、強力な武器になることだけは間違いありません。

まとめ

日本酒の可能性を広げたい。そんな個人的な願望も大いに含まれていますが、近年売り上げが低迷している日本酒の隠れたポテンシャルを引き出すことで、何らかの突破口に繋がればいいなと考えています。

日本人の食卓が西洋化したと言われて久しいですが、そこに日本酒が入り込む余地はないんでしょうか。

過去、日本酒が売り上げを保っていられたのは日常酒としての存在感があったことが大きな要因です。それが今やデイリーワインやビール(発泡酒)、チューハイに取って代わられているのです。それらのお酒がダメとは言いません。ただ、日本酒派としてはもうちょっとそこに食い込ませてよ、というのが正直な思いではあります。

こういった考え方に皆さんが全面的に賛同してくれるとは思っていません。しかし、試みを面白がってくれるお店が少しずつでも増えていったら、結果的に日本酒の消費増に繋がっていくのではないかと、淡い期待を持っているのです。

また、世界における日本酒の立ち位置、お店の自己表現としてのペアリング考といった、今回とはちょっと違う視点から西洋料理と日本酒のペアリングを薦めたい理由を書いた記事もありますので、よろしければ合わせてご覧ください。

それではまた!

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう