SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)二次試験のテイスティングと論述問題について、自分が受験した経験から、予想及び対策を立てていきたいと思います。
一人でブラインドテイスティングは難しい
現在このサイトを見ているということは、すでに一次試験をパスした方がほとんどでしょうか。
二次試験の内容はブラインドテイスティングと論述。
論述はともかくブラインドテイスティングってなかなか一人だとできないんですよね。
数種類の酒を自分で用意したとしても、すでに購入時に何の酒かを知っちゃってるわけで、その中からの選択式にならざるを得ない。
本番は当然何の銘柄かもスペックも何もかもわからないわけですから、やはりセルフではあまり良い練習にはならないですね。
経験則からはっきり申し上げますと、テイスティングはにわか知識やこれまでの飲酒経験くらいでどうにかなるものではありません。
ひたすら訓練を繰り返す以外、上達の道はないのです。
ですので、可能であれば他人に協力してもらうか、セミナーなどに参加するのが良いかと思います。
テイスティング試験の予想
過去3回の試験では、グラスに注がれた4種類の日本酒+1~2種類の焼酎をテイスティングし、それぞれの外観・香り・味わいをテイスティング用語選択用紙にマークしていく&各設問に答える形式でした。
恐らく次も大きな変更はないでしょう。
テイスティング用語選択用紙
用語選択用紙ってのは、外観・香り・味わいの項目ごとに、それぞれの表現がずらっと列記されているもので、その中からこれだと思ったものを選びます。
こちらはテイスティングのセミナー用に作成されたもので、ほぼ過去の試験に即した形になっています。
内容的にはテキスト第4章に載っているものなので、あらかじめ読み込んで表現に慣れておく必要はあると思います。
で、こちらがテイスティングの模範解答。
こちらの田崎氏の著作も参考になると思います。何せソムリエ協会会長ですから。
設問
それから設問。過去は以下のような感じで、この中から4~5問出題されると思われます。
今年も同じかどうかはわかりませんが、これ以上には問題の作りようがない気もします。生酒は試験の性格上使わないだろうし。
- アルコール添加をされたお酒はどれ?
- 「山廃酛」を使用したお酒はどれ?
- 「セルレニン耐性酵母」を使用したお酒はどれ?
- 「五百万石」を使用したお酒はどれ?
- 「山田錦」を使用したお酒はどれ?
- 焼酎のアルコール度数は?
- 焼酎の種類は?
- 焼酎の原材料は?
- 焼酎の蒸留方法は?
これら設問に当てはまる酒の番号を回答していくわけですが、それぞれ答えになる酒が一つとは限らないので、そこがいやらしいですね。例えば山田錦は1番と3番とか。
ちなみに焼酎の種類に関して「そば焼酎」はそばアレルギーの方を考慮して出題されないと言われています。なので、芋と米と麦と泡盛が判別できれば十分じゃないかな。
米の違いは難しい
日本酒は「米<水<酵母<杜氏」の順で味わいに影響がでると言われます。
つまり日本酒における米の味わいなんてのは、その他の条件によっていくらでも変化するものなんです。
どちらかといえば、杜氏がこういう酒を造りたいという設計図があって、それに適した米は何かという観点でチョイスされるもの。
ですから、ブラインドで飲んで米の品種を当てることに大した意味はありません。
とはいえ、試験は試験。米を当てろと言われたら従うしかありません。
ただ、J.S.Aもそのあたりのことは分かっているはずなので、あまり無茶な要求はしてこないと思われます。どういうことか。
恐らくは米の特徴が良く出た酒を採用するはずなんです。
五百万石ならわかりやすく淡麗でシャープなもの、山田錦なら味が広がる豊潤なものといった具合に。
さらに、あまりややこしい米を問題にはしてこないと思いますので、最低限、典型的な山田錦と五百万石だけは判別がつくように訓練しておきましょう。
余裕があれば雄町と愛山もやりたいところですが、自信がないなら混乱するだけなので無理強いはしません。
万一、それ以外の米が出題されたらもう捨てる方向で。恨むならJ.S.A.を恨んでくれ。
特定名称はアル添が分かればOK
既に合格された方による記事などでも書かれていますが、純米酒は、純米酒、純米吟醸酒、特別純米酒と答えても正解。
吟醸酒(アル添)は、吟醸酒、本醸造酒、特別本醸造酒でも正解。
純米大吟醸酒は、純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒、特別純米酒でも正解。
とかなりゆるい感じです。
これ、アル添か否かで答えが絞られています。ですから、まずはそこを判断できるのであれば大丈夫。
ただ、純米酒を純米大吟醸と答えるのはNGみたいです。当然と言えば当然ですが。
一方で純米大吟醸を純米と答えるのはOKなのか。謎だわ。
あと吟醸酒を大吟醸とするのもだめっぽいですが、上位互換ってことなのかな。
まとめると、純米大吟醸は純米酒でもあるけど、純米酒は純米大吟醸ではないと。
とりあえず、純米大吟醸・大吟醸だと思っても、よほど自信がある場合以外は下位の酒の特定名称を書いておくのが無難なのかな。
いずれにしろ、特定名称は純米とアル添の差だけ掴めばそこまで神経質になる必要はないってことですね。
アル添酒の味わい
アル添酒の味なんてわからない!という方のために、ざっくり自分なりの判断基準を書いてみます。
まず口に含むと、ダイレクトに味が来るのではなく薄皮一枚フィルターがかかったような感覚があります。それからアルコール由来の甘みを感じます。最後に余韻は短いことが多く、すっとキレていきます。全体的にはパワーが弱く薄味な印象のことが多いかな。
このあたりを念頭において、アル添酒を味わってみるとすぐ覚えられますよ。
ファーストインプレッションを大切に
実際に試験を受けて感じたのは、ファーストインプレッションが大切ということ。
何回も口に含んでごちゃごちゃ考えてると、そのうちに、何が何だかわからなくなってくるんですよ。
ですから、これまでの自分の経験と感覚を信じて一発目の印象で思い切りよく回答するのがベターじゃないかと。
それと、いきなり酒を口に含んでしまうのも避けたほうがいいです。
まずは香りを嗅いで、その印象をしっかりメモすること。うまくいけば、香りだけでかなり絞り込みができる場合もあります。
ちなみに、立て続けにいろいろな香りを嗅ぐと混乱して判断がつかなくなります。
自分の服の袖などを嗅ぐと一旦リセットされますので、次の酒に行く前に鼻をニュートラル状態に戻しておくのが良いと思います。
論述問題
2017年は「山廃・生酛の現状と将来の展望について」。
2018年は「セルレニン耐性酵母について説明し、あなたの意見を述べなさい」。
2019年は「美山錦について200字以内で説明しなさい」と「村米制度について200字以内で説明しなさい」の二問でした。
正直、文章の上手い下手は気にしなくていいと思います。どれだけそのテーマについての知識があって、自分ではどう考えているかが分かればいいわけですから。
どちらかといえば、一次試験でやった模擬問題を引き続きやって、知識の保持をしておくことが大切です。
で、今後出題されそうな論述問題のヤマを張ってみます。
2017と2018は造りに関することだったので、今年もそっちの可能性が高いと思っていたところ、2019は全然違う方向からぶっこんで来たので、正直傾向がわからなくなりました。
まあ、考えられるのは海外輸出についてとか、ペアリング・マリアージュ、提供温度などサービスに関することとか…
・火入れについて説明せよ
・並行複式発酵について説明せよ
・アルコール添加は何のために行うのか説明し、あなたの意見を述べよ
・海外輸出についての現状と今後の展望について述べよ
・日本酒と和食の相性について説明し、あなたの意見を述べよ
とりあえず、思いつくのはこんな感じでしょうか。
なお、勝手にリンク張りましたが下記ブログでは論述のテーマについてもっと細かく書かれていますので参考になります。
まとめ
最後に、ここまでのまとめを。
テイスティング
・米の品種は山田錦と五百万石がわかればいい。
・特定名称はアル添と純米の区別がつけばいい。純米大吟醸であっても純米酒と回答するのが無難。
・まずは香りからできるだけ絞り込む。いきなり味わうことは避ける。
・焼酎は香りが強くて鼻がバカになるから後回し。
・ごちゃごちゃ考えても混乱するだけ。ファーストインプレッションを信じる。
論述問題
・一次の模擬を解いて知識を保持しておく。
・常に日本酒業界のニュースをチェックして自分なりの考えをまとめておく。
・専門用語の漢字を練習しておく。
というわけで、がんばりましょう。ではまた!