日本酒セレクション

2019年9月の美味しかった日本酒メモ

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ここ数か月は赤ワインに気持ちが傾いていたんですが、夏ごろから徐々に日本酒に戻ってきました。そして9月。いやー、久々に浴びるように飲んだ月でしたね。

まともに利いてレビューを残してあるのは30種類ほどですが、それ以外の大塚sake walkや、ブラインドテイスティングセミナー、島根の地酒フェアなどの分を合わせたら100種類弱は飲みましたか。

本当のことを言えば、今は好きなタイプを深掘りしてるほうが楽しいんですが、時々はこうして多くの種類を口にして評価していかないと俯瞰して見られなくなるというか、勘が鈍るっていうか。日本酒コーディネーターとしての素地を固めるには必要なことだと思っています。

ただ、それらの大半はざっくりした印象でしか記憶されていないというのが致命的…だって酔っぱらっちゃうと楽しくなってきてどうでもよくなっちゃうんだもの。うーん、酒って難しい。

※ハズレは紹介しません。特に美味かったものには★がついています。

鏡野 純米無濾過生原酒★

高知県の株式会社アリサワの酒。この蔵は「文佳人」が有名かな。一般米の岡山県産アケボノ使用。55%磨き。ややカプロン。甘み強め、酸もしっかりだが太いタイプ。旨みは締まりがある。やや軽い苦味の余韻がふわっと。旨いわ。

三重錦 山廃 純米生 27BY★

3年半の生熟。焦げっぽい立ち香、ブラインドだったら絶対生とはわからない。そのくらい生の感じがない。

ややとろりとしたテクスチャ、甘みそこそこ、酸もごつっと、濃いようで意外に旨みが中盤で抜ける。これは山廃の酸と八反の軽さが上手く同居しているからか。旨くて面白い。

七郎兵衛 特別純米 生原酒 華吹雪

1年の生熟、ややイソバレあり、アルコールっぽさ強いなあ、と思ったら19度だった。甘みはドライで酸をまあまあ感じる。旨みはしゅっとしてる。まだ硬いがここからのポテンシャルは感じる。

セトイチ ぴいひゃら 純米吟醸

近年復活した瀬戸酒造店。レベルの高い酒を次々送り出しているが、まだまだ知名度は低く店で見かけることは少ない。ぜひとも販路を広げてがんばってほしい。

こちらは生貯蔵、山田錦60%磨きのKA4(熊本酵母)。立ち香は弱カプ、すっきりした甘み、濃醇というほどではないにしろ、ボディはしっかりしており抜けも良い。酸はそれほど目立たず、下支えするタイプ。旨味が上品で変に膨らまないのがいい。苦味もほんのり。

花春 濃醇純米酒

スーパーにて購入。福島なんだけど全然知らなかった銘柄。写真撮り忘れた。

まいひめ55%精米。やや乳酸的な立ち香。そこそこ丸い甘さ。旨味も酸味も出過ぎずバランス良い。ラストでほのかな苦味。目立つところはなく平均的な純米酒ではあるが、味わいとしては柔らかく広がりがあって、かなり好み。これが4合1000円切るってコスパ最強でしょ。

松の司 生酛純米酒 限定生酒

この銘柄は本当にレベルが高い。今年の新酒ながら早くも熟成っぽいニュアンスがかなりある。柔らかいアタック。重厚で甘味もあるが、当然べたつくことはない。生酛ならではの複雑さとバランスのいい酸が本当にいい仕事をしている。

松の司 純米吟醸 AZOLLA 28BY

2年熟成。速醸での最後の造り(現在は生酛に造りをシフトして「AZOLLA50」と改名)

出荷段階で1年熟成させてるんだが、これはさらに+1年。店で自家熟成したのかな?しっかりした造りで間違いなく熟成映えする酒汁なので、非常に興味があるところだったが2年くらいじゃ良くも悪くも全然変わらないね。強い酒ってそうなんだよなあ。

で、肝心の味は透明感のある優しい甘みから、コシの強さを感じさせつつも上品にすっと入ってくる感じはさすが。ただ、生酛の生酒のあとだったからか、ちょっと薄い印象に。飲む順序は大切です。

天穏 生酛純米酒 無濾過生原酒 五百万石 28BY

やや生熟の立ち香。アルコールっぽさも。甘みは強くまろやか。草いきれのような含み香。酸は控えめだが、生酛らしい複雑な旨味として溶け込んでいる。最後に苦味も。とにかく要素が多くて複雑。正体を探るうちに4合がなくなる。馨の3年生熟成と似た部分はかなりある。

若鹿 BANBI CUP

普通酒だがクオリティ高い。火入れならでは落ち着きとほどよい乳酸感がいい。甘みもそこそこあって厚みを感じる。この滑らかさはアル添ならでは。ラストの苦味が賛否分かれそうだが、食中酒としてなら全く問題はない。

MARUTO 生酛純米

黒澤の蔵ですね。生酛の低アル(13度)という意外に珍しい一本。生酛らしい乳酸の立ち香。薄い?と思ってしまうくらいの軽い入り。と思ったらフェイントだったかのごとく力強い乳酸がぐぐっと押し寄せる。それも尖った感じではなく厚みがある酸。旨味は乳酸と一体化しており軽め。最後はほのかな苦味でフィニッシュ。全体的には低アルの軽さを感じられる造りだが、やはり序盤から中盤の変化が面白い。

楽器正宗 本醸造

楽器正宗、なんか最近流行ってるね。自然郷もいいけど、こっちのほうがよりわかりやすい旨さがある感じかな。今回は本醸造を。軽くカプロン、甘みしっかり濃醇、酸もある。旨みの凝縮感あり最後アルコールの辛み若干。苦味もほんのり。上手いアル添の見本。

二兎 純米 萬歳七十 火

甘やかな立ち香。甘みはそこそこだが酸がしっかりしていて、かつまろやか。旨みは上品なのでただ濃いだけの酒ではない。バランス良い。

豊國 ひやおろし

昆虫(コオロギ)とペアリングさせるために購入。詳しくは以下を。