日本酒ペアリング実践

新政元旦しぼり、ピーマンをアテに飲んでみた

安定した人気の新政ですが、比較的入手困難な元旦しぼりを飲む機会がありましたのでレビューしてみます。

新政 新年純米しぼりたて

言わずと知れた人気銘柄。東大卒の蔵元杜氏、佐藤祐輔氏はメディアにもよく出ているのでご存知の方も多いでしょう。

そんな新政ブランドが大晦日から元日にかけて搾った酒をリリースしています。その名も「新年純米しぼりたて生酒」、通称元旦しぼりです。

人気なので入手はハナから諦めてたんですが、行きつけの酒屋でこっそりと「店頭には出してないけど、元旦しぼりどうですか?」と声を掛けてもらえたのでした。いやあ、常連の役得ですな。変な転売ヤーも跋扈してるので、その対策なんでしょう。

ラベルはデジタル風味のどこか既視感あるデザイン。佐藤氏は音楽好きなので何かのオマージュのような気がするんですが、よくわかりません。

スペック

使用米:あきた酒こまち

精米歩合:60%

酵母:6号

アルコール分:13度(原酒)

でたー、低アル原酒だ。軽いのに物足りなさはない最高のやつです。

レビュー

とにもかくにも飲んでみましょうか。

立ち香からは、ほんのり白ワイン的なスイカズラに似た芳香が。

微発泡からの軽い甘み、酸は突出していないですが、ほどよく甘みとバランスしています。

中盤からミネラル感を伴う旨味。そのミネラルから繋がる極小の苦味でフィニッシュ。

非常に品の良さを感じます。精米歩合50%くらいじゃないの?ってくらいキレイな酒質だし。

ちなみに、元旦搾りなので、すぐに飲んでなんぼ、と言いたいところだけど、実は開栓して1日置いたほうが味が落ち着いて全体がまとまります。個人的にはこっちのほうが好みだな。

五味チャート

五味を数値化すると、甘1.5 酸2 旨2 苦0.2です。

13度だけあってとにかく軽いっすわ。すいすい飲めちゃって危険。

つまみ

単体でも充分楽しめますが、それじゃこのサイトの名がすたる。でも、凝ったつまみを作る気力もない(別の酒を飲んですでに酔っぱらってる)。

というわけで、冷蔵庫と相談して酒に合う簡単なものを考えました。

丸ごとピーマン

手元のレシピ本をパラパラと、で目に入ったのがコイツ。丸ごとピーマン

ピーマンを丸ごと2分ほどレンジにかけて、めんつゆをぶっかけるだけ!簡単にも程がある!

これ、切らないことで水分が逃げず非常にジューシーに仕上がるんですよ。え?種はどうするのかって?実はピーマンって種も食えるんです。いや、マジで。

五味チャート

こっちも一応チャート化しときます。

塩1 甘1 酸1 旨2 苦1。

本来の味付けだと酸はほぼ0ですが、酒との繋がりを考えてポン酢を少量混ぜたので、数値的には1になっています。

酒のチャートと重ねると、あんまり重なってないようにも見えますが、全体の数値がこじんまりと小さいので、案外誤差として問題にならない気がします。

実食!

熱々のピーマンをガブリ。やや青臭い香りとほっこりした甘みが心地良い。

間髪入れずにじゅわっと汁があふれ出る。それがめんつゆと絡むとちょうどいい塩梅で旨みが足されて口福状態に。

ここですかさず、よく冷えた新政をちびりと。

口内が急冷されてぐっと締まる。酒のエンベロープが違和感なく料理の後味に寄り添っていく。

後半で、酒のミネラル感がピーマンのほのかな苦味と結合して完璧なマリアージュを生み出す。

通常、つまみと温度を合わせたほうが親和性は増すが、こうやってあえて冷酒で口の中を冷やして口に残った料理の風味をスッキリさせるのも一興。ギャップの妙だ。鍋なんかでは特に有効な手法なのだ。

しかしこんなにシンプルな料理なのに、驚くほど味わいの情報量が多い。

それが新政と合わさることで、すっと整理されて一本芯が通るイメージ。

美味しゅうございました。

代替酒の提案

同じ酒が入手できない場合は、日本酒専門店で以下のキーワードを使ってオーダーしてみましょう。

・香りは穏やか
・淡麗
・ジューシー
・軽め

うまくいけば近いものを得られるでしょう。新酒や夏酒に多い雰囲気ですね。

香りに関しては少々派手でもそれなりに合うとは思います。

まとめ

今回みたいな上品な酒にはこのくらいシンプルな料理のほうが合わせやすいのかもしれないですね。

ちなみに合わせる酒によっては、ポン酢を増量してさらに酸味を足す調整もアリ。

なお、今回の丸ごとピーマンは以下のレシピ本を参考にさせていただきました。

(注:レシピではチューブ生姜と鰹節も使ってますが、新政に合わせてあえて省略してます)

この本のレシピ、どれもめっちゃ簡単で酔っぱらいながらでも楽しく料理が作れるので重宝してます。激オススメ!

それではまた!