今回は食卓の定番、ハンバーグです。
ポピュラーすぎて見落としていましたが、普通は日本酒と合わせませんよね。
というわけで、挑戦してみます!
ハンバーグとは
果たして乳幼児を除いてハンバーグって何?って人は存在するのでしょうか。
えー、言うまでもなくドイツのハンブルグが語源の挽肉料理でございます。
材料としては牛肉のみ、もしくは牛豚合挽き肉が一般的には用いられます。
そこにタマネギや牛乳でふやかしたパン粉などが入ります。
スパイスはナツメグが使われることが多いですな。
デミグラスソース
ちなみに今回はこってりデミグラスソースです。ハンバーグ本体よりもこっちのほうが日本酒選びに影響するのは目に見えてますね。
デミグラスソースってよく聞きますが、実際どんなものか説明できる方は案外少ないと思います。
一応、wikipediaから引っ張ると…
小麦粉をバターで茶色く色付くまで炒めて一度冷ましたもの(ブラウンルー)に、牛(特に子牛)の食肉や骨と野菜(ミルポワと呼ばれる玉葱・人参・セロリの組み合わせを使うのが一般的)を煮込んでつくった出汁(フォン・ド・ヴォー)を入れ、アクをとりながら、半量程度になるまで煮詰め…
wikipedeiaより
あああ、面倒くせえ!俺は缶詰を使う!
ハンバーグの試食
何はともあれ試食。実はファミマのお母さん食堂のやつです。手軽なんだもん。
いやー、コンビニの食い物って本当に美味くなりましたよね。これが店で出されても特に疑いもなく「うまいねー!」って言いながら食っちゃいそう。
かなり濃い味を想像してましたが、肉とともに食せばそれほどでもなかったり。
五味チャート
とりあえず五味をチャート化します。
塩2 甘2.5 酸0 旨4 苦1くらいかな。案外すっきりした見た目かも。
合わせる日本酒を考える
思ったより味は濃くないとはいえ、やはり肉なのでボリューム感はあります。
ですから、それなりにボディが強い酒を選びましょう。
感覚的にデミグラスは苦味もあって深みがあるので、同じく複雑な味わいの熟成酒が合う気がします。
当然、温度帯はお燗ですね。なぜなら肉汁(脂)を冷やすと口当たりが悪くなるから。
日置桜 純米吟醸 伝承強力 24BY
ボディが強くて熟成感と言えば定番の日置桜です。鳥取の雄。
それでも一応純米吟醸なので、それなりにシュッとしたところもあるかなーと思いきや、やっぱりゴリゴリでした。こういうところ最高。
精米歩合55%、日本酒度+10、酸度2.0、酵母は9号。無濾過、火入れ、7年ほどの熟成。
間違いなく燗にすべき酒です。
なぜ日置桜なのか
この条件なら竹鶴・神亀・奥播磨、その他山陰の純米燗酒系など候補はたくさんありますが、正直どれでも悪くないと思います。
ではなぜ日置桜なのか?
それは、たまたま家にあったから!
冗談でも何でもなく、こういう気軽なチョイスって大事だと思うんですよね。
だって、あまりピンポイントなペアリングを提案したところで、同じ酒を入手できるとは限らないし、料理の味付けだって異なるはず。
だから、ざっくり方向性を合わせるだけでいいんです。
仮にそれがイマイチだったら、温度を変えるとか、加水するとか、はたまた料理に少し手を加えるとか、そういった一手間によって酒と料理を近づけることが大切なのです。
赤ワイン燗
で、今回はなんと赤ワインを少しブレンドしていただきます。
これがね、肉に合うんです。
デミグラスソースのハンバーグは言うまでもなく盲目的に赤ワインが合うわけですが、旨みの部分を同調して引き立てるのは日本酒に軍配が上がります。
ですから、両者のいいとこどりができたら最高のペアリングになるに決まってるじゃん!という単純なお話。
赤ワイン燗の作り方
平杯に赤ワインを少し、全体量の1/4くらい注いでおきます。
そこに60℃まで燗付けした日置桜を一気に。ワインと混ざることで温度は53℃くらいまで下がります。
おお、素敵な色合い。
ワインのブドウ品種は重めのものであればそれほど問いません。
カベルネ・ソーヴィニヨン、ジンファンデル、シラーなど。
脂と合わせるにあたっては少し渋みを足したほうがいいので、メルロー主体だとイマイチかも。
ちなみに今回はカルディで買ったラングドッグの安ワイン「Chocolate Moose」。
カベルネ・ソーヴィニヨンらしい渋みとフルボディの重たさがちょうどいい塩梅。
五味チャートを合わせる
赤ワイン燗の五味は甘1.5 酸2 旨5 苦(渋)1。
※苦味と渋味は本来別物ですが、ここでは同種の味としてグラフ化しています。
これをハンバーグと合わせます。日本酒にワインの酸味が足されるので、日本酒単体よりやや軽い印象になります。
なるほど、全体のバランスはバッチリ。ハンバーグにはない酸味がどのように作用するかが楽しみなところ。
実食!
レンジでチンしたハンバーグの封を開けると、食欲をそそる肉の香りが漂う。
口に入れるとデミグラスのほのかな甘みとともに強い旨味を感じるが、ほどなく肉汁が溢れて全体が調和する。
ここに、赤ワインで割った日置桜の熱燗を流し込む。
ワインのフルーティさを微かに感じながら、酒の旨みが肉汁をつかんで離さない。最後に現れる酸とごく軽い渋みのおかげで口内がリセットされる。
いやあ、これは正解。美味い。
日本酒だけだと、やや強すぎる印象もありますが、赤ワインが入ることでほどよくボディが薄まりちょうどいい強度になるのです。
そして、赤ワインの風味のおかげもあって明らかに肉との相性が近づいています。
まとめ
無理に赤ワインを入れなくても合わせることは可能ですが、肉系は赤ワイン燗でより相性が良くなることが実証されました。
ピノ・ノワールと大吟醸とか、今回は避けたメルローと熟成酒とか、もうちょっといろいろなパターンの組み合わせも試してみたいところです。
ちなみに、甘めの生酒に白ワインをブレンドするという荒業もありますが、口当たりが良すぎて沈没してしまう危険性が高いので注意が必要です。
それではまた!