食事に日本酒をペアリングさせるとき、もう少しだけ酸があったら…とか、もうちょっと味が濃かったら…なんて悔しい思いをしたことはありませんか?
料理にぴったりの酒をピンポイントで探すことは簡単ではありません。どうしても多少のズレはでてくるものです。
そんなときにおすすめしたいのがブレンド、つまり日本酒に何らか混ぜものをして味わいを調整する手法です。
ブレンドはペアリングの幅を広げる
酒は杜氏の「作品」だからその味を変えてしまうのは失礼である、または蔵や酒の個性を大事にしたいので、それがなくなるのはちょっと…とお考えの方も多いでしょう。
それを否定する気はありませんし、こちらのやり方を強要するつもりもありません。自分だってさすがに4合で5000円とかする純米大吟醸をブレンドする勇気はないですから(笑)
ただ、酒単体ではなく酒と料理を組み合わせて初めて一つの完成品になる、言い換えると酒も材料のうちと考えられる人であれば、ぐっとペアリングの幅が広がることは確かです。
ブレンドの実例
ブレンドと言ったら二種類以上の酒を混成するイメージかと思いますが、混ぜるのは酒だけではありません。水、氷、レモン果汁、コーヒー、スパイス、何でもアリ!
ロック
近年、だいぶ市民権を得てきた気がします。夏場なんかは濃い目の酒をロックにすることも多くなっています。
狙う効果としては温度を下げることと、若干薄めることで濃い目のどっしりした酒をあっさりしたカルパッチョとかサラダとかに合わせたいときに使えます。
玉川 Ice Breakerが有名ですが、しっかりしたものなら何でもOK。
割り水
重すぎる酒を薄くするために行います。
冷酒よりも燗で水を足すことが多いですね。加える量としては酒9:水1もしくはもっと少ないくらい。ただ、ここは酒にもよるし、合わせる料理次第なところもあるので、その都度試していただくしかないですね。
なお、冷酒向けの香り系だと少量の加水でも途端にバランスが悪くなることが往々にしてありますのでご注意を。
ここ↓で紹介している酒なら大概は割り水しても崩れません。
別の日本酒を混ぜる
酒と酒を混ぜること自体は、実は市販品でも普通に行われていることですし、そこまで構えることもないんです。
目的としては味わいの調整ですね。手元に二種類の酒があるとします。一つは酸が強め、一つは甘みはあるが酸が弱め。料理に対してどちらの酒ももうひとつしっくりこない。そんなときは適当に混ぜてみたらいいじゃない!
基本的には甘味を足したい、酸味を足したい、コクを足したいなど「足し算」で使う手法になります。
いや、でもマジでこれは使えるんですよ。日本酒×日本酒なので味的に違和感も全然ありませんし、うまくいけばイマイチだった酒同士がフュージョンして極上の酒に生まれ変わることも!
ちなみに、私はあまり好みじゃなく残ってしまった酒を一つの瓶に溜め込んで唯一無二の変態熟成酒を育てています。混ぜる酒や飲むタイミングによって不味かったり美味かったり。一応、こんな特殊な楽しみ方もあるということで。
レモンを垂らす
酸味を足すことで、どこかぼんやりした味の酒をキリっと締めることができます。フルーティな風味も足されるので、冷製の洋食系に合わせやすくなります。
量としては半合に対して数滴。1滴からでも結構変化がありますので、少しずつ味を見ながら足していくといいんじゃないでしょうか。
ただし、どっしり純米系の明らかに温めたほうが美味い酒とはあまり相性が良くないようです。どちらかといえば、吟醸系の華やかなほうが合いますね。これは温旨酸と冷旨酸の関係性がわかっていれば理解しやすいと思います。レモンはクエン酸など冷旨酸がメインなので。詳しくは下記の「酸」の項目をご参照ください。
コーヒーで割る
基本的にはチョコレートと日本酒を合わせるための手法。
そもそもコーヒー自体のペアリングの幅が狭いこともありチョコレート以外では実用性がないんですが、もしかしたらカレーなどクセが強い料理とは合うかもしれません。試してないのでわかりませんが。
詳細は下記をご覧ください。
スパイス&ハーブを加える
スパイスもハーブも非常に多くの種類があるので、この枠だけで語るのは無理があるんですが、まずはそういう方法もあるんだと知っていただければ。
しかしこれも抵抗のある方多いでしょうね。でもね、思い出してください。正月に飲むお屠蘇を。あれはまさに日本酒にスパイスを加える飲み方。案外昔から行われてきた手法なんです。
基本的には、料理に使っているものと同じスパイスやハーブを酒にも少量混ぜることで親和性を高める効果があります。
例えばローリエを燗酒にしばらく漬けておくだけで、風味が足され一気に洋食との距離が縮まります。日本酒とはなかなかペアリングが難しいパンなんかも合わせやすくなりますよ。
その他にもホールシナモン、コリアンダーシード、キャラウェイシードなんかは使いやすいですね。
量は本当に少量から試してください。クローブやカルダモン、ローズマリーなど香りの強いものは特に注意が必要です。
まとめ
このほかにもオレンジジュース、赤ワイン、紅茶などルール無用。オープンに考えることができれば可能性は無限に広がります。
ちなみに、オレンジジュースや赤ワインはペアリングのお供というより、カクテル的な要素が強いのでここでは詳しく紹介していませんが、工夫とセンス次第では面白い組み合わせが生まれるかも。
それではまた!