日本酒初心者の方は何から飲み始めればいいのか。習熟度に応じて4段階に分け、それぞれのおすすめ酒を完全主観の合わせたいおつまみと共に紹介します。
初心者目線の記事を
以前も飲食店向けに初心者には何をおすすめすべきか、普段飲む酒から考えようという切り口で記事をアップしています。
これ、どちらかといえば、飲食店を含む「酒に詳しい人が初心者に対して何をどう勧めたらいいか」という観点からの記事なんですよね。
実際に初心者の方が自分で考えるには、やや難しいところもあると思われますので、今回は完全に初心者目線に立って、前回とは違う角度から記事を書いてみましょう。
自分がどの段階にいるのかを認識する
さて、一言で初心者といっても習熟度に応じていくつかの段階に分かれます。そして、それぞれのフェーズで飲むべき日本酒は異なってきます。ここを細分化しないで「初心者」という大枠で語ろうとすると、どうしても焦点がぼやけてしまうんですよね。
もっとピンポイントに飲むべき酒を探るために、初心者の方は、まずは自分が下記のうちどの段階にいるのか考えてみましょう。
何がなんだかわからない期
日本酒は何度か飲んだことがあって興味はあるものの、知識がないので全容が把握できず、当然自分の好みも確立していないので何から手を付けていいのかも全くわからない段階。どんなジャンルでも初めはそんなもんですよね。
とにかくここで大事なのは、まず日本酒の味に慣れること。
そう考えると、最初は「クセが弱く飲みやすい」お酒から入るのがやはり無難でしょう。(まれに、初めから癖だらけの熟成酒に反応する変態もいますが…)
もう一つ「通年で味が安定している」こと。これも大事な条件。日本酒は醸造年による違いはおろか、飲む時期によっても味わいが変わることが多々あります。それも日本酒の面白いところなんですが、最初のうちはいつ飲んでもブレない酒じゃないと基準が作れませんよね。
そして最後に「入手のしやすさ」。最初からマニアックな地酒専門店や日本酒専門のバーなどに行くのは、バタ足しかできないのにいきなりドーバー海峡横断にチャレンジするようなもの。まずは、コンビニ、スーパー、せいぜいデパートなどで手軽に購入できるものからで良いかと。
ただし、コンビニやスーパーで手に入る酒はどうしようもないものも多くあります。ですから、適当に勘や雰囲気で選ぶということは絶対に避けるべきです。この最初の段階でつまずいてしまうと、一生日本酒に対して悪印象を持ってしまう恐れもありますから注意しましょう。
なお、以下で紹介する酒はいずれも、メジャーながらちゃんと品質を伴った酒ですのでご安心あれ。
獺祭 純米大吟醸 45
言わずと知れた人気銘柄。この酒が現在の日本酒業界の流れを作ったと言っても過言ではないでしょう。フルーティでクセがなく、初心者にはうってつけ。
中級者以上になってくると物足りなさを感じるのも事実ですが、それでも通年で安定したクオリティを保てているのは特筆すべきこと。
そう、先ほども書きましたが「いつ飲んでも質がブレない」というのは日本酒の世界では意外に難しいことなのです。日本酒は生き物です。外的なコンディションや材料の状態によって出来上がるプロダクトは常に変化します。
そこを工業化することで安定した製品を送り出せるようになったのはこの蔵の大きな強みであり、特に初心者にとってはありがたいことです。
合わせたいつまみ:サーモンのカルパッチョ
東光 純米吟醸原酒
甘くて濃醇、非常にわかりやすい味わい。酸もしっかりしているのでベタついた感じはありません。濃い目でインパクトのある酒が好きな方には間違いなくヒットすると思います。
全国のイオンやイトーヨーカドーなどに卸されているようですので、比較的入手が容易。都内ではファミマで見かけることも。スーパー・コンビニで買える地酒としては最高峰の一つだと思っています。
合わせたいつまみ:クリームチーズの生ハム巻き
真澄 純米 奥伝寒造り
長野が誇る有名蔵。マイルドなバランス系で非常に飲みやすいお酒。初心者でなくともファンは多いです。
現在でも多く使われる協会7号酵母はこの蔵から分離培養されて頒布されています。まあ、この段階ではどうでもいいウンチクだと思いますが。
こちらもコンビニ・スーパーでよく見かけます。あまり冷やし過ぎず、常温に近いくらいのほうが旨みが広がってふくよかに飲めます。
クセがなく落ち着きがあって、しかも飽きが来ない。質がよくニュートラルなお酒なので、ここを一つの基準にすることもできます。
合わせたいつまみ:切干大根煮
出羽桜 桜花 吟醸酒
コンビニで缶のカップのものをよく見かけます。4合瓶もスーパーなどに時々おいてありますね。
80年代の吟醸酒ブームの立役者でもあり、2008年に日本酒チャンピオンズカップのベストカップ賞という賞を取っているそうです。まあ賞はともかく、いわゆる香り系の代表格であることは確か。日本酒ってこんなにも華やかでフルーティな香りがするのもあるんだということを知るには最適な教材です。
派手な香りとは裏腹に味わいは甘さ控えめのドライ系なので、意外と幅広く料理に合わせられます。
温度が上がると若干崩れるので冷やした状態で飲みましょう。それから、もしカップを買った場合はなるべくグラスに移したほうがいいですよ。カップ酒ってどういうわけか、ついついグビグビ飲んでしまいがちなんですが、ゆっくりチビチビと香りを楽しみながら飲んだほうが絶対に美味しいです。
合わせたいつまみ: カプレーゼ
人気銘柄に興味が出てくる期
第一段階で「日本酒ってやっぱり美味しい!」と思えたなら、次は「もっといろいろ飲んでみたい!」と、よく分からないなりに手探りでいろいろな種類を試したくなる時期が訪れます。
ここを通過してはじめて自分の好みがぼんやりと見えてきます。
ただ、何でもかんでも闇雲に手を出すのは非効率。物事を理解するためには、いきなり細かい各論からではなく、大まかな概論、つまり外枠から手を付けていくのが定石。日本酒で言えば有名銘柄・人気銘柄がそれにあたります。ここが後々幅を広げていくための基準点にもなります。
それに人気銘柄は雑誌やメディアでもよく取り上げられるので、比較的出会う確率も高くなりますし、このあたりの味を覚えることで、他の日本酒好きの人とも共通言語ができて話がしやすくなりますよ。
で、この段階になったらもはやスーパー・コンビニではちょっと役不足。もう一歩進んで地酒専門店や日本酒が飲める居酒屋に勇気を出して足を踏み入れてみましょう。大丈夫、この段階ならクロールくらいできるようになってるから。
なお、ここではモダン&クラシック分類を採用してざっくりセグメントしています。
※ モダン&クラシック分類…カネセ商店さんが提唱する日本酒の分類法。非常に分かりやすいので勝手に使わせてもらっています。簡単に言うと、モダンとはフレッシュ感があり酸が豊かで全体的に締まった印象。クラシックとは昔ながらの日本酒で、落ち着きがあり旨みがしっかりしているタイプ。幅のある味わいで燗にも向きます。
ライト・ミディアム・フルは味わいの重さ、または濃醇さを表します。
日本酒の分類について詳細は以下を。この分類法の他、ペアリングに即した分類なども解説しています。
モダン×ライト:新政no.6 R-Type
東大卒のイケメン眼鏡杜氏が日本酒界に革命を起こしたと言われる酒。
このR-Typeはシリーズ中、最もリーズナブルでスタンダードなもの。味わいは軽やかでフレッシュなジューシー系。非常に端正で飲みやすい生酒ゆえ、無個性にも思われがちなんですが、よくよく味わうと生酛という昔ながらの製法による奥深い酸味を感じることができるはず。
人気があるので、飲み屋などではやや高い値付けがされていることもありますが、勉強だと思って一度は飲んでみましょう。
合わせたいつまみ:塩茹でアスパラ
モダン×ミディアム:風の森 山田錦60% 純米しぼり華
もうひとつ生酒を。すっきり飲めるフルーティさも相まって女子からも絶大な人気を誇ります。このシリーズはいろいろなスペックが出ていますが、まずは王道の酒米である山田錦を使ったこちらを。
味わいは濃過ぎず薄すぎず、最大の特徴はフレッシュなしゅわっとした微炭酸。
開栓から時間がたつと、フレッシュさは落ち着いてきて、より甘みととろみを感じるようになります。この変化もぜひ楽しんでほしいところ。
合わせたいつまみ:鶏モモのソテー 粒マスタードソース
モダン×ミディアム:寫楽 純愛仕込み純米吟醸
こちらも大人気。福島の酒蔵で新政に並んでスター性のある杜氏さんです。
シュっとした印象のフルーティ系。出羽桜ほどぶわっと華やかではありませんが、シャープに品良く香ります。甘みはそこそこ、酸が少し前に出て端正な雰囲気。これこそが今のトレンドでいわゆるモダンな造りってやつです。
実はこの酒、開けたてよりも二日目のほうが甘みが前に出てまとまりが増すんです。初心者だからこそ、このあたりの変化は体感してほしいところ。
なので、一日で飲み切りたくなる気持ちも分かりますが、ぐっと我慢して次の日まで残しておきましょう。
合わせたいつまみ:アクアパッツァ
モダン×フル:鳳凰美田 Black Phoenix 火入れ
甘くてフルーティ、まるでジュース。昔ながらの日本酒しか知らない人からするともはや日本酒と認めることすら難しいかもしれません。香りが芳醇なので第一段階で出羽桜が気に入った方にはヒットすると思います。
正直、たくさんの量を飲むと飽きが来るので、デザート感覚でちびちび飲むのが正解かなと。
一応、個人的に好きなBlack Phoenixを紹介していますが、店で見かける機会はこれまでの酒よりは少ないです。基本的にはどのスペックも芳醇甘口系で同じ系統ではあるので、同銘柄であれば見つけ次第試してみてください。
気に入るか気に入らないかは別として「鳳凰美田っぽい酒」という概念を理解できるようになると、お店の人との会話が少しレベルアップしますよ。
合わせたいつまみ:タコとグレープフルーツのマリネ
クラシック×ライト:〆張鶴 純
ここからは昔ながらの銘柄を。
こちらは80年代に一世を風靡した新潟淡麗の一派。50代~60代くらいだと、このあたりの酒を信奉してる方はかなり多いです。
居酒屋などで八海山を飲んだことのある人は多いと思いますが、これも同系統であるものの、もう少し味に幅と深みがあります。香りは穏やかで食事に寄り添います。淡麗なので特に和食と相性が良いですね。
ちなみに、八海山もいい酒ですがメジャーすぎるってのと、若干淡麗すぎることもあって酒としてのバランスでいえばこちらの〆張鶴に軍配が上がるかと。まあ、最後は個人の好みですけどね。
あわせたいつまみ:生春巻き
クラシック×ミディアム:春鹿 純米 超辛口
ちょっとしたデパートの酒売場などでよく見かけます。モダンな酒とはタイプが異なり、いわゆるクラシックな「辛口」になりますが、案外こっち側で日本酒に開眼する人も少なくありません。
とはいえ古臭い感じは全くなし。 超辛口といいながらもしっかり甘みと旨味を兼ね備えているので別に辛くないじゃん!と思う方もいるかもしれません。
とりあえず、辛口の概念がわからない方は、この酒が一つのヒントになることは確か。(あくまでいろいろな辛口の解釈がある中の一つでしかありませんが)。
合わせたいつまみ:アヒポキ(アボカドとまぐろのヅケ)
クラシック×フル:菊姫 山廃純米 無濾過生原酒
石川県で質実剛健な酒を造り続ける菊姫。初心者向けとして紹介してはいますが、若干クセがあるのでむしろ玄人向け。
個人的に初心者時代に飲んで濃醇系にはまるきっかけとなった酒の一つなので、勝手な思い入れもあるんですが、それを差し引いてもこれは本当にインパクトがすごいので、是非とも早いうちに飲んでおいてほしい。
山廃ならではの複雑さや軽い熟成感もまた日本酒のディープな世界へ足を踏み入れる起点になるでしょう。
できればジューシーな甘酸っぱさを感じられる「無濾過生原酒」をおすすめしたい。火入れのものも美味しいんですが、さらに玄人仕様でクセが強いのでこの段階ではちょっと早いかなと。
合わせたいつまみ:酢豚
停滞期
ここまでメジャーな銘柄を中心に紹介してきましたが、多くの人はこのへんで止まっちゃうんですよね。残念なことに。
この先へ進むにはある程度の知識が必要になってくるため、それなりの興味と情熱がないと挫けちゃうんです。
ここで止まる方は「結局よくわからないから、前に飲んで美味しかったやつでいいや」と特定の銘柄だけを飲むようになることが多いですね。あとは店員や友人など詳しい人が薦めてくれる酒で充分、と受け身になっちゃうパターンも。
別にそれはそれで全然アリなんですが、せっかくならもうちょっと頑張ってみませんか?ちょっと知識がつくだけで日本酒の楽しさが何倍にも広がりますから!
勉強し始める期
というわけで、最初の難関、勉強し始める期。このフェーズを通過しないと初心者の壁は超えられません。
もちろん、杜氏になるわけじゃないのでそこまで詳しい知識は必要ないんですが、最低限の基礎的なことが分かっていないと、自分の好みを言語化することもできません。言語化できないと酒販店や居酒屋でおすすめをしてもらうのも難しくなります。
逆に知識がつくことで、興味の幅が広がります。こういう造りの酒はどんな味がするんだろう、この米とあの米はどう味が違うんだろう、この酒は温度によってどんな風に変化するんだろう、などなど、好奇心が強くて実験が好きな方であれば、テーマを持って飲み比べをすることで一気に世界が拓けていきます。
では、ここからは入手性なども考えて、なるべくこれまで紹介してきた銘柄と絡めて主だったテーマに沿ったおすすめを展開していきます。
なお、各テーマについての詳しい説明は割愛します。各自、勉強し始めている段階ならば内容はすでに知っているはず、という前提なので。
それから、ペアリングしたいおつまみもここではナシです。食い合わせによって酒の印象が変わってしまうと、結局何が何だか分からなくなってしまうので、ここはストイックに酒だけでいきましょう。
精米歩合の違いを味わう
まずはここですね。例えば純米酒は精米歩合によって「純米」「純米吟醸」「純米大吟醸」と特定名称が変わりますが、あまりこの呼び名にとらわれないほうが良いです。というのも、酒蔵によっては「純米大吟醸」と名乗れる50%精白であっても、あえて「純米吟醸」としていたり、「純米」といっても90%近い精米歩合のものもあれば、純米吟醸並みの60%まであって両者は大きく味わいが異なります。
とりあえず、先ほども紹介した風の森は同じ製法、同じ米で精米歩合だけが異なるものをリリースしていますので比較するには最適です。
80%の力強さ、60%のバランス感、45%の洗練具合をそれぞれ感じてみてください。
酒米の違いを味わう
正直言って相当な手練れであってもテイスティングだけで使用米を判別するのは至難の業です。例えば比較的淡麗な味わいの酒に向いているとされる五百万石を使っていても、造り方次第では濃醇にできます。
ワインは葡萄品種そのものの味が最終的なプロダクトにまで影響しますが、日本酒はその複雑な工程や発酵プロセスを経ることで米の品種自体が持つ味の特徴はかなり薄くなるのです。
それに地方特産の米や食米なども含めると膨大な種類が存在しますので、それらの味わいを網羅的に記憶することは、ざっくりであってもほぼ不可能です。
ですから、ここであまり神経質になる必要はないでしょう。最低限、山田錦、雄町、五百万石、美山錦、愛山あたりの大まかな特徴を覚えておけば充分です。
せっかくここまで風の森で来たので、同銘柄で山田錦以外の酒米を使用したものを紹介します。別に油長酒造さんの回し者じゃないですよ。
まずは雄町の豊かでパワーのある味わいを理解いただければ。雄町は80%でもリリースされているので、そちらでも良いと思います。
愛山はその名のイメージ通り、ラブリーで豊潤。甘味や旨味が出やすく、ふくよかなお酒になることが多いです。ちょっと価格は高めになりますが50%精米のものもありますので興味があれば。
このほか、同蔵では「秋津穂」と「露葉風」という地元産の米も使用しています。価格が安くて味も遜色ないのでエントリーモデルとしてもおすすめ。
なお、ここで紹介しきれなかった五百万石、美山錦などは別の銘柄でお試しください。どちらも透明感があって淡麗になりやすい特徴があります。メジャーな品種なのですぐに見つけられると思いますよ。
生と火入れの違いを味わう
先ほどの段階では早いと断じた菊姫山廃の火入れを飲んでみましょう。確かにやや癖のあるクラシカルな味わいなので、この時点で万人におすすめは出来ませんが、生と火入れの比較という意味ではその差は非常に分かりやすいと思います。
生と火入れについて細かい話をすると、火入れする回数が一回と二回でも違いますし、火入れをするタイミング(生詰、生貯蔵)の差、さらに火入れのテクニックとして瓶燗火入れなどもあり、一筋縄ではいきませんが、このへんは追々学んでいけば良いと思います。
現段階では生のフレッシュ感と独特の香りを感じ取れれば、それでOKです。
山廃&生酛と速醸の違いを味わう
生産比率は速醸が90%、山廃が9%、生酛が1%と言われています。つまり、出回っている日本酒の大半は速醸ってことですね。なので、速醸に関してわざわざ狙って飲む必要はなく、逆に生酛と山廃を理解できれば充分ということになります。
これまで紹介した中では新政no.6が生酛で菊姫が山廃です。これだけだとちょっとわかりづらいので、典型的な銘柄もご紹介します。
生酛は複雑味があってしっかりした味わいが特徴。特に酸に厚みがあってコシが強い酒が多いですね。とはいえ、必ずしもゴリゴリと力強いものばかりではなく、意外に繊細できれいな酒も少なくありません。新政no.6なんかはまさにその典型ですね。
こちらの大七は福島で生酛造りにこだわる有名銘柄。ど定番なのでスーパーなどでもよく見かけます。ふくよかに広がる甘みと旨味が最大の特徴で燗つけしても最高です。
一方の山廃。基本的な方向性は生酛と同じで複雑かつゴツっとした酸に特徴があるものが多くなります。乳酸系の旨味を持つのものが多いかな。
生酛に比べると若干野性味があるというか、いい意味で雑味があって、ツルっとしたきれいなお酒とは対極にあります。
で、山廃と言えばこの天狗舞がまず挙がります。昔ながらの武骨な味わいなので好き嫌いは分かれると思いますが、これこそがいわゆるクラシカルな山廃の味だと思っていただいて間違いありません。こちらも大七と同様にど定番なので居酒屋やスーパーで見つけやすいと思います。
なお、これらはあくまで典型的な味わいであって、例外もたくさんあります。最初から例外に手を出しちゃうと混乱するので、まずはメジャーな銘柄で典型的な味わいを覚えていきましょう。
初心者からの卒業
ある程度の知識を得たことで、これまで漠然と飲んでいたのが目的意識を持つようになります。例えば「今日は○○県の酒を攻めてみよう」とか「こないだ飲んで美味かった同じ銘柄の精米歩合が違うものを飲んでみよう」とか。こうなると俄然楽しくなってくるんですよね。
今回取り上げたもの以外にも、スパークリング、菩提酛、白麹・黒麹、低アルコール、貴醸酒、濁り、あらばしり・中取り・責め、低精白・超高精白、しぼりたて・熟成酒などなど、様々なタイプがありますし、さらには地域や飲用温度、酵母、時間変化、ペアリングなどの切り口もあります。それぞれを掛け合わせたらもはや無限の世界。
最初は複雑すぎてワケがわからなかったのに、いつの間にかその深みに魅了されてワクワクしちゃってませんか?
その域に達することができれば、もう初心者は卒業です。あとは興味の赴くまま、自由にいろいろな酒を楽しんでください。
まとめ
クセがなく、味にブレがなく、手に入れやすいものを中心にご紹介しました。私もあらためて久々にこのあたりを飲むと初心者時代に飲んだ時と印象が変わっていて非常に面白いです。
ちなみに、どこまでが「初心者」かというのは難しいところですが、個人的には違いを理解した上で多くの種類を楽しめるようになれば中級者以上かなと思っています。そのためには最低限の知識がないと話にならないので、まあ今回の4段階は妥当な設定かなと。
ここから先、順当に日本酒にはまっていったとして、歴が長くなると熟成系や生酛・山廃系を好きになる傾向が強いです。これは、より複雑な味を求めるようになるためで、音楽で例えるなら、最初は耳触りの良いポップスを聞いていたものの、徐々にジャズなどの難しい音楽にはまっていくようなもんですね。
もちろん、どこまでいっても甘くてフルーティな酒が好きという方もいますし、どちらが正解という話ではありません。フルーティ系にはフルーティ系の良さがありますから。結局、好きなように楽しむのが一番ってことで。
それではまた!