謎の料理、クミンサバ味噌に濃醇な燗酒を合わせてみました。
クミンサバ味噌
クミンサバ味噌って何ぞ…訝しい表情の読者の皆様の顔が目に浮かびます。
難しいことはありません。その名の通りサバ味噌にクミンを振りかけただけのものです。
マズそう?吐きそう?
うふふ、それがね、騙されたと思ってやってみなさいって。めちゃくちゃ美味いから!
作り方
1)サバ味噌を用意します。缶詰で充分。作りたい人は各自でレシピをググってください。
2)1缶につき小さじ1くらいのクミンシードをフライパンで乾煎りします。香りが立って来たら焦げる前に火からおろしましょう。
3)温めたサバ味噌にぶっかけます。
以上で完成!
今回はセブンイレブンで買ったサバ味噌缶を使いました。お好みで針生姜を乗せてもいいですね。
合う日本酒を考える
これはあまり深く考えるまでもなく、サバ味噌に合わせて濃いめの純米燗酒がばっちり合うでしょう。
クミンの存在が引っかかる方も多いかもしれませんが、サバ味噌に新たな変化をもたらすというより、むしろ調和を高めて酒との触媒になるんですよ。
なので、日本酒選びの際はクミンの事をそれほど考慮しなくて大丈夫です。
まあ、熟成系の枯れてスパイシーなニュアンスがあれば、確実にリンクするのでそれがあるに越したことはないですが。
日置桜 生酛強力 28BY
というわけで、今回チョイスしたのは、このサイトではお馴染み熟成燗酒会のエース、日置 桜さんです。
一見ゴツそうですが、燗で飲むと意外なほどまろやか。美味いなあ。ある種、スープとしても成り立っちゃうよね。
4年寝かせてからの出荷なので、それなりに熟香はありますが、それほどキツイものではないです。
スペック
精米歩合:65%
酵母:無添加
日本酒度:+7.0
酸度:1.9
山陰らしい剛直な完全発酵酒で4年熟成。そこそこ寝てますが、さらに数年寝かせて育てたくなるポテンシャルがあります。
五味チャート
いつものごとく、一応五味チャートです。
これに関しては必ず合うという確信があるのでチャートにするまでもないんですけどね。
酒の酸が料理とやや合っていないようにも見えますが、数値以上に強度は高いので酸だけが悪目立ちすることはありません。
このくらいどっしりした酒だと全体の屋台骨を支えるために、ある程度の酸は必要になるのです。
また、この酸はフルーティ系に多い冷旨酸ではなく、温めて旨みに変わるコハク酸や乳酸と言った温旨酸なので、多少突出していても問題はないのです。
実食!
サバのクミンがたっぷり乗っている部分を選び、ほぐして箸でつまむ。
ほおばる前から独特な香りが鼻腔をくすぐる。慣れないうちは違和感を感じるかもしれないが、口にしてみれば少し甘めの味噌と抜群の相性であることはわかるはずだ。
クミンは乾煎りしてあるのでプチプチと歯切れよく口の中で弾け、そのたびに芳しい香りで満たされる。
そこへ味噌とサバの旨みが加わると世界は一気に広がり、最後にクミンのほのかな清涼感が残る。
さて、サバを全て飲み込む前に日置桜を含もう。
あらかじめ55℃に燗付けして、そのまま45℃まで冷ましたものだ。これによって余計なアルコール感は飛び、より円やかになる。
クミンの残り香が酒の初端を掴む。旨みと旨みが掛け合わされて、それぞれ単体で味わうよりも数倍幸せになれる。
最高。
代わりの酒
ある程度濃醇な燗酒であれば、かなり幅広く合わせられます。
入手しやすいところだと、剣菱、神亀 純米辛口、末廣 伝承山廃純米、大七 純米生もとなど。
以下もご参照ください。
香り:穏やか
味わい:濃醇
日本酒度:極端な値じゃなければ不問
日本酒専門店で、↑こんな感じの燗酒をください!と言えば、間違いなしです。
まとめ
味噌とクミンの相性の良さは知っておくと料理の幅が広がりますよ。
そして、クミンと日本酒が合うという事実はもっと知られるべきと考えています。
偏見を取っ払って、自由に楽しみましょう。
それではまた!