今回はKALDI(カルディ)などでも手に入るCORENイベリコ豚のレバーパテを題材にして、これに合う日本酒を考えていきます。
レバーパテの基本の作り方
レバーパテのレシピは様々ですが、基本的には火を通したレバーをフードプロセッサーなどで滑らかにして、適宜ハーブやスパイス、酒などで味を調えればOK。
簡単なので家庭でも作れますし、加える調味料でバリエーションがあるので案外奥深くて楽しいですよ。
レバーパテを試食
市販品に能書きは求められてないと思いますので、さっさと試食してみます。
思いのほか塩気があって味が濃いですね。レバーの風味も強いですが、臭みは感じません。恐らくスパイスの使い方が巧いんでしょう。無駄に表に出させず臭み消しに徹している印象です。
数値化するなら塩3.5、甘0、酸1、旨5、苦1.5で、チャート化するとこうなります。
甘味がほぼなく、塩気と旨味で構成されています。ここに表れていませんが、脂っぽさもかなりあるので、これによってまったり、こってりとした力強いテクスチャーになっています。
強度としてはかなり強い部類ですね。
ちなみに100gあたりの脂質は39.6gなので、4割が脂肪分。そりゃこってりしてますわ。
合わせる日本酒を考える
甘味に着目
レバーパテはハチミツやジャムなどと合わせる食べ方もあります。チャートを見ての通り甘みがないので、そこを補完する形。ゴルゴンゾーラにハチミツを合わせるのと同じ考え方です。
そこから導き出せるのは「こってり甘い日本酒」という選択肢。できれば酸は抑えめのほうがいいかな。これは、五味のうち味のピークが4つ以上になるとまとまりがなくなるという理論に基づいています。
すなわち、この場合ではレバーパテの塩味、旨味に加えて、酒の甘味、酸味が加わると4つのピークを持ってしまうのでイマイチ、ということです。
このあたりの五味をどうとらえるかという話は下記に詳しいので参照してください。
強度の高いものを
香りについては、ハーブが合うので、案外フルーティな酒でもいけるかもしれませんが、香りがフルーティだと、どうしてもキレイめでデリケートな酒質になりがちで、それがレバーペーストの強度と合わないんですよね。
その点でも、香りをキーにすると難しいので、複雑さと強度をもった酒質と甘さという二点から考えたほうが良いでしょう。
結局、剣菱
そんなわけで選んだのは剣菱です。スーパーで買える定番の普通酒で、老舗の変わらぬどっしりした味わいに固定ファンも多数。安物のアル添酒でしょ?と思われがちですが、玄人からも高い評価を得ています。
ちなみに、このシリーズ二度目の登場。
このブーダンノワールの記事を見ると分かるんですが、実はブーダンノワールもレバーパテもほとんど五味チャートの形が同じなんですよね。風味やテクスチャー、強度もかなり似てるし。
だから、ここでも剣菱が選ばれたのは必然なのです。
剣菱とレバーパテを合わせたチャートは以下。
剣菱を数値化すると甘3.5酸2旨4苦0.5 。レバーパテには無い甘みを酒で補完しているのが一目瞭然。
実食!
剣菱は50℃くらいの燗でいただきます。酒の温度を上げることで、レバーパテに含まれるたっぷりの脂肪を溶かす効果が期待できます。
実食した結果は、ほぼ予想通り。レバーでまったりした口の中を酒の甘味でさらに補強されるような感覚。ここは剣菱くらいしっかりした味わいでなくては調和がとれなかったでしょう。
ほどなく脂肪分が溶けて酒と混然一体となり、心地よい乳酸系の酸味が最後にほんのりと残ります。剣菱の特徴である熟成香とレバーの風味も相性がいいですね。
というわけで、今回も最高のペアリングでございました。
まとめ
考えてみれば、鶏レバーのしぐれ煮とか、焼き鳥のレバーとか、レバニラ炒めとか、スモークレバーとか、レバーはつまみの定番なんですよね。
ですから、日本酒と合わせること自体に驚きはなかったと思います。ペアリングのポイントは甘味が強くて濃い酒を選ぶこと。そこさえ押さえれば間違いありません。今回は剣菱でしたが、七田などでも面白いかもしれませんね。
ちなみに、今回はレバーパテにコリアンダーパウダーを少し振りかけていただきました。これがまた合うんだよなー。皆様もぜひお試しください。
それではまた!