2020年末にいろいろと騒動があった松本日出彦氏。
彼が監修した「narai」を飲む機会がありましたのでレポートします。
過去の経緯とsuginomori brewery
詳しくは書きませんが、要は経営上のいざこざがあって、松本氏がそれまで杜氏として働いていた蔵を飛び出したってことです。
そのあたりのことについては、こちらも参考にしてください。
その後、全国の蔵を回り武者修行シリーズと題して小規模ながらリリースしていましたが、2021年の7月に長野の杉の森酒造あらため「suginomori brewery」として再生した蔵で監修を務めるということが発表されました。
監修と言っても具体的にどこまで酒造りに関わっているのかは不明ですが、杜氏にかつての松本酒造で蔵人を務めてきた入江将之氏を起用していることからも、松本イズムは色濃く反映されているものと思われます。
naraiの味わい
通販で手に入れることが可能でしたので、飲んでみました!
こんな箱に入って届きます。
(絵葉書のオマケつき)
14%の低アルコールで、非常にモダンな造り。
甘みは軽め、酸もそこまでは出張ってこない。
そしてうま味はスリムで、軽く抜けるような後口。
この必要以上に味を凝縮させすぎない、すっきりとしたボディとキレは間違いなく松本さんですね。
スペックは非公開なので米の品種や磨きは不明ですが、恐らくは金紋錦・山恵錦・美山錦のいずれかを使っていると思います(この3種を使ったセットも売られているので、恐らく)。
飲んだ感じだと美山錦で精米歩合45%くらいかなあ。自信ないですが。
合わせるつまみを考える
香りはそこまで強くないですが、含んだニュアンスはマスカットかな。
目には目を、フルーツにはフルーツを。これがフルーティ系日本酒を合わせる場合のセオリー。
というわけで、イチゴを使った簡単なおつまみを作りました。
イチゴのカプレーゼ
- ボッコンチーニ(一口サイズのモッツアレラ)に気持ち多めの塩を振る
- イチゴを半分~1/4に切る(ボッコンチーニと同サイズくらい)
- オリーブオイル、塩コショウ、バルサミコをかける
これだけです。めっちゃ簡単ですが、フルーティ系、特に香り立つタイプにはとても合います。
実食&分析
naraiは比較的立ち香が抑えめですが、系統としては冷酒で飲むモダンなタイプなので、イチゴのような香りの強いフルーツとの相性も問題ありません。
うーん、イチゴの香りと甘味が酒と同調して、得も言われぬ感覚に。
ともすればイチゴが甘すぎてしまうのですが、そこは塩気の効いたモッツアレラとバルサミコの酸のおかげで酒の甘味が引き出され、バランスがとれるようになります。
バルサミコのパンチがあるので、もっと濃いめでボディがしっかりしたフルーティ酒でも合うでしょう。
まとめ
narai、ぶっちゃけ高いです。4合で5500円ですから。
ただ、このクオリティであれば個人的には許容範囲です。
そもそも日本酒業界全体の値付けが安すぎるんですよ。この価格構造のおかげで蔵も酒屋も窮々としているんです。
マイクロブルワリーで生産本数が極小なだけに、たくさんの人に飲んでほしいというよりも本当に飲みたい人に飲んでほしいという思いがあるんじゃないかな。知らんけど。
あ、ちなみにイチゴのカプレーゼですが、長野の豊香 純米とも合わせたところ、これも相性バッチリでした。
とよのかってイチゴの品種がありますが、この豊香も不思議とイチゴの香りがするんですよ。いや、マジで!嘘だと思ったら飲んでみてよ!
まあとにかくnaraiはめちゃくちゃクオリティの高い酒だったということで。
松本さんの次のプロダクトに期待してます。
それではまた!