友人でもある大和川酒造店の社長 佐藤雅一氏よりお仕事の依頼をいただきました。
簡単に言うと、蔵で通年販売している酒に合う料理を考えてほしいという内容ですね。
送られてきたのは以下の9種類。
初回は高級ラインの1~3を取り上げます。(「いのち」なんて税込み8030円ですよ!震える…)
細かいことを言えば、当然それぞれに味の差はあるのですが、方向性が似ているものはある程度まとめた方が分かりやすいだろうということで、基本的には3本ずつペアリングを探っていきます。
純米大吟醸 弥右衛門
高級ラインのペアリングはどう考えるべきか
価格帯もあって、このラインは普段使いと言うよりは贈答用でハレの日に飲むことが多くなります。
よって、あまりチープなアテでは釣り合わない、かといって手の込み過ぎた料理は再現してもらうことが難しい。このあたりのバランスを考えながら探っていくことにします。
味わいの傾向としてはライトで、ややフルーティな香りがあります。とはいえ、この蔵の酒は大吟醸であってもそこまで香りを強くは出してきません。その意味では高級ラインでも比較的合う料理の幅は広くなりますね。
甘さはそこそこあって、酸とうま味は弱め。シームレスに流れるスムーズな味わいはさすが高級酒の風格。
基本的には味わいが軽いもの、もしくは塩気が濃いが、ある程度品が良いもの、と言った感じでしょうか。例えば塩辛などは、塩気が強いけれど臭みがあるので、こういった高級ラインには向きません。やはり、癖のない白身の刺身、または漬物などが無難な方向ですね。
では、ここからは実際に合わせてみて相性の良かったものをご紹介していきます。
数の子 わさび漬け
相性度:◎いのち ◎四方四里 ◎純大弥右衛門
コンビニやスーパーなどでもよく目にするこれ。1~3いずれにもめちゃくちゃ合いました。
※セブンイレブンさんの画像をお借りしました
そもそも、酒粕を使ったわさび漬けってほとんどの日本酒に合うのである意味チートではあるのですが、それでもこれはかなりおすすめです。
酒粕の風味と酒のフレーバーが同調。さらに魚卵のうま味が酒のうま味と重なって最高です。
基本、魚介類は臭みがあるので吟醸香との相性がイマイチなんですが、これは酒粕によって全く問題なくペアリングしてくれますね。
鯛の昆布締め
相性度:◎いのち ◎四方四里 〇純大弥右衛門
パッと見は微妙に高級感がありつつ、実は誰でも簡単に作れるこのおつまみもかなり相性が良かったです。
鯛の刺身に市販の塩昆布を適量まぶして一晩寝かせるだけです。
醤油はつけないでください。また、ワサビは必須です。
ちなみに、弥右衛門純米大吟醸にはもう一つでした。悪くはないんですけどね。いのちや四方四里に比べるとやや味が重くなるので、その点で若干相性は劣るかもしれません。
ただ、鯛をサーモンに変えるとバッチリ!鯛よりも脂が強くてうま味が濃いのでちょうど良かったですね。
カマンベールなめろう
相性度:◎いのち ◎四方四里 ◎純大弥右衛門
一瞬「どういうこと?」と思うようなネーミングですが、要はカマンベールチーズにネギ味噌を乗っけたつまみです。これがまた日本酒全般に合いまくるのよ。
これの場合は、上記2つのつまみとは異なる方向性です。つまみの濃い味わいで酒の甘さや味わいを引き立てるイメージです。
実際合わせるとチーズの風味と酒の甘さがぴったり合います。ネギ味噌の塩辛さによって酒が甘く感じるのもいい感じ。
作り方は、カマンベールチーズの上部の皮を剥いで、ネギ味噌を塗り、トースターで5分。面倒なら皮は剝がなくてもいいです。
ネギ味噌は普通の味噌にハチミツと酒少々を加えると馴染みが良くなります。あとはみじん切りの長ネギを加えて混ぜるだけ。
こちらの本に載っていたものを使わせていただいています。
こちらの記事もご参考に。
まとめ
高精白の高級酒は基本的にペアリングと言うよりは、単体で飲むことが多いと思います。とはいえ、上記のようなアテを軽く用意するだけでさらに酒の味わいが高まるので、やらない手はありませんよね。どれも手軽だし。
ちなみに、柚子胡椒もいいペアリングをしてくれました。コンビニの煮卵なんかにちょっとつけていただくといい感じなので、ぜひお試しを!